ニック・キャシディを擁するインターユーロポル・コンペティションの343号車オレカ07・ギブソン 2026年IMSA開幕戦デイトナ24時間 1月22日、IMSAシリーズの最高峰ウェザーテック・スポーツカー選手権の2026年シーズンが、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで幕を開けた。走行初日にして早くも予選が終了した、伝統の一戦『ロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)』のパドックから最新トピックをお届けする。
* * * * * * * *
■ジャック・エイトケンのポールが幻に
予選後の混乱の後、アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシングの93号車アキュラARX-06(レンガー・バン・デル・ザンデ/ニック・イェロリー/アレックス・パロウ/太田格之進)が総合ポールポジションを獲得した。
木曜午後に行われた予選ではキャデラック・ウェーレンを運営するアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)が、チームとキャデラックにとって過去3年間で2度目となるデイトナ24時間のポールポジションを獲得したかに思われたが、ジャック・エイトケンがドライブした31号車キャデラックVシリーズ.Rは走行後の技術検査をパスできず、GTPクラス最後尾の11番グリッドに降格となった。
IMSAの声明によると、31号車キャデラックは「リヤスキッドブロックの摩擦面積が許容範囲を超えていた」という。また、GTDプロクラスで2番手につけたポール・ミラー・レーシングの1号車BMW M4 GT3エボも、「キャンバー角が許容値を超えている」と判断され車検不合格に。こちらもクラス最後尾から決勝をスタートすることとなる。
木曜夜のプラクティス2では、31号車キャデラックのアール・バンバーがトップタイムを記録し、これに7号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)と60号車アキュラARX-06(アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシング)が続き、トップ3を異なるメーカーが占めている。
LMP2クラスとGTDプロクラスはいずれもポールポジションを奪った43号車オレカ07・ギブソン(インターユーロポル・コンペティション)と3号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(コルベット・レーシング・バイ・プラット・ミラー・モータースポーツ)が最速タイムをマーク。GTDクラスは45号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2(ウェイン・テイラー・レーシング)が最速となっている。
インターユーロポル・コンペティションの343号車オレカ07・ギブソンをドライブするニック・キャシディは、ロレックス24に先立つIMSA公式テストの後、パリ近郊のサトリにあるステランティスの拠点でシミュレーター・セッションを完了するためにフランスへ飛んだ。彼は今季シトロエンからABB FIAフォーミュラE世界選手権に参戦しており、この2026年はプジョー9X8のドライバーとしてWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスへのデビューも予定している。
■験を担いで不運脱却へ
AOレーシングからの初参戦となったニック・タンディ(77号車ポルシェ911 GT3 Rエボ)は、GTDプロクラスの予選で15番手(=最下位)に終わった。同クラスにエントリーする2台のポルシェ911 GT3 Rが最後尾に並ぶ結果に対し、「非常に残念だ」とタンディは述べた。「フリー走行と比較して、他車との差が縮まらなかった。とはいえ、レースに向けては良いマシン、素晴らしいチーム、そして強力なピットクルーが揃っている」
75エクスプレスのケニー・ハブル(75号車メルセデスAMG GT3エボ)は、GTDプロクラスにおけるFIAブロンズ・レーティング・ドライバーの最低運転時間に関する土壇場でのルール変更に期待を寄せていると述べた。ハブルは、今年から導入された現在の最低4時間30分という規定について、同じGTDプロのブロンズドライバーであるスコット・ノーブル(ウインワード・レーシング/48号車メルセデスAMG GT3エボ)と協議していたことが知られている。
IMSAは以前、GTDプロにおいてすべてのドライバーに対し、グレーディングに関わらずレース中に最低2時間の走行を義務付けていたが、今シーズンGTDプロまたはGTPへの参戦を希望するブロンズドライバー向けの新たな承認プロセスの一環として、2025年11月にこのルールが調整された。これにより、承認されたドライバーは、プロ・アマが義務付けられているLMP2またはGTDクラスでレースをする場合と同じ最低時間を走行する必要がある。
