再就職のために父ちゃんは殺人鬼になるしかなかった!?やっぱりイ・ビョンホンはすごい映画『しあわせな選択』は容赦ないぞ

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2026年03月05日 22:20  Pouch[ポーチ]

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【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、イ・ビョンホン主演の最新作『しあわせな選択』(2026年3月6日公開)。『オールド・ボーイ』『別れる決心』など、世界的に人気のあるパク・チャヌク監督作。試写で鑑賞しましたが、ビョン様が大熱演、現代社会の闇をブラックユーモア満載で描いた超ユニークな作品でしたよ。では物語から。

【物語】

製紙会社に勤めるマンス(イ・ビョンホンさん)は会社から表彰されるほど有能な社員。妻のミリ(ソン・イェジンさん)と2人の子ども、愛犬2匹と幸せに暮らしていました。

しかしある日、マンスはリストラに遭ってしまいます。

再就職は一向に決まらず、貯金も底が見えはじめ、ミリは家を手放そうと考えます。ギリギリまで追い詰められたマンスは、大手製紙会社への就職を勝ち取るため “あるアイデア” を思い付きます。しかしそれは、命懸けの危険な賭けだったのです!

【再就職のために悪魔に魂を売った男】

冒頭、幸せ家族のシーンから始まります。大きな家、仲のいい夫婦、子どもたちも愛犬たちも元気。みんなで抱き合って幸せを噛み締めたりして。

しかし、そのハッピーなシーンから一転、会社に表彰されるほど有能な管理職だった主人公のマンスは解雇に。彼の仕事をAIが奪ったのです。でもこれって、いまどきのリストラ事情を反映しているような……。ちょっと笑えないんですけど。

マンスは「自分はできる男、再就職はすぐだ」と思っていたけれど、何年たってもバイト生活。貯金は底をついてきて、家庭の雰囲気も最悪です。

なぜ再就職できないのか。それは、同じ業界で自分のようにリストラされて再就職を希望しているライバルがいるから。

いよいよ追い詰められたマンスはなんと「ライバルたちを殺してしまえばいいんだ!」という危険な思考に走り始め、それを実行に移してしまうのです!

【残酷さをブラックユーモアで包んで爆走する主人公】

マンスは優秀な社員だったのだから、スキルを磨いてキャリアアップを図ればいいものを、目障りなやつを消すことに夢中になっていきます。

その方法は幽霊会社を作り、求人広告を出す→まんまと求人にエントリーしたライバルたちの個人情報を入手→殺人計画を実行に移していく。

しかし、マンスは殺し屋ではないので、計画は甘くて穴だらけ。ゆえに失敗ばかり。わけわからず暴走してドタバタしながらも罪を重ねていってしまうのです。

【ビョン様の演技力を大いに堪能!】

ネタバレになるのでこれ以上はお伝えできませんが、主人公の狂気の行動は家族も巻き込んで大騒動に発展します。果たしてマンスは再就職できるのでしょうか?

そんなクレイジーな主人公を演じるビョン様、やっぱり芝居がうまいなと思いました。狂気に満ちた言動にユーモアを加えて、かつ、心のどこかで「俺は間違っているのだろうか。でももう後戻りできない」という葛藤が垣間見られるところはさすが! 繊細な芝居をしっかり堪能させていただきました。

本作はトロント国際映画祭国際観客賞ほか、世界で高評価を博した作品。凝った映像表現、残酷な殺しのシーンでアップテンポな楽曲を起用するなど、あえて奇をてらった演出がブラックユーモア度を高めていると感じました。ラストシーンまで狂気をはらんでいましたからね。パク・チャヌク監督の演出、容赦ないわ〜!

イ・ビョンホン様の渾身の芝居を見るだけでも一見の価値ありの『しあわせな選択』。ビョン様ファンや不条理サスペンス、ブラックユーモアを使った作品が好きな人におすすめです。

執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:©︎2025 CJ ENM Co., Ltd., MOHO FILM ALL RIGHTS RESERVED

『しあわせな選択』

2026年3月6日(金)より全国ロードショー
監督:パク・チャヌク
配給:キノフィルムズ
出演:イ・ビョンホン、ソン・イェジン、パク・ヒスン、イ・ソンミン、ヨム・ヘラン、チャ・スンウォン

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