
【写真】濱尾ノリタカ「岡山の全てが美しくて。最高の場所のおかげですてきな作品が撮れた」 『MIRRORLIAR FILMS Season8』公開直前舞台あいさつの様子
映画上映前に行われたこの日の舞台あいさつ。まずはパチンコ店に似つかわしくない、上品な雰囲気を漂わせる常連客の65歳の女性と、そのパチンコ屋に勤める24歳の男性との交流を描き出した「カラノウツワ」のメガホンをとった松田監督からトークはスタート。
これまで女優、写真家、アートディレクションなど幅広く活躍してきた松田監督だが、本作が初監督作品。「今までの人生でいろんなことをやってきたんですけれど、やっとたどり着いたこの場所。これで長編監督になれたら私の人生、全く問題ないなと思って。今回は短編ですけれども、脚本、編集、監督をさせていただいて、本当に幸せな時間でした」と振り返る。
主演を務めるのは、40年来の大親友だという女優の原田美枝子だ。「実は何本も脚本を書きまして、その間に原田美枝子さんでお願いするというのは決めていたんですけれど、美枝子とはドラマ『北の国から』以来の大親友でして。いつか美枝子で作品を撮りたいと思っていた」とのことで、いくつか作品を提案していく中で、最後に美枝子が「これだったらやってみる」と言ったのが本作だった。
そして「ラーメン屋さんをやられている方は、どこのラーメンが一番おいしいかよく分かっていると思うんです。だから俳優も、どんな俳優が一番素晴らしいか分かっているような気がするんです。ただ同業者なんで、あの人の方がすてきなんてなかなか言えないんですけどね。やっぱり悔しいから」と笑顔で前置きした松田監督は、「でも私は原田美枝子さんという人がとても良い俳優だということは、親友である以前に思っていましたので。彼女とも、佐藤緋美くんともご一緒できて、本当に幸せでした」としみじみ語る。
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本作をプロデュースしたMEGUMIは、佐渡監督を起用したきっかけについて「いろんなCMやMVを観て、佐渡監督のファンだったので、突然にInstagramでDMを送ったんです」と説明。ショートフィルムを撮ったことのない佐渡監督、ラブストーリーをつくったことがなかったMEGUMIということで、「このMIRRORLIAR FILMSというのは“チャレンジ”を掲げているプロジェクトだったので。お互い初めてのことをやってみませんか、というような感じでお声がけをさせていただきました」とその経緯を明かした。
本作はMEGUMIの出身地である岡山県で全編撮影が行われた。「自分が通っていた学校の近くや、わたしが初めてデートに行った海とかで撮影をしたので、あらためて自分の育った町に再会できたような感じもあって。大変エモーショナルな経験でした」としみじみ。「こんなすてきな二人(濱尾、NANAMI)が参加していただいて。監督のクルーの方たち、カメラマンさんたちも、皆さんが参加してくださって。本当に美しい作品になりました」と満足げに語った。
一方の佐渡監督は、MEGUMIからのオファーを受けて「最初は、MEGUMIさんの偽物かなと一瞬思った」と笑うと、「わたし自身はずっと緊張していたんですけど、岡山に行くといい緊張感の中にも優しい雰囲気があったというか。岡山という土地がそういった空気感でできたんじゃないかなと思います」と振り返った。
また撮影にはMEGUMIも参加。そんな彼女との撮影を濱尾は「初日の頭からいらしてくださって。それこそ有隣荘の近くが、普段の通学路だったというお話を伺ったりして。一緒にお話ししながら、現場を温かく見守っていただきながら撮影させていただきました」と振り返る。すると、NANAMIも「わたしはこの作品が初めての映画だったんですけど、楽しかった。皆さんに温かくしてもらいました。でもMEGUMIさんが来た時はちょっとだけ緊張しました」と述懐。その言葉にMEGUMIが「わたしは怖いもんね」と冗談めかして、会場を沸かせた。
