プラクティス3で最速タイムを記録した6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ) 2026年IMSA開幕戦デイトナ24時間 アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されている伝統の一戦、『ロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間レース)』。1月24日(土)から25日(日)にかかる決勝レースのスタートが迫るなか、前日となる23日は最後の練習走行が行われた。そんな金曜のパドックから最新トピックをお届けする。
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■通常とは異なる方法でBoPを設定
1月23日、決勝前最後のプラクティスが行われ、ローレンス・ファントール駆る6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)が1分36秒475のトップタイムを記録。2番手には10号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ウェイン・テイラー・レーシング)が0.066秒差で続いた。ポールシッターの93号車アキュラARX-06(アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシング)は、このセッションでは10番手となった。
3度の赤旗中断を挟んだ同セッションでは、LMP2クラスは11号車オレカ07・ギブソン(TDSレーシング)、GTDプロは75号車メルセデスAMG GT3エボ(75エクスプレス)、GTDクラスは36号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(DXDTレーシング)がそれぞれ最速タイムをマークしている。
13オートスポーツのクルーは、木曜夜の練習走行中に給油時の出火に見舞われた13号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rを、決勝レースに先立つ金曜日の最終プラクティスに間に合わせるため、徹夜で修復作業を行った。GMの広報担当者によると、エンジンへの損傷はなかったという。
走行が叶ったプラクティス3では、2025年のGTDクラス優勝メンバーとふたたびマシンをシェアするマシュー・ベルがクラスで3番手のタイムを記録した。チームオーナー兼ドライバーのオリー・フィダーニは、「スタッフは一晩中働き、帰宅していない。彼らはクルマをすべて分解し、今日のために組み直した。おかげで完璧なクルマになったと思うし、レースの準備は整った。彼らのために勝つつもりだ」と語った。
最終セッションの前には、FIAブロンズ・レーテッドのドライバーによる15分間のプラクティスが行われ、クリス・カミング(プラット・ミラー・モータースポーツ/73号車オレカ07・ギブソン)、ケニー・ハブル(75エクスプレス/75号車メルセデスAMG GT3エボ)、ライアン・ハードウィック(マンタイ・ファースト・フォーム/912号車ポルシェ911 GT3 R)が非公式のトップタイムを記録した。
IMSAのエンジニアリング・ディレクターであるマット・カードックは、今週末のGTPおよびGTDプロ/GTDクラスにおけるBoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)が、過去のトラックデータではなく、各車両の公認パラメータに基づいて設定されたことを認めた。これは、すべてのLMDh車両への“エボ・ジョーカー”適用や、GT3モデルのうち3車種のエボ仕様導入、両クラスへの新型ミシュランタイヤの導入などが重なったためであるという。
カードックは、3月に開催されるセブリング12時間レースから、ローリング・レース・アベレージ方式(過去数戦の平均データに基づく調整)に戻す計画を示唆した。
今回のレースでは季節外れの暖かさが予想されており、ペンスキー・レーシングの社長と6号車ポルシェ963のレースストラテジストを兼任するジョナサン・ディウグイドは、GTPクラスに導入されたミシュランの新世代ソフトタイヤが、当初予想されたほど大きな役割を果たさないだろうと予測している。
IMSAが発行したブルテンによると、チームは土曜17時から日曜10時までの間、ソフトタイヤの使用を選択できる。一方、ミディアム・コンパウンドはレース全体を通じて制限なく使用可能だ。
ディウグイドは、「路面温度がどの程度下がる見てみよう。ソフトを使うタイミングはあるだろうが、それは好みのタイヤというよりは、練習走行でどれだけミディアムを消費したかの結果になるだろう」と述べている。
■22時間後に訪れるラスト2時間のスプリント
ポルシェ・モータースポーツの責任者であるトーマス・ローデンバッハは、GTPクラスにおけるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのファクトリー・プログラムを来年以降も継続することにコミットしていると明言した。ペンスキーはポルシェと2027年末までの契約を保持していると理解されている。
