【映画大賞】新人賞の林裕太、目指す先は「『林くんでよかったね』って言われる役者を」

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2026年01月01日 11:01  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

新人賞を受賞し笑顔を見せる林裕太(撮影・たえ見朱実)

<第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)>



第38回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞が12月28日に発表され、実写日本映画の興行収入(興収)記録を22年ぶりに塗り替えた「国宝」が作品賞、李相日監督(51)の監督賞、吉沢亮(31)の主演男優賞はじめ、史上最多の6冠に輝いた。


新人賞は、「愚か者の身分」(永田琴監督)で釜山映画祭(韓国)最優秀俳優賞を受賞した林裕太(25)が受賞した。


新人賞表彰で林は「小学校以来の賞状です」と笑った。「自分のやったことが形になるのはなかなかない。いろんな人への感謝の気持ちをあらためて伝える機会になるなと思います」と引き締めた。


「愚か者の身分」で、北村匠海演じる主人公の違法ビジネスに加担する青年、マモルを好演した。半グレ集団の手先として、身寄りのない男性たちから個人情報を引き出し、戸籍売買を行う。「母親のママ友が結構見てくださって『裕太くんはこんな子じゃない!』って」。素を知る人たちはギャップに驚いた。


家族から虐待されたマモルと、自身の育った環境は懸け離れていた。その距離をいかに縮めるか。「実際に歌舞伎町に行って観察して、この人はなぜこういう仕事をしているんだろう。逆になぜ自分はこう(マモルたちのように)ならずに済んだんだろうと考えました」。劇中で、育ちを想像させる“ばってん箸”の持ち方はこだわった。


心を開いた人に懐き、甘えるところは役と似ている。マモルはタクヤ(北村)を兄のように慕う。「本人同士も仲を深めていかないと難しいよなと思っていたので、現場以外でも一緒にご飯を食べたり、ちょっと遊んだりしました。テレビで見る匠海くんは穏やかで懐が深そうで。実際にお会いしても優しい。仏様みたい」。実際に3歳上の兄がいて、北村に3歳下の弟がいることも、兄弟感を増させたかもしれない。歌舞伎町でじゃれ合うシーンは「役に入る前との境目がないに近かった」とシームレスに本番に入った。


「今までやってきた役の集大成」と感じている。北村と綾野剛のキャスティングが決まった状態でオーディションを受けた。「僕の顔って、子どもっぽく見えるけど子どもではなく、大人でもなく、揺れ動く中間にいるような雰囲気を持っていると思っていて。マモルもそう。過渡期みたいな若さを出せる役だと思ったのでやりたいと思いました」。


北村は「これはマモルの物語で、裕太の物語だから」と繰り返し、言ってくれたという。釜山国際映画祭では北村、綾野と3人で最優秀俳優賞に選ばれた。「恐れ多い気持ちもあるんですけど、3人で取れたことで(北村の言葉が)ちゃんと形になった。すごくうれしかったです」と振り返った。


映画は橋のシーンで始まり、橋で終わる。冒頭は北村と2人で。ラストは林1人で。「どう終わらせるかは僕にかかっている。ちゃんとここで『愚か者の身分』という物語を終わらせなきゃいけないんだと考えながらお芝居しましたね」。隣にタクヤがいないのは希望か、絶望か。「生きる道を残してくれたのはタクヤであって、それが今そこにあるなら、やっぱり生きるしかないよねと、永田監督が阪神淡路大信大の話とともにしてくださった。それで納得してあのシーンに臨めました」と明かした。


原作は3人の3年後を描いた続編「愚か者の疾走」が11月に発売された。「小説で楽しむっていうのもまた粋なのかなと思います。僕はもう読みました。いい終わり方でした」と満足げ。「集大成」のマモル役を離れ、今後も俳優の道は続く。「どの役でもはまり役って言われるような役者になりたいなって思います。役を選ばない、いろんな役をやっても『林くんでよかったね』って言われる役者を目指していきたいです」と見据えた。【鎌田良美】


◆林裕太(はやし・ゆうた)2000年(平12)11月2日、東京都生まれ。21年「草の響き」で映画初出演、22年「間借り屋の恋」で初主演。「愚か者の身分」では第30回釜山映画祭コンペティション部門で北村匠海、綾野剛と3人で最優秀俳優賞。今年はNHK連続テレビ小説「風、薫る」出演が控える。趣味はランニングと登山。特技は陸上(長距離)と書道。身長172センチ。血液型B。

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