写真 タレント・俳優、エッセイストの青木さやかさん(52歳)が2025年11月14日、書籍『貯蓄が苦手な人こそ読んでほしいお金の第一歩 お金まわりを見直したら人生が変わった』(日経BP)を刊行しました。
貯蓄が大の苦手だったという青木さんが、実際に行った節約術や投資の第一歩などを赤裸々に記した一冊です。
それまでは昔の芸人らしく“宵越しの金は持たない”に近いスタイルだった青木さんが、その飾らない言葉と失敗談を通じて、自身の中で変化したというお金への意識についてまとめた内容は、人生を生きるヒントがいっぱいです。
貯蓄・節約が苦手だった自分を変えたのは、ある人のひと言がきっかけだったという青木さんに話を聞きました。
◆「お金を使うことをいとわないタイプ」
――“お金まわり”は誰もが気になるところかと思いますが、書籍を読まれた方たちの反響には、どのようなものがありましたか?
青木さやか(以下、青木):そうですね。面白いなと思ったのは、お金の使い方やマネーリテラシーが高い・低いは本当に人ぞれぞれなので、この本をエッセイとして読まれる方もいれば、ハウツー本・実践書として読まれる方もいるので、いろいろな感想があるなあと思いました。
――ご自身としては、どのような方に向けて書かれたのでしょうか?
青木:お金を使うことが苦手な方が中にはいらっしゃると思いますが、わたしは節約が好きなタイプではないですし、お金を使うことをいとわないタイプなんです。むしろ今でもお金は使いたい、でも将来の不安があるので貯めなくちゃと思っている。
なのでバランスを取り、支出の中で削れるところは削り、できるだけ貯金もしますが、あとはふるさと納税、NISAなどに回しながら、自分の人生を楽しもうと。その両軸で行くぞと思っているので、40代・50代前半の、そういう思考の方にはぴったりだと思います。
――節約が苦手であればあるほど、将来の不安は大きいですよね。
青木:そうですよね。何歳まで生きるかわからないし、来年稼げばいいや、今あるお金を使っちゃってもいいやと思うけれど、体力も落ちてくるじゃないですか。個人事業主だから年金は毎月6万ちょいの受給で、とてもじゃないけれどそれでは生活していけない。マンションの管理費・積立費で終わっちゃうわけです。
「MAX働けなくなったらどうするの?」となった時に、貯めておいたほうがいい、貯金するならこっちのほうが得だよね、税金対策にはこれだよね、ということを初めて学びました。
◆税理士から「担当したくない」と言われても……
――この知識レベルにはどれくらいで到達されたのですか?
青木:1年半くらいかな。もともと日経ウーマンさんで1年半の連載だったので、全体で2年ですかね。2年で急にここまでになりました(笑)。その前は税理士さんから「もう青木さんを担当したくない」と言われていたんです。
――それは衝撃のひと言ですね。
青木:なぜなら「心配です」と。その方はタレントさんや芸人さんを何名も担当されている税理士さんで、その方が言うには20年前はみんなマネーリテラシーが低くて、働いて稼いだ分を全部使っちゃっていたと。みんな同じスタートだったけど、みんなだんだんと変わってきた、しっかりしてきたと。だけど「青木さんは変わらない」と(笑)。
――税理士さんに「もう担当したくない」と言われて火がついたのでしょうか?
青木:いやまったくつかなかったです。最初は「えー!? 来年稼げばいいじゃないですかー」みたいな感じでした(笑)。すると「いつまでそんなこと言っているんですか、青木さん」と。「20年前と今では収入が違うんですよ。なのにお金の使い方が同じなんですよ。10年後わからないじゃないですか」と。子どももいて、その上10年後、すごい仕事が伸びていく時代でもないし、年齢でもないし、今の仕事の収入だけを頼りにしてしまうことが怖い時代のなか、「どうして貯めてないのかがわからない」と。
◆「お金を貯めること」に目覚めたわけではない
――ほかのタレントさんや芸人さんは、どうしてしっかりしてきたのでしょうか?
青木:みんな結婚して奥さんがしっかりして変わってきたみたいです。本人がしっかりしているのではなく、しっかりしている人がいるからそうなるところもあるだろうと。でも、わたしはいつまでも変わらない。税理士さんに言われても変わらない。「だからもう僕は心配すぎてやれない」と言われてしまいました。
なので、この本を出すことになって一番喜んだのは、税理士さんでした(笑)。今回本を出すことになりましたが、そのことを通じて勉強をし始めたという感じですね。
――連載を始め、書籍化して、その作業の過程でお金にまつわる考えがまとまり、かなりの変化があったのではないでしょうか。
青木:それが基本的には全然違わないと言いますか、お金を貯めることに目覚めたのではなく、わたしの場合はお金を使うことに、貯めるという線が一本増えたような感じなんです。まず何ができたかというと、自分はこれだけの金額が月々必要なんだということがよくわかったんです。家計簿を付けて、まずそのベースがわかった。ベースがわかると、今度は月にいくら稼がないといけないかがわかるんです。
◆衝動買いはJAですることに
――なるほど、数字・現実に向き合っていくことができるようになった。
青木:そうじゃないと、貯金ができないということがわかりました。月にいくら稼がないといけないと理解して、そのために仕事をどのくらいしなくてはならないかがわかるようになったんです。
それ以外に、行きたいところもある。予約の取れないレストランや、すごく遠くに行くことも好きなんですね。そこに行くためにいくらかかるとなると、その分は稼ぐぞと。そのために普段のコンビニ通いを減らして、家でおにぎりを作って持っていこうとか、お茶を持参しようとか、そういうコツコツとしたことをやり始めました。ダイエットに近いですね。
――仮にランチに1500円のラーメンを食べたとして、1日に1500円をランチに使ったら、20日で3万円くらいなくなりますよね。
青木:そうなんですよ。わたしもラーメンは大好きなので、そのことは考えました。1500円のランチを食べたいけれども、一番安い具が何も入ってないものにすると、900円台で収まるなとか、まあまあ下がるんですよね。よく考えたら、1500円のものだと食べきれないほどいろいろと具材が乗っていたりするかと思い直すこともできて、なら一番安いものにしようと。
――日々のほんの少しの工夫が大事なんですね。
青木:ちょっとずつが大切なんです。一方でわたしは衝動買いも好きなタイプだから、たとえばそれを洋服屋さんでするんじゃなくて、JAでしようと。野菜なら値段を見ずにどれだけ買ってもいいと決めました。必要なものだし、そもそも野菜だと1万円もいかないんです。お洋服だと、10万円なんてあっという間にいっていたところが。これがいいんですよ(笑)。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。