【2026年予測】トランプ「国際法無視」の衝撃。中国が仕掛ける“高市潰し”の認知戦とは?【国会トークフロントライン】

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2026年01月23日 17:02  TBS NEWS DIG

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国際秩序の“守護者”であったアメリカが、自国第一主義のもとで現状を積極的に変えようとする「現状変更勢力」へと転じたことで、世界は新たな不安定期に突入しました。トランプ氏の強硬策が日本を含む同盟国にどのような影響をもたらし、中国やロシアといった国々との関係はどう変わるのか。

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激動する国際情勢の最新動向と今後の見通しについて、政策シンクタンクPHP総研特任フェローの菅原出氏に伺いました。菅原氏は邦人企業や政府機関等の危機管理アドバイザーを務めています。(聞き手:川戸恵子 収録:1月21日)

アメリカが「現状変更勢力」に転じた衝撃—ベネズエラ攻撃の意味

――なんといってもトランプさんの動きですよね。1月だけでもベネズエラへの軍事介入、グリーンランド獲得への動き、イラン情勢への関与など強硬策が続きました。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
やはりトランプ大統領のアメリカ自身が2026年の一番のリスクであるという点は皆さんもお気づきだと思います。(PHP総研が発表した)グローバルリスクの中では、「トランプ『現状変更』で、液状化する世界と米国」というものを一番に挙げました。

――これはどういうことなんでしょうか。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
「現状変更」って括弧で書いてあるところが結構ポイントで、アメリカはこれまで現状“維持”する一番の勢力だったわけですね。

これまでアメリカが世界のルールを決めて守ってきた。それであまり利益を享受できない国々が「その現状を変更するんだ」っていうことで挑戦してきた。それに対して現状を維持する勢力が、今の世界秩序を守る。そういう構図だったんですね。

ウクライナ戦争が一番典型で、国家間の紛争を軍事的にやってしまうのはよくないっていう、そういうルールをずっと積み上げて作ってきたわけで、それをロシアが破ったわけですよね。ですので、欧米が一体となって今の秩序を守るんだということで、ウクライナを支援してきた。

ただ今回、トランプ政権がこれまでの世界秩序を守るってことはアメリカの利益にならないんだっていうことを宣言したわけですね。なので、もう自国中心でアメリカファーストでやっていくんだっていうことでアメリカ自身が、実は「現状変更」勢力になってしまった。そこが一番の大きな構造的な転換だということでこの問題を一番に挙げています。

――トランプさんの動きは私たちには予測できないですね。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
そのヒントになるのが昨年の12月に出した国家安全保障戦略というものなんです。その中でアメリカが今後、こういうことを重要視してやっていくんだっていうことを宣言しています。

実は今回のベネズエラ攻撃も、そこに書かれて宣言した通りのことをやってるという意味なので、トランプ政権とすれば「言っただろう」と。国際法には我々縛られないんだっていうことで、今回のマドゥーロ大統領を逮捕したのもアメリカの国内法違反だっていうことでやってしまうっていうことなんですよね。それを誰も現状止められないというのが今の国際社会の現実でもあるわけですね。

それが、何のためにやっているのかというと、麻薬がいけないとか、いろんなことを言いながらも結局は、世界最大級の石油埋蔵量を持っているベネズエラの石油をコントロールしますという。主に中国やキューバとかに売っていたわけですけども、それを中国なんかでも売らせない、売るにしても我々を通せという形でですね、石油というベネズエラにとっては一番の収入源をそこをコントロールしたことで、ベネズエラに対して圧力をかけながらコントロールしてるという状況ですね。

――ベネズエラの方も、石油の販売収入として3億ドルを受け取ったというニュースがありましたが。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
今のところはやはり自分たちもですね抵抗するとやられてしまうということなのでアメリカを怒らせないようにしながら、何とか自分たちの権力を守っていこうというふうに、今のベネズエラを指導してる人たちは考えているんだと思うんですね。

一番心配されたのは、2003年のアメリカのイラク侵攻のように当時あったフセイン政権とイラクの支配構造っていうのを全部ひっくり返してしまったわけですね。そしたらもう大混乱で内戦になってしまった。その間違いは繰り返さないようにっていうことで、トップに副大統領を据えて、権力構造を一切手つけてないんですよね。

