
12月30日、年末の風物詩『第67回 輝く!日本レコード大賞』(TBS系)が放送される。
「大衆の強い支持を得た上、その年度を強く反映・代表したと認められた『作品』」に贈られる賞だが、今年は例年以上に「知らないアーティスト、楽曲が多い」と中高年を中心に困惑する声があがっている。
地上波ドラマに起用されてもヒットしなくなった理由
優秀作品賞にノミネートされたのは、韓国の5人組ガールズグループILLIT『Almond Chocolate』、ドラマで主演を務めるなど俳優としても活躍する佐野勇斗らが所属する5人組ボーイズグループM!LK『イイじゃん』。
アイドルプロジェクト『KAWAII LAB.』から最初にデビューした7人組女性アイドルFRUITS ZIPPER『かがみ』。 人気アニメ『ダンダダン』第2期オープニングテーマに起用されたアイナ・ジ・エンド『革命道中 - On The Way』 、若い世代に圧倒的支持を集めるABEMAで放送中の恋愛リアリティーショー『今日、好きになりました。』のニュージーランド編〜』主題歌である幾田りら『恋風』。
3連覇に期待がかかるMrs. GREEN APPLE『ダーリン』、FRUITS ZIPPERの妹分・CANDY TUNE『倍倍FIGHT!』。国民的アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマで話題の新浜レオン『Fun! Fun! Fun!』、4月期にフジテレビ系で放送されたドラマ『波うららかに、めおと日和』主題歌のBE:FIRST『夢中』、3人体制になって初のシングルである純烈『二人だけの秘密』の10曲。
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音楽ライターは今年の楽曲の特徴をこう指摘する。
「平成までは地上波ドラマや映画の主題歌に起用されることがヒットへの近道でした。しかし見逃し配信や定額制動画配信サービスの定着で、若い世代の地上波離れが進んでいることで、地上波や映画の主題歌に起用されてもヒットに結びつかなくなっています。実際、今年の『レコ大』でドラマ主題歌からノミネートされているのはBE:FIRSTだけですしね」
現在のヒットの法則は「人気アニメ主題歌に起用されること」と続ける。
「ソニーミュージックは子会社にアニメーション制作会社『アニプレックス』があることもあり、特に大物アーティストを積極的にアニメ主題歌に起用しています。昨年、世界的にヒットしたCreepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』、ノミネートはされていませんが米津玄師さんも人気アニメ『チェンソーマン』の主題歌に起用されたことで、幅広い世代に支持をされています」
ほかにはFRUITS ZIPPERやCANDY TUNE、M!LKなどTikTokなどショート動画で“バズった”曲も目立つ。
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アニメ=オタクが見るものはもう古い
「動画が“バズる”のは運の要素も大きいので、狙ったところで必ずしもバズらせることはできません。この3組に関しては“バズる”前から積極的にSNSやTikTokを活用。話題になったあとに、惜しみなく動画を公開し続けたことがヒットに結びついた理由ですね」(同・音楽ライター)
今後は「地上波しか見ていない層」は『レコード大賞』や『紅白歌合戦』の出場者がまったくピンとこない……ということになりそうだ。
「もともと『レコ大』も『紅白』も“その年に話題になった曲”を選ぶ番組ですからね。アニメというとオタクが見るものと思い込んでいる中高年も多いが、今はかつてのトレンディドラマのように若い世代にとっては気軽に見るものになっています。
そしてトレンドは地上波ではなく、TikTokなどネットでキャッチするものだという認識です。よほど社会現象を起こすような作品でない限り、地上波のドラマ主題歌に起用されても“バズる”ことはないでしょう。今は地上波ドラマよりアニメの主題歌に起用されてほしいと思っているアーティストの方が圧倒的に多いですよ」(レコード会社関係者)
地上波をチェックしているだけでは、流行に追いつけない時代になってしまったようだ。
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