ハブルは、ここ3年間のリタイア続きというチームの不運を断ち切ることを願い、75号車メルセデスのカラーリングをこれまでの伝統的なオレンジからクロームブルーに戻した。チームがデイトナでブルーのカラーリングを採用した前回、ハブルとコドライバーのミカエル・グルニエ、ラファエル・マルチェッロ、ルカ・ストルツは、GTDクラスで2位入賞を果たしている。
彼はSportscar365に対し、「ここでは異常なまでの不運が続いていた。ラジエーターや燃料タンクなど、これまで経験したことのないような奇妙なトラブルがあったので、何かを変えなければならなかった。あの年は全員で髪を青くしたんだ! 今年もやろうとしたが、みんな尻込みしてしまった。誰も自分だけになりたくはなかったんだろう」
この米国拠点のオーストラリア人は今季のGTDプロへの参戦にあたり、NTTインディカー・シリーズのスターであるウィル・パワー、現RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ王者のチャズ・モスタート、そして長年のメルセデスAMGファクトリー・ドライバーであるマーロ・エンゲルとチームを組んでいる。
■運転しやすくなったBMW
24号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)に、ドリス・ファントールとともに新たなフルシーズンドライバーとして加わったシェルドン・ファン・デル・リンデは、今年導入された空力アップデートにより外観が新しくなったダラーラ製シャシーのLMDhマシンが「はるかに運転しやすく」なったと語っている。これまでに多くのBMWドライバーがクラッシュを経験しているが、その原因はシャシーの剛性不足にあると考えられている。
ファン・デル・リンデはSportscar365に次のように語った。「必ずしも速くなったわけではないが、間違いなくレースを通じてより扱いやすく、安定している。ミスも減るだろうし、長いレースではマシンを適切なウインドウに保ち、コンディションに適応させることも容易になるはずだ」
ペンスキー・レーシングのジョナサン・ディウグイド社長は、GTPの新人ラウリン・ハインリッヒが、ポルシェ963でのわずか2戦目にして、いかにうまく混走に適応しているかにとくに驚いたと述べた。「彼の最初のコメントは『GTカーを追い抜く方が、追い抜かれるよりもずっと簡単だ』というもので、彼は今その立場にいられることを喜んでいる」とディグイドは語った。
ポルシェ・モータースポーツは今週末、創立75周年をスタートさせ、チーム・ペンスキーも今年で創立60周年を迎える。これらを記念し、2026年は一年を通じてさまざまなシリーズで多くの特別イベントが開催される予定だ。
IMSAのエンジニアリング担当マネージング・ディレクター、マット・カードックは、JDCミラー・モータースポーツの2025年スペックのポルシェ963について、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが使用する最新モデルとの間に充分な性能差が生じた場合、シーズン後半にBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)テーブルが変更される可能性があることを明らかにした。
「現時点でのIMSAの立場は、ふたつの世代のマシンの性能パラメーターは共通のBoPを使用できるほど充分に近いというものだ」とカードックはSportscar365に語った。「もし状況が変われば、状況を再評価する」
マクラーレン・レーシングのザク・ブラウンCEO(最高経営責任者)は、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムからデイトナに到着した。ユナイテッド・オートスポーツの共同オーナーである同氏は、今週末のHSR IMSAクラシック・イベントでジャガーXJR-16をドライブするほか、マクラーレン・エンデュランス・レーシングの代表団の一員として現地入りしており、そこにはエグゼクティブ・ディレクター兼マクラーレン・ユナイテッドASのチーム代表であるジェームス・バークレーも含まれている。
デイトナ・インターナショナル・スピードウェイは木曜日、ロレックスとの長期延長契約を締結し、世界的なブランドが引き続きデイトナ24時間レースの冠スポンサーおよび公式時計であり続けることを発表した。デイトナとロレックスのパートナーシップは1950年代から拡大を続けており、このスイスの時計メーカーは1992年にレースのタイトルスポンサーとなった。
フォード・モーター・カンパニーのジム・ファーリーCEOが、2025年のロード・レーシング・ドライバーズ・クラブ(RRDC)ボブ・エイキン賞の受賞者に選ばれ、ポルシェのレジェンドであるアルウィン・スプリンガーにはフィル・ヒル賞が授与された。さらに、2025年SCCAナショナル・チャンピオンシップの勝者であるジェイソン・ミラーがマーク・ドナヒュー賞を受賞した。3名全員に対し、水曜夜にデイトナで開催された恒例のRRDC会員ディナーにて各賞が授与された。
初日の走行を終えた第64回デイトナ24時間レースは、23日金曜11時20分(日本時間 翌1時20分)から1時間のプラクティス3が行われ、それが完了するといよいよ24日土曜の決勝を待つばかりとなる。レースのスタート時刻は13時40分(日本時間 翌3時40分)だ。
[オートスポーツweb 2026年01月23日]