
イラン情勢が緊迫する中での日米首脳会談。高市総理は「世界に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」と持ち上げ、親密さをアピールしました。今回の会談、お互いに何が“成果”だったのか?
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「世界に平和をもたらせるドナルド」日米首脳会談“成果”は?約5か月ぶりに再会した2人。
トランプ大統領(ホワイトハウスのXより)
「来てくれてうれしい。今日はとても特別な人物が来てくれた。選挙で記録的で圧倒的な勝利を収めたばかりだ」
会談の冒頭30分は公開。高市総理は「世界の安全保障」に話を広げ、トランプ氏を持ち上げてみせました。
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高市総理
「世界中に平和と繁栄をもたらせるのは、ドナルドだけだと思っています。そのために私は諸外国に働きかけて、しっかりと応援をしたいと思っています。きょう私はそれを伝えに来ました」
事実上、封鎖が続くホルムズ海峡。艦船の派遣をめぐり、「同盟国は協力すべき」と主張してきたトランプ氏ですが、日本の“応援”について、記者団から質問が出ました。
――大統領、日本のイランに関連した支援に満足していますか?
トランプ大統領
「日本は本当にしっかり責任を果たそうとしていると思う。NATOとは違って」
ただ、支援の更なる“ステップアップ”を強く求めました。
トランプ大統領
「日本の(支援に)“ステップアップ”を期待している」
「日本は、原油の9割以上をホルムズ海峡を通じて輸入していると聞いている。それは、“ステップアップ”する大きな理由となる」
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物議をかもしたのが、日本の記者の質問への答えです。
――なぜイランを攻撃する前に、日本やヨーロッパ、アジアの同盟国に知らせなかったのですか?
トランプ大統領
「あまり事前に兆候を示しすぎるのはよくない。我々は攻撃を開始するときは激しく行うし、奇襲を仕掛けたかったから誰にも知らせなかった。奇襲について、日本より詳しい国はあるか?真珠湾攻撃について、(事前に)知らせてくれなかったじゃないか。なぜだ?」
アメリカのメディア各社は、「真珠湾攻撃をジョークにした」などと報道。会場からは笑い声もあがったものの、高市総理は、ほとんど反応を示しませんでした。
さらに話題は、冷え込んだままの日中関係にも及びました。
トランプ大統領
「私はまもなく中国へ行く予定だ。高市総理にはぜひ中国について話してほしい。日中の関係は少しピリついているようだが、現状がどうなっているのか知りたい」
近く中国を訪問するトランプ大統領。日本の立場を伝えたい高市総理は…
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高市総理
「日本はいつも中国に対してオープンです。対話はオープンにしています。それから冷静に対応しています」
アメリカ側の発表によると、中国と台湾をめぐる問題について“両首脳はいかなる一方的な現状変更の試みにも反対”との認識で一致したということです。
自衛隊派遣の要求は?「出来ること出来ないこと説明」会談の撮影が許されたのは冒頭のみ。ホルムズ海峡への自衛隊派遣について、要求はあったのでしょうか。
高市総理
「機微なやり取りではございますけれども、ただ日本の法律の範囲内で出来ることと、出来ないことがございますので、これについては詳細にきっちりと説明をいたしました」
同行筋によりますと、「トランプ大統領から防衛費の増額要求はなかった」といいます。
日米は「最強のバディ」“対米投資”第2弾でも合意日米両政府は、対米投資第2弾でも合意。合意文書には日立製作所とアメリカ企業の合弁会社による小型原子炉の建設などが盛り込まれました。投資規模は最大で730億ドル=11兆5000億円。トランプ政権のアメリカファーストに経済面で応えた形です。
会談後の夕食会にはソフトバンクグループの孫会長らも参加。挨拶に立った高市総理は、トランプ氏の息子・バロン氏へ祝いの言葉を贈りました。
高市総理
「(お祝いは)明日に控えるドナルドのご子息のバロンさんのお誕生日です。立派でイケメンに成長されていると伺っております。間違いなくご両親に似たんだと思います」
