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東邦大学などの研究グループが発表した論文「Accacoeliid trematodes in two sunfish species, Masturus lanceolatus and Mola mola, in Japanese waters」は、日本近海に生息するマンボウとヤリマンボウの寄生虫調査の研究報告だ。合計10種の吸虫を発見し、そのうち4種が新種であることを明らかにした。
マンボウはのんびりとした風貌で水族館でも人気の大型魚だが、「寄生虫が多い魚」として知られている。しかし実際にどのような種の寄生虫がどの程度寄生しているかについては、これまで十分な調査が行われてこなかった。
加えて近年、マンボウ類の分類が更新され、かつて日本近海で単に「マンボウ」とされていたものには、形態の類似したマンボウとウシマンボウの2種が含まれることが判明している。過去の寄生虫記録では宿主がどちらの種だったか不明なため、現在の基準で宿主を同定し直す必要があった。
研究グループは今回、マンボウとヤリマンボウ計8個体を対象に、マンボウ類の寄生虫として知られるAccacoeliidae科の吸虫を調べた。その結果、ヤリマンボウ4個体から341虫体、マンボウ4個体から156虫体、合計497虫体の吸虫が得られた。
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形態観察とDNA解析による詳細な調査の結果、吸虫は5属10種に分類され、うち4種が未記載の新種であることが判明。新種にはクモガクレマンボウキュウチュウ、ベンガラマンボウキュウチュウ、オトヒメマンボウキュウチュウ、トンガリマンボウキュウチュウモドキの和名が与えられた。なお、これらの寄生虫が人に感染した報告はない。
宿主であるマンボウは、IUCN(国際自然保護連合日本委員会)のレッドリストで危急種に指定されている。マンボウが減少すれば、そこに寄生する吸虫も生息場所を失うことになる。今後、より多くの種や個体数、海外を含めた広い海域で調査を進めることで、マンボウ類の寄生虫相がさらに解明されることが期待される。
Source and Image Credits: Waki, T., Nakano, H., Okawa, T. et al. Accacoeliid trematodes in two sunfish species, Masturus lanceolatus and Mola mola, in Japanese waters. Syst Parasitol 103, 2(2026). https://doi.org/10.1007/s11230-025-10259-3
※Innovative Tech:2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
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