間接的に一番の収入源をコントロールすることによってこのベネズエラに言うことを聞かせようというのが今の作戦で今のところは何かうまくいってるように見えるんですけども、ずっとこれでベネズエラ満足なんですかっていうと、これなかなか持続性ないんじゃないかと思うし、軍事的な圧力をずっとアメリカはかけ続けなきゃいけないっていうことでそのコストも結構大変ですよね。

拡大するトランプの「西半球」戦略

――その成功体験って言っていいのかどうかわかりませんけど、今はグリーンランドに目標を定めているようですね。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
国家安全保障戦略で書いてるところのトランプさんは「西半球」という言い方をしていますが、そこは自分たちの勢力圏というか自分たちのある意味、縄張りなので、ここからは敵対勢力の影響力排除するんだっていうことで、その第1弾としてベネズエラをまず、ちょっと体制を変更させて圧力をかけたと。それが成功したもんですから、相当トランプ大統領は勢いづいてしまってるのは間違いないと思います。

――でもグリーンランドの場合はベネズエラと違って、やっぱりヨーロッパがすごく反対していますよね。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
そうですね。今もスイスでのダボス会議では、グリーンランドの話が一番メインになっていますし、ヨーロッパ勢は非常に反発をしているという状況です。

ただ、トランプさんやアメリカのトランプ政権の高官が言っている「安全保障上軍事的にあそこは大事なんだ」っていうのは一定のロジックはあるんですよね。これ、北極海のところから中国の原子力潜水艦があそこまで来てしまったら、そこからアメリカ本土まで原子力潜水艦からミサイルがもうすぐ届くというところで軍事的な活動を中露にさせないと。

そのためにも、あそこで軍事的なプレゼンスを高めて、中露の影響力を排除するんだっていうのは、一定の合理性があるんですけども、それに対してはデンマーク政府も反対してないんですよ。いいですよと。条約ももちろんデンマークとアメリカの間であって、軍事基地を今も置いてますけども、もっと拡大してもOKなんですよ。それはデンマークもいいですよと言ってるんですけども、その話をあんまりしようとしないで、所有するんだと。そこになんかトランプさん自身がものすごくこだわってしまっているところがある。

――やっぱり資源ですか。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
資源の魅力というのはあると思うんですよね。といっても氷の下にあるので、そんな簡単な話じゃないんだけれども、だけどやっぱり地理的な優位性と巨大な資源が眠ってるっていうところは、コントロールしたいっていう、そういう何か思惑を相当強く持ってしまっているのは間違いないと思います。

ただ、ヨーロッパ側も簡単に手を引くこともできませんし、喧嘩もできないですから、そういう意味では何らかの落としどころを作っていくんだろうというふうには思います。

しばらく時間はかかるし、そんな強引なことをやるとマーケットに大きな影響が出てきますので、これから中間選挙もある中で当然トランプ大統領そのあたりの影響というのは考えるはずです。今ものすごく高めのハードボールを投げてきていますけれども、どっかで落としどころを探っていくんではないかなというふうに個人的には思っております。

――もう一つ。イランへの攻撃。これは去年成功したわけですよね。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
まず、2025年の6月にイスラエルとイランが戦争12日間の戦争をして、アメリカもねイランの核施設に攻撃をしたっていうことで、そこから一部止まってる部分があったんですけどもイランとしては、そこでいろんな軍事施設を破壊されたり自分たちのね兵器システムを破壊された。それを少しずつ再構築して、またイスラエルから攻撃されないように、アメリカから攻撃されないようにということで抑止力を高めようということを少しずつ続けていたことは確かなんですよね。

ただ、経済状況は全く改善していないということで、特に去年の秋以降は水不足で、経済的に苦しい状況になっていたということもあって、年末になって抗議行動が始まって、それが今年の年初からも一気に拡大していったということなんですよね。

これまでは、イランで抗議デモが起きた、反政府デモが起きた場合、アメリカ大統領は決してそれを支持するといった発言をしないっていうのをずっと続けてきたのが、今回トランプ大統領は、「頑張れ」と「応援するぞ」とエール送りましたよね。もしイラン政府が暴力的なことをやったら、我々が報復するっていうふうに言ってしまったもんですから、それもあって、抗議デモがどんどんどんどん膨れ上がった。イラン政府とするとですね、内なる脅威と、外からの脅威ともう二重の脅威に直面するっていう、かつてなかったようなそういう事態になってしまったんですよね。 

