インタビューに答える大津弘樹(ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT) 2025年にオートスポーツwebは、前身のクラッシュネット・ジャパンから名称を変更してから20周年を迎えました。これもひとえに、読者の皆さまのご愛顧のおかげです。そこで皆さまへの感謝の意味も込め、20周年特別記念連載をスタート。題して『オートスポーツweb20周年企画 20の質問で丸わかり』です。かつて、AS+Fやオートスポーツ本誌で連載されていた『100の質問』を20周年記念版でリメイク。スーパーGT GT500ドライバーのプライベートを解き明かしていきます。
第22回は、2025シーズンに16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTのドライバーを務めた大津弘樹選手が登場です。※取材はスーパーGT第4戦富士時点
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●自然で磨く集中力
Q1:趣味は何ですか?大津:登山が好きですね。シーズン中は頻繁には行けていないのですが、時間があれば行きたいですね。─きっかけは?大津:トレーニングで一回登ったのがきっかけです。以降はソロ登山や、友達とも行くようになりました。いつかはテント泊で縦走(山の登頂後、続けて複数の山や稜線を伝い移動する登山スタイル)にも挑戦したいと思っています。─どのようなトレーニングを?大津:イメージとしては黙々と登る感じですね。走りはしませんが、平均心拍数はなるべく高めに維持するように意識しています。それでも山は、足元に気を付けないといけないので冷静さも必要ですし、そのような状況で数時間上り続けることになるので、意外とレースと通じる部分も多く、良いトレーニングになっています。─これまで特に印象に残っている山は?大津:栃木の那須岳とか、山梨の瑞牆山(みずがきやま)はかなり良かったです。富士山が見えて景色もいいですし、次もまた山梨辺りに行ってみたいと考えています。
Q2:最近気になっている芸能人、有名人は?大津:芸能人としてはとくにいませんが、野球の大谷翔平選手が同じ1994年組で同い年なので、活躍が気になる存在ではありますね。彼の活躍を見るとすごく刺激になります。
Q3:好きな本や映画、音楽は何ですか?大津:本や映画はあまりないのですが、アニメだと『ゴールデンカムイ』が好きですね。─これは平峰一貴選手に続いてふたり目。大津:そうなんですか(笑)。僕は聖地巡礼というか、作品の舞台になった函館の五稜郭に行ってみたりしましたし、個展も行ったんですよ。次は網走にも足を運んでみたいと考えています。─なかなかアクティブな推し活ですね。大津:他の作品でも『キングダム』とか、『Dr.STONE』とかも好きで、今思えば、自然を感じる世界観というかスケールが壮大な作品が多いのかもしれません。─音楽については。大津:ヒップホップのAK-69というアーティストが好きです。実は高校生時代から好きでずっと聴いていたのですが、以前レースを観に来てくれたことがあったんですよ。その時はもう感激しました! 決勝前に一緒に写真も撮ってもらって、レースの緊張を忘れちゃうくらい興奮しました(笑)。
Q4:行ってみたい場所はどこですか?大津:フランスのニースというところに行ってみたいなと思っています。とあるドラマの舞台だったので気になっていて、ヨーロッパの歴史を感じる街並みを見てみたい気持ちがありますね。─ほかにも旅行好きなようですね大津:そうですね。リラックスしたい時は家に籠もるよりは、旅先のホテルでゆっくりするのが好きです。それこそ函館に行ったのもそうですし、あとは年に一回沖縄にも行っています。実は、北から南まで気になるところがあると気軽に足を運んでしまうタイプで(笑)、初めての土地をドライブしてみて、興味が惹かれるものを発見するのが好きなんです。目的地を決めるよりも、気になった場所へふらりと向かうことが多いです。
Q5:もし何かひとつ、新しいスキルを身につけられるとしたら、何を学びたいですか?大津:たくさんの言語が話せるようになりたいですね。こうやって日本語で話すのと同じように、英語以外にもドイツ人とかフランス人とか、いろいろな国の人とその土地の言語で話せれば、世界が広がるんじゃないだろうかと。最近はマルチリンガルの人気のYouTuberの動画も見かけたりしますし、現地の言葉で自然に会話できる能力には憧れます。
●子どもの成長&同世代の活躍からの刺激
Q6:休日(暇な時間)はどのように過ごすことが多いですか?大津:数日休みで体も元気な場合は山登りに行きますし、1日の休みなら自宅で過ごすか、近場を出歩くことが多いです。リフレッシュは、とにかく家にいるか、温泉に行きます。トレーナーと一緒にマッサージを受けたり、あとはサウナもよく利用します。
Q7:人生で一番大切にしていることは何ですか?大津:『謙虚にして驕らず』を大切にしています。昔、F3で走っていた際に田中弘監督に言われてから心に響いている言葉です。
Q8:どんな時に幸せを感じますか?大津:家族がいるので、2歳の子どもの成長を見るのが幸せです。なかなか仕事で家にいる時間が取れないのですが、子どもは日に日にできることが増えていくので、レースから帰ると言葉も行動も成長していますし、成長を実感すると幸せを感じます。
Q9:尊敬する人は誰ですか?大津:尊敬する人は、先ほども話した大谷選手ですね。人間性もプレーも含めて、日本とアメリカの多くのファンが『素晴らしい』と話すような選手になっていることがすごい。同い年だからこそ、ほぼ同じ長さの時間を過ごしているなかで、彼は超一流になっているというところを尊敬していますね。
