柏崎刈羽原発のテロ対策不備をめぐり、東京電力本社の立ち入り検査に入る原子力規制委員会の担当者=2021年7月、東京都千代田区 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機が再稼働に必要な原子力規制委員会の審査に合格したのは8年余り前の2017年12月だった。その後、IDカードの不正利用などテロ対策上の不備が相次いで発覚。約2年8カ月にわたって事実上の運転禁止命令を受けるなどしたこともあり、再稼働までに時間を要した。一方、6号機のテロ対策施設は建設が遅れており、29年の設置期限に間に合わなければ、運転停止となる恐れがある。
福島第1原発事故の教訓を踏まえた新規制基準が13年に施行されると、東電は6、7号機の再稼働に向けて審査を申請。4年に及ぶ審査では、未曽有の事故を起こした東電に再び原発を稼働させる「適格性」があるかも問われた。規制委は東電に「安全を最優先に原子力事業に取り組む」など7項目を約束させた上で、規制対象となる運用ルール(保安規定)に盛り込ませて、合格とした。
ところがその後、不正侵入を検知する装置の故障を放置したり、社員が同僚のIDカードで中央制御室に不正入室したりするなどの不祥事が相次ぎ発覚。規制委は21年4月、原発内での核燃料移動を禁じる是正措置命令を出し、事実上運転を禁じた。
その後の改善状況を確認する追加検査は、延べ約4000時間、2年余りに及んだ。規制委は設備や運用面、組織文化にわたる計27項目について改善されたかを確認。改めて原子力事業者としての適格性を認めた上で23年12月に命令を解除した。
しかし、東電に対する懸念が完全に払拭されたとは言い難い状況が続いている。昨年には7号機で衛星電話の度重なる故障などが判明し、規制委が追加検査を実施。社員によるテロ対策に関する機密文書の不適切な持ち出しも発覚した。
新規制基準で設置が義務付けられたテロ対策施設の完成見通しについても、6号機で5年遅れとなる31年9月に変更。原発本体の工事計画の認可から5年となる29年9月まで整備できなければ、規制委から運転停止を命じられる。