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高級チョコレートの代名詞ともいえるゴディバ。1972年に日本に上陸して以降、お中元やお歳暮といったギフト需要を取り込み成長してきた。そんなゴディバが、2020年11月の「GODIVA Cafe」の出店を皮切りに、続々と“手ごろな価格帯”の新業態を出店している。
【画像】高級チョコのゴディバ、なぜ「低価格帯」に手を伸ばすのか 日常使いの顔を持ったワケ
2022年4月にはクレープやワッフルなどを扱う「GODIVA dessert」、2023年2月にはチョコクロッフルやドリンクを扱う「GODIVA GO!」、同年8月にはパン屋「GODIVA Bakery ゴディパン」を開業。2025年4月にはクレープ専門の「ゴディバ クレープ」、同年5月にはバターサンドなどの焼き菓子を扱う「G Butters’」をオープンさせた。
全国で4店舗を展開するゴディパンでは「コロネ(ショコラ)」(464円)や「ベルギーチョコレートのクリームパン」(388円)などを販売。2025年7月、池袋に常設展をオープンした、G Butters’では「バターサンド」(648円)や「フィナンシェ」(432円)などの単品商品に加え、3個入りや8個入りといった手土産にちょうどいいサイズのボックスも販売している。
なぜゴディバは「高級チョコレートブランド」と「日常使いできるブランド」という2つの顔を持つようになったのか。
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ギフト需要の変化や日常ブランドとしての出店戦略、そして高級なイメージを保ちながらすそ野を広げるためのブランド設計などについて、ゴディバジャパン常務執行役員の櫛山伸也氏に話を聞いた。
●ギフト需要の変化が「新業態」誕生のきっかけに
これまでゴディバは、お歳暮やお中元などのギフト市場で強い存在感を示してきたが、コロナ禍をきっかけに人々の購買行動は変化した。矢野経済研究所が発表した「国内中元・歳暮市場規模推移と予測」でも市場の縮小傾向が示されている。
櫛山氏はギフト市場の変化について「お中元やお歳暮といった需要は、今でも根強い日本の習慣だと思います。ここはしっかりゴディバとして押さえていくところです。しかし、その一方で、自分へのご褒美といった個人消費へのシフトや、友人や家族、恋人にカジュアルな贈り物をしたいという需要も増えてきていると感じています」
この消費傾向はアフターコロナからより強まっているという。ゴディバではこれまでもカジュアルなギフト需要を意識して、スーパーマーケットやコンビニで一口サイズのチョコレートが入ったボックスやカップアイスなどを展開してきた。
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よりカジュアルなギフト需要が高まることを見据え、2020年からワッフルやパンといったカテゴリーでの新業態店の出店を進めてきた。
●大人気の「ゴディパン」 どんな発想で生まれた?
ゴディバが展開する新業態の店舗数は現在29軒(直営店)に上る(1月20日時点)。ワッフルやパン、ドリンクなどさまざまな店舗があるが、チョコレートと相性が良いカテゴリーをどのように選定しているのか。
櫛山氏は「お客さまに『ゴディバが作ったらどうなるんだろう』という驚きやワクワクを届けられるかどうかを大事にしています」と話す。例えば、オープン当初から話題のゴディパンはどのように生まれたのか。
「多くの日本人が食べているパンをショコラティエが作り変えてみたらどうなるのか? というところから考え始めました。日本人がイメージする『パン屋さん』は、街のパン屋さんが多いと思います。そこにあるメニューをゴディバが作ったら、どうなるのか。例えば、ゴディパンで販売しているコロネにはチョコレートバーを入れたり、カレーパンはカレーフィリングにチョコレートのアクセントを加えたりしています。これまでにない新しい商品の提供を非常に重視しています」
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高級チョコレートブランドが手掛けるパンはたちまち人気になり、新店舗がオープンするたびに整理券配布や行列ができるほどだ。これまでは東京都内と名古屋にしか店舗がなかったが、2025年12月には関西エリアにも進出し、「京都四条店」をオープンした。
顧客目線を踏まえて新業態のカテゴリー選定やメニューなどを考えるゴディバにとって、来店客や店舗の意見は改善の種として重要視している。実際、GODIVA Cafeのメニューについて「現在はパフェやガレットなどを提供していますが、もう少しボリュームがあるものや食べ応えがあるものが欲しいという意見がありました」という。
現場の声を形にして賛否両論が生まれたものや、アイデアとしてはあったが出店にまで至らなかった新業態もあった。
「もちろんビジネスなので、『これは新業態としては少し……』というのが何個かあるのは事実ですが、中でもいくつかピックアップして現在のスピード感で新店舗を展開できているのは当社の強みだと思っています」と櫛山氏は自信をみせる。
●低価格の新業態、ゴディバの「高級イメージ」を壊さないのか?
日常ブランドの新業態店舗を増やすことは、これまでのゴディバの主戦場だったギフトへの送客にもつながっているという。
「ゴディパンなど新業態の店舗でゴディバの商品を食べられた方が、その味を記憶していて、外出した際に『ゴディバ クレープがあるから食べてみよう』と来店につながる流れや、ギフトを買おうと思った際に『以前食べておいしかったからチョコレートも買ってみよう』という体験が生まれています」
実際、池袋駅の駅ビル「西武池袋」の地下1階に位置するゴディパンでパンを購入し、そのまま上階のゴディバ店舗に足を運ぶ客もいるという。
何かのきっかけでゴディバに触れた客が、さまざまな店舗を回遊するという理想的な流れが生まれているようにみえる。この動きは、ゴディバがターミナル駅中や人気の商業施設といった一等地に出店していることにも支えられている。
ゴディバは現在、高級チョコレートブランドと、日常ブランドという2つの顔を持っているが、後者を展開することで、これまで作り上げてきた「高級チョコレートブランド」のイメージを自ら毀損(きそん)してしまう可能性もあるのではないか。ブランドのイメージを保ちつつ、普段使いのゴディバを訴求するためにどのような工夫を意識してきたのか。
「品質を一番大事にしています。例えば、新業態の店舗ごとで味が担保できていなければ、お客さまからの支持は得られないと思います。価格帯が低くても品質には妥協していません。ゴディバ品質を支持いただいているからこそ、高級チョコレートブランドと低価格帯の日常ブランドを両立できているのだと思います」
ギフト市場の変化を受け、ゴディバは「特別な一粒」から「日常の選択肢」へと接点を広げてきた。価格ではなく品質で顧客とブランドをつなぐ、老舗チョコレートブランドの挑戦はこれからも続いていく。
下記の関連記事にある「【完全版】高級チョコのゴディバ、なぜ「低価格帯」に手を伸ばすのか 日常使いの顔を持ったワケ」では、配信していない図表や写真とともに記事を閲覧できます。
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