Q10:これまでの人生で、一番の挑戦は何でしたか?大津:レーシングドライバーはつねに挑戦だと思うので、これが一番というのはないのですが、ステップアップを迎えた時はチャレンジの実感があります。カテゴリーが切り替わるポイントでは、自分の速さを証明できるかが大事になりますし、強いプレッシャーを受けます。なかでもGT500やスーパーフォーミュラに乗り始めたときは、自分が速いだけではダメだったり、選手としての責任感も感じたりして、プロのドライバーとしてこれまでとはプレッシャーの質がまったく異なりました。
●幼い頃から変わらない“黙々と着実に”
Q11:困難な状況に直面した時、どのように対処しますか?大津:僕の性格としては背伸びをせず、目の前の課題に着実に取り組むタイプです。とは言いつつも、課題をとにかく分析するというわけではなくて、なるべくシンプルな最善策を見つけることに集中すると思います。
Q12:自分の長所と短所は何だと思いますか?大津:長所は忍耐強いところだと思っています。周囲の言葉に悪い影響を受けることも少ないですし、多少ストレスを感じたとしても自分の中でほぼ解決できるので、感情の起伏があまり大きくない性格が長所なのかなと。短所は、ちょっと答えになっていないかもしれませんが、意外と飽き性な一面があるかもしれません。─いろいろ試すけど、続かない?大津:そうなんですよ。前に趣味になるかなと思って、釣りもやってみたこともあるのですが、やり切れずに終わってしまうことがあって、意外と熱の冷めが早いのかなと。─これは、ほかにも手を出した物がありそう。大津:いくつかありますね。ボクシングもやってみたけど続かなかったし、キャンプもやろうとしてモノは揃ったけど結局行けませんでした(笑)。けど、もしかしたらまた熱が復活するんじゃないかと思って、道具は一応残してあります(笑)。
Q13:子供の頃はどんな子供でしたか?大津:幼いころは5歳からカートに乗っていて、自分のカートの掃除とか片付けをしていました。─ほかの子どもと遊ばずに?大津:そうですね(笑)。みんなが遊んでいるときも、カートについては親に任せるよりも自分自身でやりたかったというか、黙々と作業していたのを覚えています。当時一緒に戦っていた選手ともあまり仲良くできた思い出はなかったのですが、最近になってようやくほかのドライバーとも会話が弾むようになりました。─学校生活は。大津:小学校に通い始めてからはたくさん友達ができて、休み時間は野球とかサッカーとかつねに外で遊んでいました。中学ではカートも続けつつ、姉に倣ってテニス部に入りました。打ち込むほど練習する時間があったわけではなかったのですが、それでも県大会まで行けたので楽しかったですね。
Q14:他の人から、どんな人だと言われることが多いですか?大津:家族も含め、身近な人には“天然”だとよく言われます(笑)。言い間違いがあったり、返答の角度がずれていたりするようで、正直自分でもそう思う部分もあります(笑)。素が出ると、おっちょこちょいな雰囲気が出てしまうみたいです。
Q15:動物に例えられるとしたら、どんな動物だと思いますか?大津:犬っぽいと言われます。イメージは小型犬のおっとりした感じじゃないですかね。─豆柴みたいな?大津:そうそう!じゃあ豆柴ということにしましょう(笑)。
●定番は『パリチキ×ほうれん草』
Q16:20回以上通っているお店かレストランを教えてください大津:それはもうCoCo壱番屋が一番ですね。─お、野尻智紀選手と同じ。大津:そうなんですか(笑)。─はい、あとテニス部だったとも言っていました。大津:だんだん野尻さんに近づいているみたいで恥ずかしい(笑)。─では、CoCo壱番屋での大津スペシャルメニューは?大津:ご飯の量と辛さは普通で、パリパリチキンとほうれん草のトッピング。これが僕の定番メニューです(笑)。
Q17:20年以上、使っているものはありますか大津:今も使い続けているものはないかなぁ……。それでも、5〜6歳のころに使っていた、ジャン・アレジのデザインのヘルメットなら実家にあるはずです。
Q18:20年前は何をしていましたか大津:20年前は11〜12歳のころで、カートの全日本チャンピオンを獲ったころですね。もう毎週のようにサーキットに通っていて、当時のホームは秋ヶ瀬でした。休日はカート選手権で日本中転々としていましたが、平日は放課後に友達とマクドナルドに行ったり、友達とよく遊んでいました。
Q19:20年前の自分に言いたいことは大津:『ちゃんと勉強しろ』と言いたいですね。体育の成績は良かった記憶がありますが、教室での勉強をしっかりとやっておけばよかったなと。普通に勉強が苦手だったというのもありますが、毎週のようにレースに出るために週末は金曜日から休んだりしていましたし、自分にとってはそれが当たり前でした。当時は何も思っていなかったのですが、今ではもっと学校に行っておきたかったと感じています。
Q20:20年後にしていたいこと大津:20年後も、どんな形であれレースを続けていたいです。やっぱり走るのもレースするのも大好きなので、やめることはないだろうと思います。コーチングなどで自分の経験値を下の世代に伝えたりしながらも、自分のレース活動も続けることができたらいいですね。
●プロフィール:大津弘樹(おおつ・ひろき)
1994年生まれ。5歳でレーシングカートを始め、鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラを経てホンダ育成ドライバーとしてJAF F4、FIA-F4、全日本F3で経験を積み、2018年にスーパーGT GT300デビュー。GT300では表彰台を重ねた後、2020年にGT500クラスへ移行し、ポールポジション獲得や表彰台を経験するなど着実な成長を示した。2021年からはスーパーフォーミュラにも参戦し、2022年には最終戦で2位表彰台を獲得。2023年にはスーパーGTでARTAへ移籍し第5戦で初優勝、タイトル争いにも加わる活躍を見せた。2024年は佐藤蓮と組んでランキング12位、2025年も同体制でGT500に挑みランキング8位となった。
[オートスポーツweb 2026年01月06日]