
ドン・キホーテなどを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスグループ(PPIH)が、Z〜α世代をターゲットとした専門店「キラキラドンキ」を拡大している。2022年5月に東京・お台場で1号店をオープンして以降、現在は全国に8店舗を展開。従来のドンキとは異なる立地と売り場づくりで、これまで接点の少なかった若年層の取り込む。
●「かわいい」を売るキラキラドンキ
キラキラドンキで扱うのは、カラーコンタクトや化粧品、菓子類、バラエティーグッズなどが中心だ。商品自体は既存のドンキでも扱っているものが多いが、キラキラドンキでは「カワイイ」「SNSで話題」「トレンド感」などを前面に押し出す。
TikTokで話題になった商品を集めたコーナーや、流行のお菓子をそろえた棚を設けるなど、トレンドの変化に合わせて品ぞろえを柔軟に変えているという。
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派手な手書きポップが定番の通常ドンキに対し、キラキラドンキではタブレットなどのデジタルで描いたポップを採用。パステル調の柔らかい色合いと緩いタッチで、独自の「カワイイ」を演出する。専門のポップライターはおらず、入社間もない若いアルバイトがポップ制作を担うこともあるそうだ。
壁紙もピンクや水色、黄色、紫といったパステルカラーを基調とし、従来のドン・キホーテとは異なる空間を演出する。
出店先はショッピングモールや駅直結型のファッションビルなどのテナントが中心。売り場面積は80〜100坪程度と、200〜3000坪規模の通常店に比べてコンパクトだ。販促も折込チラシなどを活用する従来とは異なり、SNSを中心に情報発信する。
●ターゲットは女子高生とファミリー層?
年齢や性別を問わず幅広い層を対象とする通常のドンキに対し、キラキラドンキでは立地ごとにコアターゲットを設定し、売り場を作り込む。
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PPIHで小型業態プロジェクト責任者を務める佐藤大祐氏は「これまでのドンキでは接点のないお客さまと接点を持てるように、ターゲット層を絞ったとがりのある店づくりをしている」と話す。
近鉄パッセ店(名古屋市)や博多マルイ店(福岡市)といった駅直結型のビルに出店する店舗では、来店客の9割以上が女子高校生を中心とした若年層だ。そのため店内はピンクを基調とした内装で、かわいらしい雰囲気を演出。店舗正面には化粧品やカラーコンタクトを配置することで、通学・通勤動線上で立ち寄りやすいようにしている。日常的に利用される立地にあるため来店頻度が高く、特にカラーコンタクトは通常のドンキよりもリピート率が高いそうだ。
一方、ダイバーシティ東京 プラザ店(東京都江東区)や海老名ビナウォーク店(神奈川県海老名市)といったショッピングモール内の店舗では、若年層に加えて子ども連れのファミリー層が約4割を占める。そのため、内装はピンク一色にせず年齢やジェンダーを問わず入りやすい雰囲気にしているそうだ。扱う商品は駅直結型のビルに出店する店舗と変わらないが、店頭にお菓子やキャラクターグッズを、奥に化粧品を配置している。
「駄菓子屋に行く感覚でアメやグミを買う場として利用されている。お母さんやお父さんと一緒に来店し、子ども買ってあげるシチュエーションも多い」と佐藤氏は話す。おもちゃ付きお菓子の販売や、綿あめ機、クレーンゲームの設置など「楽しい」「また来たい」と思わせる仕掛けも取り入れる。
お台場に位置する「ダイバーシティ東京 プラザ店」では来店客の約2割が訪日外国人で、キャラクターグッズやコスメ、スキンケア商品、菓子類が支持されているという。
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客単価は既存のドンキと比べて約3割程度だが、粗利率はキラキラドンキの方が高い。生鮮食品などの粗利率の低い商品を扱わず「カワイイ」「バズっている」といった付加価値で価格を成立させやすいためだ。
「『安さ』で売るのではなく、来店価値や商品の使用満足などに由来する商品が多いので、演出によって価値を伝えやすい。結果として通常のドンキよりも粗利率が高い」と説明する。
●若手に任せた店づくり
キラキラドンキの運営を支えているのは、若手社員や女性社員が中心だ。これまで店長経験のなかった人材を積極的に起用し、売り場づくりの裁量を委ねている。
売り場の雰囲気やビジュアルについて新店の企画時からヒアリングを行い、来店客と年齢の近い従業員の感性を反映させているという。現場に権限を渡すことで、等身大の「カワイイ」を形にする。
「社内公募などで、やりたい人間を抜てきしている。キラキラドンキは社内的にも『カワイイ』『楽しい』といったイメージがあるが、店長という役割は、これまでの売り場責任者などとは全く異なる職種になる。分からなくて当たり前という前提で任命して、ある程度は本人に任せてサポートしている」そうだ。
キラキラドンキの店長経験者の次のキャリアを踏めるよう、複数店舗を監修するSV(スーパーバイザー)職も新設した。
今後は店舗展開の成功と失敗を検証しながら、新店拡大を進める考えだ。30〜50代の主婦層をターゲットにした業態「Re:Price」(リプライス)と組み合わせ、年代ごとに異なる顧客接点をつくる。
佐藤氏は「キラキラドンキは、通常ドンキとは異なる立地によって新たに顧客接点を作れる重要なツール。お客さまのライフステージが変わっても、ドンキ全体でずっと顧客接点を持ち続けられるよう成長できればと思っている」と意気込んだ。
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