優勝を喜ぶラウリン・ハインリッヒ、フェリペ・ナッセ、ジュリアン・アンドラウアー(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ/7号車ポルシェ963) 2026年IMSA開幕戦デイトナ24時間 1月25日、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで、前日24日より行われていたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦『第64回デイトナ24時間レース』の決勝レースがフィニッシュを迎え、フェリペ・ナッセ/ジュリアン・アンドラウアー/ラウリン・ハインリッヒ組の7号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)が総合優勝を果たした。963とポルシェ・ペンスキー、そしてナッセのデイトナ制覇は3年連続。
■93号車アキュラが1ラップダウンから挽回
北米耐久シリーズの最高峰、ウェザーテック選手権が、今季2026年もデイトナで幕を開けた。世界三大耐久レースのひとつに数えられる伝統の一戦には、GTP、LMP2、GTDプロ、GTDの計4クラス都合60台がエントリー。WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスと車両規定を同じくするGTPは総合優勝を、その他のカテゴリーでもスタート直後からクラス優勝をめぐる激しい争いが繰り広げられた。
前半戦はポルシェ963勢が強さを見せるなか、レースは夜間に濃い霧がサーキットを覆い視界不良に陥ったため、スタートから11時間が過ぎた頃から6時間33分におよぶ非常に長いフルコース・コーション(セーフティカーラン)が導入された。
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7号車ポルシェが首位に立った状態で、レースは残り6時間21分で再開に。BMW MチームWRT勢が2番手と3番手につけ、31号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ウェーレン)が続いたが、24号車BMW MハイブリッドV8はドライブスルー、31号車キャデラックも直前のピット出口の赤信号を無視したとして60秒のストップペナルティを受け隊列の後方に移動する。
代わって6号車ポルシェが3番手に浮上すると、25号車BMWをパスして姉妹車とのワン・ツーを再構築した。ポルシェ・ペンスキーの6号車は前半戦の接触による右サイドボディのダメージが心配されたが、延々と続いた夜間のコーションの間に短いピットストップを繰り返し、フロアを含むダメージ部の応急処置を行っていた。
レース後半戦に導入された2度目のコーションは、ローガン・サージェント駆る18号車オレカ07・ギブソン(Eraモータースポーツ)が他車との接触後にターン1でストップしたことが原因に。ここで格之進組93号車アキュラがリードラップに復帰。一方、首位には25号車BMWが躍り出たが、残り3時間半過ぎのピットストップが終わるとポルシェの2台がふたたびBMWを逆転している。
その後、ピットタイミングの関係で6号車が後方に下がる場面も見られたものの、最終スティントに向けて再度ワン・ツーを築いたポルシェ勢。最後も盤石かと思われたが、残り40分、最後のピットストップを終えると首位7号車と6号車の間にジャック・エイトケンの31号車キャデラック、マルコ・ウィットマン駆る25号車BMWが割り込んだ。
4番手に順位を落とした6号車ポルシェがすぐに25号車BMWを攻略するも、その後ペースが上がらず24号車BMWに逆転を許すなか、その10秒前方でトップの座を争う7号車ポルシェと31号車キャデラックが急接近する。フィニッシュまで残り30分、ナッセとエイトケンによる手に汗握るバトルが始まった。
2台は2度、3度とテール・トゥ・ノーズの状態になるが、チームとともに3連覇を目指すナッセの意地が勝りエイトケンに決定機を許さず。結果、7号車ポルシェがライバルを挑戦を退け24時間レースのトップチェッカーを受けた。追い上げを見せた31号車はわずか1.569秒およばず。3位には24号車BMWが入り、3メーカーが表彰台を分け合っている。
6号車ポルシェは最終的に4位に終わり、太田格之進が霧のなか4時間弱にわたって夜間走行を行った93号車は1ラップダウンの遅れから挽回して5位入賞。以下、40号車キャデラック、85号車ポルシェ、25号車BMW、60号車アキュラまでの上位9台がリードラップでフィニッシュし、GTPクラス10位/総合31位となった23号車アストンマーティン・ヴァルキリーは44週おくれで完走している。唯一のリタイアは、残り2時間の時点でエンジントラブルに見舞われた10号車キャデラックだ。
