
平均世帯視聴率は13%前後をキープし、好調の『豊臣兄弟!』。大河ドラマ王道の戦国時代が舞台とあり、往年の大河ファンからは期待の声が。しかし、戦国大河の中にも、名作もあれば駄作もあり─。ということで、30代〜60代男女500人にアンケート。駄作の戦国大河といえば?
宣教師視点の謎作品がランクイン!5位は『信長 KING OF ZIPANGU』(1992年)
「よくわからないタイトルで途中で見なくなった」(山梨県・61歳・女性)、「宣教師にこだわりポイントがずれた」(東京都・61歳・男性)、「配役がイマイチ」(大阪府・52歳・男性)と、12票。
「ポルトガル人の宣教師ルイス・フロイスの視点で描かれた信長という謎な大河。フロイスを演じたのがフランク・ニールさんという方で、誰?と思ってしまう。重要な人が無名だと厳しい」(漫画家でドラマウォッチャーのカトリーヌあやこさん、以下同)
主演の信長を当時若手だった緒形直人が演じている。
「信長といえばエキセントリックな独裁者。でもここでは普通の青年だったという解釈で、暗くいつも思い悩んでいる。最後は悟りの境地に達し、真っ白いスピリチュアルな世界で終わる。みんなそこで、はて?と思ったのでは」
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4位は『麒麟がくる』(2020年)
「旧説として滅びつつある明智怨恨説を使い回した」(埼玉県・42歳・男性)、「いろいろトラブルがあって、話の筋がよくわからなかった」(新潟県・63歳・女性)、「コミカルな感じやタイトルが合わなかった」(東京都・32歳・男性)と、15票。
「主人公の明智光秀を演じた長谷川博己さんは素晴らしかった。けれど、なにせ不運続きでした」
まず沢尻エリカの不祥事により信長の妻・帰蝶役が川口春奈に代わり、撮り直しに。結果、2週間遅れてのスタートとなる。さらにコロナ禍が始まり、2か月間放送を休止し、最終回が翌年2月にずれ込んだ。
「これだけアクシデントがあると物語もズタズタになってしまう。最終回も微妙でした。光秀は本能寺の変の直後に殺されるけれど、ここでは生きたまま希望に満ちて終わる。コロナ禍真っ最中で、希望がある終わり方にしたのだと、今にして思います」
3位は『江〜姫たちの戦国〜』(2011年)
「雰囲気や脚本が安っぽく、これで大河?と疑問に思った」(秋田県・59歳・女性)、「ご都合主義がひどすぎ。大河の重厚感がない」(千葉県・56歳・女性)と25票。
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「ヒロインが歴史を動かしすぎるという問題があった。江が歴史上の重要なシーンにことごとく現れたりと、設定に無理があります」
脚本は『篤姫』の田渕久美子。上野樹里が浅井長政の三女・江の6歳から晩年までを演じた。
「有名な伊賀越えの場面になぜか江がいるし、本能寺の変の前には信長と2人で語り合っていたりする。あまりにも歴史が改変されすぎて、そりゃないだろうという感じ。江が岸谷五朗さん演じる秀吉のことを『サル』と言っていて、そんなことあるのかと、いちいちツッコんでしまう大河でもありました」
2位は『おんな城主 直虎』(2017年)
「史実とあまりにかけ離れていた」(新潟県・56歳・男性)、「主人公の演技が軽く、もう少し重厚感が欲しかった」(愛知県・51歳・女性)、「女性を主人公にして、こじつけ、違和感があった」(長崎県・67歳・女性)と、45票。
「遠江井伊谷の領主・井伊直虎が女性か男性か、史実でははっきりしていない。さらによく知られてない主人公ということで、エピソードが創作になってしまいがち」
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脚本は『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の森下佳子、主人公の直虎は柴咲コウ。小野但馬守政次役の高橋一生がブレイクを果たした。
「政次は歴史上では悪人だけど、改変されて、あえて直虎に処刑されることで彼女を救うというエピソードになっていた。柳楽優弥さんや菅田将暉さんなどイケメンがいっぱい出てきて、女性にはわりとウケたと思う。反面、男性の大河ファンからそっぽを向かれたところも。ヒロイン大河は少女漫画的になると男性が離れる傾向があります」
矛盾が目立った近年の作品が1位に! 1位は『どうする家康』(2023年)
「ストーリーに一貫性がなく、誇張したシーンが多い。内容がお始末すぎ」(茨城県・69歳・男性)、「松本潤は大河の顔ではない。人気本位で配役するNHKのやり方にはうんざり」(東京都・52歳・男性)、「これほど魅力のない家康もなかった」(埼玉県・61歳・男性)と、135票でぶっちぎりの首位。
「歴史改変、人物像の解釈違い、戦が少なく合戦シーンがしょぼい。これが評判の悪い大河の共通要素」とカトリーヌさん。作中は人物設定のアレンジが目立ち、とりわけLGBTQ+描写に疑問を口にする。
「家康の妻の築山殿は歴史上は悪妻だけど、聖女に描かれていて、戦なき世を提言する。戦国時代でそう言われても、と矛盾が生まれてしまう。家康の側室は女性が好きで、『家康に触れられて吐き気がする』と言う。もう1人の側室は女性の社会進出を訴えて去っていく。多様性にもほどがあります」
1963年に始まり、大河は今期で第65作目を数える。過去作と差別化を図り、新たな切り口に挑む例は多いが、
「新解釈や新演出を取り入れたいのはわかるけど、見ているほうはつまずいちゃう。視聴者はもっと普通に歴史を描いてほしいと思っているはず」
放送中の『豊臣兄弟!』は、秀長の目線で戦国時代をダイナミックに描く、としている。カトリーヌさんの評価は?
「脚本は『半沢直樹』や『下町ロケット』の八津弘幸さん。豊臣兄弟がのし上がっていく過程で、『戦国倍返しだ!』が起こるのでは? きっとカタルシスと涙があるはずで、この先の展開が期待できそうです」
『豊臣兄弟!』は、将来ランキング入りを果たすのか─。
<取材・文/小野寺悦子>
カトリーヌあやこ 漫画家&テレビウォッチャー。著書にフィギュアスケートルポ漫画『フィギュアおばかさん』(新書館)など
