
平均世帯視聴率は13%前後をキープし、好調の『豊臣兄弟!』。大河ドラマ王道の戦国時代が舞台とあり、往年の大河ファンからは期待の声が。しかし、戦国大河の中にも、名作もあれば駄作もあり─。ということで、30代〜60代男女500人にアンケート。名作の戦国大河といえば?
大河ドラマのスタンダードが生まれた、5位は『天と地と』(1969年)
アンケートには、「海音寺潮五郎の原作、冨田勲の音楽、俳優陣の迫力と、大河らしい荘厳さ。不朽の名作」(宮崎県・68歳・男性)、「昭和の時代ならではのじっくりとしたストーリーが濃厚で味わいがある」(岩手県・69歳・男性)、「高度成長期でテレビが娯楽の王様の時代、上杉と武田の因縁の合戦が再現された映像に心奪われた」(茨城県・67歳・男性)との声が集まり、24票獲得。
「7作目の大河で、初のカラー放送でした。主演の石坂浩二さんがブレイクし、信玄役の高橋幸治さんも人気が出て、“信玄を殺さないで”と嘆願が殺到したそうです」
と言うのは、漫画家でドラマウォッチャーのカトリーヌあやこさん。さらにこんな裏話も。
「実は前作の評判が悪く、これで大河は最後にするつもりだったのが、予想外のヒットで大河が存続した。当時はCGもなく、大規模なロケをしているので合戦シーンも大迫力。ヒーローとダークヒーローがいて、ダイナミックな合戦シーンがあるという、大河ドラマのスタンダードが生まれた。歴史に残る作品」(カトリーヌさん、以下同)
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4位は『どうする家康』(2023年)
「松潤の頼りない家康が面白かった」(埼玉県・39歳・男性)、「新解釈で楽しかった」(北海道・61歳・男性)、「最近だったのでなんとなく記憶がある」(北海道・52歳・女性)と、25票獲得。
「岡田准一さん扮する信長が家康を“俺の白ウサギ”と言ったのにはびっくり。家康といえば狸親父というイメージだけど、新しい家康像でした」とカトリーヌさん。古沢良太脚本、主演は松本潤で話題に。
「山田孝之さん演じる服部半蔵は忍びなのに忍びたくなかったり、キャラ設定が独特。松重豊さんら家臣団が家康を支えながら戦国時代を生き延びていく、ある種のファミリー感が受け入れられたのではないでしょうか」
3位は『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』(2002年)
「キャストもよかったし、展開も変化に富んでいて毎回楽しみにしていた」(大阪府・62歳・男性)、「歴史であまり学ぶことがない主人公のストーリー、出演者が印象深かった」(山形県・57歳・女性)と、27票獲得。
「トレンディードラマ全盛期のころで、トレンディードラマで人気の俳優がそろってる。普段は大河を見ない、月9ドラマにハマっていた人にも受け入れられました」
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主人公の前田利家は唐沢寿明、妻・まつは松嶋菜々子。
「まつは良妻賢母として有名で、『わたくしにお任せくださいませ』と決めゼリフを言い、夫を操縦していく。子育てエピソードや夫婦ゲンカがあったりと現代の私たちにも見やすく、加賀百万石大名になる出世物語としても楽しめました」
2位は『真田丸』(2016年)
「登場人物の個性が際立っていて非常に印象に残りました。大河にしては笑える要素が多すぎだけど、毎回面白くて夢中になりました」(秋田県・59歳・女性)、「毎回何が起こるか楽しみに待っていた。配役もとてもよかった」(岡山県・53歳・男性)と、68票。
「三谷幸喜さんは『新選組!』『真田丸』『鎌倉殿の13人』と3本、大河を書いていて、人間模様の描き方が秀逸」とカトリーヌさん。真田信繁を題材にした三谷オリジナル脚本で、堺雅人主演、ヒロインを長澤まさみが務めている。
「例えば小日向文世さん演じる秀吉は好々爺のようだけど目は笑ってない。晩年の秀吉が失禁する場面では、側室の茶々を演じた竹内結子さんが冷めた目で見ている。コミカルと残酷性の温度差がすごく、惹きつけられました」
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最高視聴率47・8%を叩き出した名作1位は『独眼竜政宗』(1987年)
「主役はもとより、配役・筋立て、すべて卓越。近年の実力より人気を優先させたものは見たくない」(東京都・52歳・男性)、「渡辺謙の演技が素晴らしかったので印象的」(神奈川県・53歳・男性)、「重厚感があり豪華絢爛で素敵でした」(東京都・66歳・女性)と71票を集めた。
「当時27歳だった渡辺謙さんが主演し大ブレイク。幼小時代の子役が言う『梵天丸もかくありたい』は流行語になりました」
ジェームス三木さんの脚本で人気を博し、最高視聴率47・8%を記録。秀吉役の勝新太郎さん、家康役の津川雅彦さんなど、ベテラン勢の存在感も光った。
「勝さんはリハーサルを一切やらずぶっつけ本番、しかも脚本を無視してひと言も話さなかったとか。渡辺さんと勝さんが対峙するシーンでは、その緊張感が伝わってくるかのよう。津川さんも絵に描いたような狸親父の家康を演じている。戦国時代といえば、信長、秀吉、家康の三英傑が登場するけれど、三英傑をみんなのイメージと合う人が演じていると評価が高い。そういう意味でも、配役もよかったし、時代劇が似合う俳優がたくさんいた時代でした」
1963年に始まり、大河は今期で第65作目を数える。過去作と差別化を図り、新たな切り口に挑む例は多いが、
「新解釈や新演出を取り入れたいのはわかるけど、見ているほうはつまずいちゃう。視聴者はもっと普通に歴史を描いてほしいと思っているはず」
放送中の『豊臣兄弟!』は、秀長の目線で戦国時代をダイナミックに描く、としている。カトリーヌさんの評価は?
「脚本は『半沢直樹』や『下町ロケット』の八津弘幸さん。豊臣兄弟がのし上がっていく過程で、『戦国倍返しだ!』が起こるのでは? きっとカタルシスと涙があるはずで、この先の展開が期待できそうです」
『豊臣兄弟!』は、将来ランキング入りを果たすのか─。
<取材・文/小野寺悦子>
カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など