■GTD/GTDプロは最終盤まで予測不能
LMP2クラスは、日曜朝の再開時に6番手だった343号車オレカが、ニック・キャシディのオーバーテイクショーによって一気に首位へ浮上。その後、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ駆る姉妹車43号車オレカに抜かれながらインターユーロポル・コンペティション勢がワン・ツーを築くも、黄色と黄緑のリバリーが特徴の2台は、残り4時間を切る前にマルテ・ヤコブセンの04号車オレカ(クラウドストライク・レーシング・バイ・APR)にリードを奪われた。
スタート直後のアクシデントを含め前半戦から度々スピンなどが見られた04号車オレカだったが、終盤はヤコブセンとアレックス・クインが快走を見せ、そのままライバルから逃げ切ってクラス優勝を飾った。2位は43号車オレカ、3位には同じくインターユーロポルの343号車が入っている。
世界中の名だたるGT使いが集結する“激戦区”GTDプロクラスでは、シボレー・コルベットZ06 GT3.R勢と1号車BMW M4 GT3エボ(ポール・ミラー・レーシング)を中心に接近戦が展開されたが、朝のリスタートから1時間過ぎた頃、クラス首位を走っていた3号車コルベットが白煙を上げてスロー走行に。ダメージを負った右リヤの足回りの修復作業を余儀なくされ、優勝争いから脱落する。
このトラブルの後はコルベット・レーシング・バイ・プラット・ミラー・モータースポーツの姉妹車4号車がトップに立ち、991号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ)や1号車とバトルを繰り広げる。しかし64号車フォード・マスタングGT3(フォード・レーシング)のエンジンブローが原因となったコーション後のリスタートで、4号車も他車に押し出されるかたちでコースオフを喫しクラス最後尾まで落ちてしまう。
それでも、コルベットはふたたび上位に復帰し、マンタイ・ポルシェとポール・ミラーのBMWと2番手を争う。一方、残り1時間の段階でリードを奪ったのは“伏兵”75号車メルセデスAMG GT3エボ(75エクスプレス)だった。だが、全車が最後のピット作業を終えると1号車BMWがクラスリーダーに浮上。最後はダン・ハーパーが1号車BMWをフィニッシュラインへと運びGTDプロクラス優勝を果たした。
2.223秒差のクラス2位は、インディカースターのウィル・パワーを起用した75号車メルセデス、3位は48号車メルセデスAMG GT3エボ(ウインワード・レーシング)となった。4号車コルベットは4位に終わり、ニュルブルクリンク24時間などでお馴染みの“グレロカラー”で参戦したマンタイの911号車ポルシェがトップ5を締めくくった。
GTDプロと同じくFIA GT3カーを使用するプロ・アマのGTDクラスでは、レース終盤に同門の27号車(ハート・オブ・レーシング)をコース上で抜いてトップ立った44号車アストンマーティン・バンテージGT3エボ(マグナス・レーシング)と、これをラスト19分で逆転した57号車メルセデスAMG GT3エボ(ウインワード・レーシング)の優勝争いがファイナルラップまで続いた。
最高峰のGTPクラスと同様に1コーナーを中心にバトルが展開され、ときに接触する場面がありながらも最後は現シリーズ王者、フィリップ・エリス駆る57号車メルセデスに軍配が上がった。敗れたマグナス・アストンマーティンとのタイム差は1.367秒だった。
クラス3位には27号車アストンマーティンが入り、ディフェンディングチャンピオンの13号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R(13モータースポーツ)は最終盤に他車に追突されスピンを喫しながら4位に食い込んでる。クラス5位は、女性ドライバーのリル・ワドゥもドライブした21号車フェラーリ296 GT3エボ(AFコルセ)だ。
ウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦となる第2戦『モービル1・セブリング12時間』は、フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで3月21日に開催される。
[オートスポーツweb 2026年01月26日]