挨拶の終盤、高市総理は日本とアメリカ、ともに強く豊かになろうと呼びかけました。
高市総理
「強い日本、強いアメリカ、豊かな日本、豊かなアメリカ。私たちはこれらを実現するための最強のバディだと確信しています。Japan is Back!」
上村彩子キャスター:
今回の日米首脳会談。日本側はどのように評価していますか。
TBS報道局 政治部 中島哲平 官邸キャップ:
ある政権幹部は、「今回の会談は非常に良かった、成功だった」と評価しています。高市総理のしたたかな外交が見られたと言えるでしょう。
首脳会談の冒頭、高市総理の方から中東情勢に触れ、「トランプ大統領が世界に平和と繁栄をもたらせることができる」と持ち上げました。
これは持ち上げただけではなく、見方によっては「中東の戦闘を止められるのはトランプ大統領だけなんだ」というメッセージにもなったのかもしれません。
また日本は、中東情勢の他に中国を含む地域情勢について取材をしたかったところがあり、安全保障上の強固な日米同盟を確認できたことも大きな成果があったといえると思います。
また経済問題について、日米合意に基づくアメリカへの80兆円規模の投資について、日本が着実に履行していく姿勢を見せた。これもトランプ大統領に評価されたうちの一つだと思います。
喜入友浩キャスター:
日本側としては、ある程度の手応えを感じているようにみえますが、今後トランプ大統領から更なる要求などはあるのでしょうか?
TBS報道局 政治部 中島哲平 官邸キャップ:
今回、日本は周到に準備を進めてきたこともあり、トランプ大統領から想定外の要求があったというような話は今のところ聞こえてきません。
ただ、トランプ大統領は中東情勢をめぐり、「日本により積極的に関与してほしい」という話をしていたので、例えばホルムズ海峡での機雷の掃海や、原油価格の高騰について、日本に対して何らかの対応を求めてくるかもしれません。
こうしたアメリカからの要求に対して日本は何ができるのか。これを一致させていくことが、今後の課題になってくると思います。
喜入キャスター:
今回の会談について、アメリカ側はどのように受け止められているのでしょうか。
涌井文晶 ワシントン支局長:
アメリカメディアの報道になりますが、トランプ大統領の「真珠湾」をめぐる発言一色になっています。
ワシントンポストは、「日本の総理を前にトランプ大統領がパールハーバー=真珠湾のジョークを言った」という見出しになっています。
同様に、ニューヨーク・タイムズの見出しも「タブーを破って、真珠湾攻撃に触れた」というような解説もしています。
論調としては▼今までの大統領がやらなかったようなタブーを(トランプ大統領が)破ったというものや、▼首脳会談でも(トランプ大統領は)予測不能な発言をするといったものがみられています。
こうした論調一色になったのは、イラン情勢、ホルムズ海峡の情勢をめぐり、もっと厳しい要求があるとみられた中で、それがなかった。無難に乗り切ったということも大きいのではないかと思います。
やや取り越し苦労だったというところもあり、この発言に焦点が当たったのが実情だと思います。
上村キャスター:
トランプ大統領は今回の会談をどのように評価しているとみていますか。
涌井文晶 ワシントン支局長:
トランプ大統領も一定に評価していると思います。会談に先立ち、ホルムズ海峡をめぐり日本とヨーロッパ各国が「ホルムズ海峡の事実上の封鎖を最も強い言葉で非難する」という共同声明を出していましたし、会談の中で日本も協力する姿勢を示しました。
トランプ大統領は(会談が行われる前に)日本やNATO各国に強い圧力、艦船の派遣を求めるなどしてきましたが、それが一定に効果が出たと手応えを感じているのではないかと思います。
ただ一方、つい先ほどNATOに対して、「イランとの戦いには参加せず、しかも船も派遣しない、石油が高いと文句を言っている」というような不満を表明するSNS投稿をした上で、「臆病者どもめ」という非常に強い表現の罵倒を改めて投稿しました。
今後も各国に対して圧力をかけてホルムズ海峡の事態打開に引き込んでいこうという動きを見せるのではないかとみています。
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<プロフィール>
中島哲平
TBS報道局政治部 官邸キャップ
防衛省や外務省担当など歴任
涌井文晶
ワシントン支局長
トランプ氏を2年半取材

