
【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、浜辺美波さんと目黒蓮さんの共演作『ほどなくお別れです』(2026年2月6日公開)。「小学館文庫小説賞」大賞を受賞した長月天音さんの同名小説シリーズを映画化した作品です。試写で鑑賞させていただいたのですが、開始10分ほどでもうボロ泣きしていました……。
それでは、物語から。
【物語】
就職活動連敗中の清水美空(浜辺美波さん)は、ある人のお葬式で葬祭プランナーの漆原礼二(目黒蓮さん)に出会います。実は美空には、亡くなった人が見えるという能力がありました。誰にも話していなかったのですが、漆原はその力に気付き、自身が勤務する葬儀会社に彼女をスカウトします。
漆原は厳しい指導者でしたが、故人とその遺族に真摯に寄り添う姿を見て、美空は尊敬の気持ちも芽生えてきます。そして彼女は故人の思いに耳を傾け、故人と遺族が納得してお別れできるように漆原をサポートしていくのですが……。
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【開始早々に泣いてしまった理由】
葬祭プランナーの物語なので、お葬式や大切な人との別れを描く作品だということはわかっていたのですが、自分が開始早々にこんなに泣いてしまうとは!
美空が始めて担当するのは、出産を目前にして歩道橋から転落死してしまった柳沢玲子(古川琴音さん)のお葬式。妻とお腹の赤ちゃんを失い、茫然としている夫の亮太(北村匠海さん)に伝えたいことがあると玲子は、お葬式の日に美空の前に現れ、あるお願いをします。そのエピソードと、亮太が玲子の思いを受け止めて悲しみにくれるシーンで私の涙腺は大崩壊!
玲子のお葬式での一件により、漆原は美空に特別な力があることを知り、その力を故人と遺族のために使ってみないかと彼女に提案するのです。そして美空は漆原が葬祭プランナーを務める葬儀会社のインターンになるわけです。
【大切な人とのお別れを理解するということ】
葬儀会社のインターンになってから、美空はいくつかの葬儀で漆原のサポートをします。
幼い子どもの病死、シングルマザーとして頑張ってきた女性の交通事故死……。それらのエピソードにも遺族の知らなかった故人の思いがあり、美空を通して思いを知ることで、きちんとお別れができるようになるのです。
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特に幼い娘を亡くした母を演じた志田未来さんのお芝居にはずっと泣いていた私。今思い出してもうるっときちゃうわ……。
【美空と漆原のバディ】
葬儀の過程で、美空は漆原が事故や事件など遺族にとって受け入れ難い葬儀を主に担当するプランナーであること、遺族と故人の気持ちを優先するあまり葬儀会社にとっては無理難題もあること、それでもとても信頼されていることを知ります。
加えて、彼自身の過去を知ることに……。また、美空にも心に抱いていた家族への思いがありました。
いずれも切なく辛いものですが、本作の魅力はふたりが悲しみに流されず、ちゃんと生きていることと、美空&漆原のよきバディっぷり。
厳しい先輩とちょっとポンコツな後輩のかけあいは「ただ悲しいだけの映画にはさせない」という心意気を感じましたし、目黒蓮さんの生真面目な感じと浜辺美波さんのくるくると変わる豊かな表情、そしてスター俳優ふたりの華も本作を彩っていました!
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【死は終わりではない】
後半は「死の受け止め方」を考えさせる展開になっていくのもよかったです。死は永遠のお別れじゃない。「大好きな人たちが先に天国へ行って待っている」、そう思えば、死への恐怖心は和らぎますよね。
この映画で妻や娘や母を亡くした遺族たちもそう思うことが生きる力になっているのではないかと思いました。彼らの心をそのように導いたのは美空と漆原。それもまた葬祭プランナーの仕事であると漆原は考えていたのではないでしょうか。
大切な人とのお別れは、誰もが通る道だと思いますし、悲しいことです。でも『ほどなく、お別れです』は、そんな気持ちをほぐし「死」に向き合う力を与えてくれる映画。必見ですよ。
執筆:斎藤 香(c)Pouch
■『ほどなく、お別れです』
2026年2月6日(金)より全国ロードショー
原作: 長月天音「ほどなく、お別れです」シリーズ(小学館文庫刊)
監督: 三木孝浩
脚本監修: 岡田惠和
脚本: 本田隆朗
出演:浜辺美波 目黒蓮
森田望智 / 古川琴音 北村匠海 志田未来 渡邊圭祐
野波麻帆 西垣匠 久保史緒里 / 原田泰造
光石研 鈴木浩介 永作博美
夏木マリ
クレジット:©2026「ほどなく、お別れです」製作委員会 ©長月天音/小学館