実はトランプ大統領は軍事攻撃の準備はしていたんですね。一部ではもう本当に24時間以内に始まるんではないかっていうのが、1月の13日とか14日とか。

イランからは、もう当然政府機関の人たちやイギリス政府の人たちもみんな退避していましたので、もう起こる直前まで緊張が高まったんですけども、これ、周辺の国々が止めたんですね。サウジアラビアだとか、カタールだとかが「やめてくれ」と止めまして、イラン自身がですね、今このタイミングでやられたらもう報復するぞっていうことで、アラブの国々やっぱり米軍基地がありますので、「そこを攻撃するぞ」って脅したんですね。そんなこともあってアメリカを説得したと。あと実はですね、イスラエルも止めたんですね。

――どうしてですか。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
イスラエルは準備がまだ整ってないから今はやめてくれって言ったんですよ。

というのも米軍がですね、戦力がベネズエラの方にずっと行っていたので空母もないし。要するに、同盟国を守ったりイスラエルを守ったりする能力がないんですね。なので、このタイミングでするのはやめてくれっていうことをトランプさんに言って、それで一応止めにしたというのが実態のようですね。

中国の「認知戦」に勝つために、日本は能動的外交を

――米中関係の行方はいかがでしょうか。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
中国の習近平国家主席とすれば、アメリカとの間で世界をある意味分割するような形でお互いに共存・繁栄できるような、そういう枠組みを作ろうっていうふうに持っていきたいと思ってるはずなんですね。トランプさん自身もやはり乗ってしまいそうなところはあるんで危ういところはすごくあると思います。

実際今年はですね、4月にトランプさんが中国に行くというふうに言われていますし、そのお返しというかですね、今度は習近平がワシントンに来るといったような形で、米中首脳が会う機会っていうのが増えてきます。

日本としてはやっぱりそういう中国のストーリーにトランプさんが持っていかれないように、負けないように。これ、「認知戦」っていう私が考えたんですけど、中国はトランプさんに対して「認知戦」を仕掛けてきているというふうに思いますので、それに対抗するような「認知戦」を日本もアメリカに対して一生懸命やっていく。「これ中国の主張おかしいですよ」「乗ってしまうと大変なことになりますよ」っていうことをもう手を変え品を変えもう言い続けていかなきゃいけない。

ただ、国家安全保障戦略で唯一、インド太平洋地域はアメリカにとっても非常に死活的な重要なエリアだっていうそういう指定をしてるんですよね。なので、やっぱり海洋国家としてのアメリカの側面っていうのが、国家安全保障戦略の中でもわずかに残っているんで、そこの部分を日本としては強調して、「アメリカさん、これ大事ですよ」と。「海洋秩序を守るためにこういうことをやりましょう」ということを日本が能動的にアメリカを巻き込んで、内に籠らないように引っ張っていくっていう。そういう取り組みがやっぱり必要になってくるんじゃないかなと。

――ただ実質的に、高市さんの発言があって以来、中国との関係はもう全く駄目になってます。その中で日本はどう動くのでしょうか。

PHP総研 特任フェロー 菅原 出 氏:
中国もですね、圧力をかけると、その当時できたばかりの高市政権がぐらつくんじゃないかっていうのもあったので、相当圧力をかけてきました。

ただ、今回の選挙で、中国に対して強硬な姿勢をとってきた政権がより基盤が強くなって、新しい政権ができるということになると、中国もやっぱり姿勢を変えざるを得ないっていう部分も出てくる可能性があると思うんですよね。

なので、ある意味日本としては自分たちの政権基盤を安定させながら、当然アメリカとの関係を強固にするんだけれども、その強い基盤を持った政権として、中国に対して交渉をできる、できやすいポジションになると思うので、中国とのコミュニケーションを取らなきゃいけないですね。

間違いなくそれはしっかりとやらなければいけなくて、それはヘッジという意味も、アメリカだけに頼ることはできないという面もありますけれども、やはり危機を管理していかなきゃいけないので、それはしっかりとやっぱり紛争は避けるというところのパイプというのは持っておかなきゃいけない。その部分をやる上でも、やっぱりしっかりとした政権を作って欲しいですね。

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