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NANAMIも「わたしは色んなことが重なってすごく緊張してたんですけど、濱尾さんは現場で常に笑わせてくれて。それでクールダウンできたな、というところはありました。今回は演技自体初めてだったんですけど、セリフがないということで、言葉を超える何かがあるんだな、というのはすごく思いました」と振り返った。
さらに岡山での撮影を振り返った濱尾は、「初日の撮影が終わった日の夜に、日の出海岸で花火がたまたま上がったんです。実はその前にやってた仕事が結構ハードなのが結構続いていた、ということもあって。なんか花火を見てたら本当に泣けてきちゃって。初日の夜から何エモーショナルになってんだって感じかもしれないんですけど、本当にその花火といい、その夕暮れから夜に移行する景色といい、岡山の全てが美しくて。最高の場所のおかげですてきな作品が撮れたと思います」と感慨深い様子で振り返った。
「愛骨」の節田監督は、そうそうたるメンバーと一緒に作品が上映されることに「とってもラッキーだと思いました。すごい作品の中に並べていただいて、なんだか恥ずかしいような気もしますが、すごく光栄に思っています」とあいさつ。
骨を愛してやまない生物教師と、骨のことはそれほど興味はないけど、その教師のことは好きだという同僚の教師とのラブストーリーとなる本作について「お互い向き合っていても、見てる所が違ってすれ違っちゃう。すれ違いのラブストーリーみたいなのを書きたいなと思ってつくったので。ふたりのすれ違いをクスリと見ていただけたらうれしいなと思っています」と語った。
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最後に「CUT!」の安藤監督は、「今回の短編映画は、実は8年前にカナダのバンクーバーの大学の映画学科に所属していた時の卒業制作なんです。なのでこうして8年越しに皆さまの目の前のスクリーンで公開されること、とても誇りを感じます」とコメントすると、「結構メタ的なお話というか。夢野久作で言うと『ドグラ・マグラ』だったり、あとは『8 1/2』といった『映画を見てるんだけど、その映画も映画内の映画の話で』みたいな。そういった入れ子構造になっているものをいつか作りたいと思っていました」と明かす。さらに「ちょうど大学を卒業するぞという時に、せっかく監督になりに映画学科入ったのに、映画1本も撮れてないな、というのが自分の中でモヤモヤっとした感じがあって。『何作っていいかわかんないよ』という自分を映画にしようと思ってこうなりました」と説明した。
映画の中で、主人公がいろいろと言われたセリフについては、安藤監督自身が言われたことだったり、安藤監督自身が言ってしまったことなどをセリフに織り込んだとのことで、「だから僕の中では、この映画は僕の思い出のアルバムなんです。だから見るたびに僕は、大学を卒業した自分に会える、という風に思って作っていました」と付け加えた。
舞台あいさつもいよいよ終盤となり、登壇者を代表して松田監督とMEGUMIがあいさつ。
松田監督は「短編映画というものは、まだ日本の中ではそれほどメジャーじゃないのかなと思うんですけど、15分の中にものすごい意味が入っていて。それを読み解くのはちょっとしたゲームみたいなものだと思うんです。長編になると、説明してくれることも多いと思うんですが、短編ってギュッとなっているからこそ、『あれってどういう意味だったんだっけ?』と話す楽しみがあるのかなと思って。ぜひ皆さん、何度も観ていただいて。『あれってどうだったんだろう』と思っていただければうれしいです」とメッセージ。
MEGUMIは「ショートフィルムというのは“極上のデザート”みたいなところがあるなと思ってるんです。普段自分の考えもしないようなこととか、『これって何なの?』みたいに食らっちゃう感覚とか。(長編の)映画やドラマを見る感覚とは体感が全然違うな、というのは前から思っていました。ですから今日は、皆さまが日常で感じていない部分の脳を使うみたいな、そういう面白い時間になるのではないかなと思います。ぜひこの後楽しんでください」と会場に呼びかけた。
短編オムニバス映画『MIRRORLIAR FILMS Season8』は、本日1月16日より2週間限定劇場公開。