現GTP王者のマット・キャンベルは、現時点ではシーズン最初の2戦にのみ6号車ポルシェのサードドライバーとして参加することが確定しているが、長年の友人であり元僚友のマシュー・ジャミネがチームにいないことについて、「ジャムジャム(ジャミネの愛称)がいないことが、すべてにおいてもっとも奇妙な部分だ」と心境を語った。「でも、今週もずっとメッセージをやり取りをしているよ」
2026年のWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスでデビュー予定のジェネシス・マグマ・レーシングと契約したジャミネは、2021年以来初めてデイトナを欠場する。一方、フェリペ・ナッセ(7号車ポルシェ963)は、ピーター・グレッグ(1973年、1975〜76年)やエリオ・カストロネベス(2021〜23年)に続くデイトナ総合3連覇を目指している。
WRTのチーム代表であるヴァンサン・ボッセは、チームがペースに苦しんでいるにもかかわらずBMW MハイブリッドV8でのGTPデビューを控え、前向きな姿勢を見せている。BMWの24号車と25号車は予選9番手と10番手だった(編注:31号車キャデラックVシリーズ.Rの降格により8、9番手に繰り上がった)。
ボッセは次のように語った。「アメリカに来るのは、私たちにとって当然大きな挑戦だ。ウェザーテック・スポーツカー選手権への準備期間はわずか数カ月だったが、私たちはここに立ち向かう。レースの前半がどのように展開していくのか、本当に楽しみなんだ。よく言うように、22時間レースの後に2時間のスプリントが続くようなもので、そこでは壮観なフィニッシュが見られることを楽しみにしている」
今週末、パフ・モータースポーツからデビューするランボルギーニのファクトリードライバー、ミルコ・ボルトロッティと、チームマネージャーのスティーブ・ボルトロッティが、祖父を通じて親戚関係にあることが明らかになった。
「僕の祖父はカナダ生まれで、曽祖父は1800年代後半にイタリアを離れてカナダに農業を始めた」とスティーブ。「僕の祖父とミルコの祖父は従兄弟同士だったんだ。僕たちはふたりとも青い目をしている。彼がイタリアのどの地域の出身なのかを知ったあとすぐに父に話したら、『きっと親戚だろう』と言われたよ」
■バリチェロ、WECでもTHORアストンをドライブか
フェラーリの耐久レースカー部門責任者、フェルディナンド・カンニッツォは、296 GT3のエボ・アップデートに対して、ドライバーやエンジニアから得られた一貫した肯定的なフィードバックに満足感を示した。カンニッツォは、「うまく機能しているクルマを変更する際は、逆効果になるリスクもあり容易ではない。しかし良い方向に働いたことを嬉しく思う」と述べた。
一方で、GTDプロクラスのフェラーリは予選4番手、GTDクラスは6番手が最上位だった。「インフィールドでは最速だが直線パフォーマンスが不足している。レースは難しくなるだろう」とカンニッツォ。「巧みな戦略でパッケージをうまくコントロールし、最終的にどこまで到達できるか見守りたい」
メルセデスAMGのカスタマーレーシング責任者ステファン・ウェンドルは、トルクセンサー関連のトラブルに慌てふためいた前年と比較し、今年は顧客チームがより良い準備を整えており、ドライバーたちにも自信が見えると述べた。
「昨年のロア(IMSA公式テスト)では、ドライブシャフトの開発など土壇場でのあらゆる面で苦戦したが、チームの素晴らしい仕事のおかげでレースに間に合うことができた。今回はより良い準備が整っていると感じている」とウェンドル。
同氏はまた、2027年デビューと目される現行GT3エボの後継機の開発が計画どおりに進んでいることを認めた。「毎週、テストと開発を進めている。着実に進歩しており、すべて計画どおりだ」
ハート・オブ・レーシング・チームは、WECとの日程重複が発生するふたつのイベント(ロングビーチとモスポート)でのトム・ギャンブルの代役をまだ決定していないが、新加入のエドゥアルド・バリチェロがGTDクラスにフルシーズン参戦することを発表した。
しかしチーム代表のイアン・ジェームスは、バリチェロがWECのラインアップに加わる可能性も示唆している。「正直なところ、2台目のマシンはまだ検討中だ」とSportscar365に語ったジェームス。「選択肢はたくさんあるが、ドゥドゥ(バリチェロの愛称)は我々のラインアップの中で間違いなく強力なシルバードライバーだ」
ユナイテッド・オートスポーツのリチャード・ディーン代表は、LMP2クラスのフルシーズン・ラインアップを明確にした。2号車はポール・ディ・レスタ、22号車には新たにマクラーレン・ハイパーカーのドライバーに指名されたミケル・イェンセンが、WECと重なる日程を除いてフル参戦する。モスポートでのディ・レスタでの代役については、ベン・ハンリーやグレゴワール・ソーシーら今週末に英米チームで走るグループの中から選ばれる予定だ。
[オートスポーツweb 2026年01月24日]