「見はらし世代」製作会社、野宿者団体指摘の宮下公園再開発野宿者追い出し音声無断使用認め謝罪

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2026年04月13日 23:36  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

株式会社シグロの公式サイトから

25年10月10日に公開された映画「見はらし世代」(団塚唯我監督)を製作した株式会社シグロは13日、公式サイトに「『見はらし世代』音声の使用に関するお詫びとご報告」と題し、山上賢治プロデューサー名の文書を発表。「この度は、当事者の皆様及び関係者の皆様に多大なるご心配とご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪した上で「本件につきましては、経緯と具体的な対応を改めて公表致します」と謝罪とともに今後の対応を、改めて発表するとした。


事の発端は東京・渋谷の宮下公園で寝ることをきっかけに、野宿者としての生活や人権を守るため渋谷・新宿などで野宿者を中心に17年から活動している団体「ねる会議」から3月31日に、音声使用に関する抗議文が発表されたことだった。ねる会議は「宮下公園の再開発、およびそれにともなう野宿者追い出しに抵抗する、私たちの音声が使われていることがわかりました。私たちはこの映画での音声の利用を許諾していません。音声の利用について、映画製作者からの連絡も受けていません」と指摘。「このような音声の利用について、映画の配給会社である株式会社シグロ、プロデューサーである山上賢治氏、監督である団塚唯我氏に対して抗議します」としていた。


シグロは、1日に発表した文書の中で「当社としましては、当該音声素材につきまして、提供元のメディアから正式に許諾を得た上で使用したという認識でおります」と主張していた。それが、13日に発表した文書では「ねる会議様よりSNS上においてご指摘をいただいた音声使用に関する件につきまして、2026年4月1日に当社が投稿した内容について、一部誤りがございました。当事者の皆様に許諾をとっておりませんでしたので、お詫び申し上げます」と謝罪。その上で1日に発表した文書の中から「当社としては、当該音声素材につきまして、提供元のメディアから正式に許諾を得たうえで使用したという認識でおります」との文章を削除するとした。


「見はらし世代」は、主演の黒崎煌代(23)演じる蓮が、井川遥(49)演じる母由美子を亡くしたことを契機にすっかり疎遠になった、遠藤憲一(64)演じるランドスケープデザイナーの父初と、大人になって胡蝶蘭の配送運転手として働く中、再会。そのことを話すも、我関せずといった様子で黙々と自分の結婚の準備を進める、木竜麻生(31)演じる姉恵美を交え、蓮が家族の距離を測り直そうとする物語。再開発が進む東京・渋谷を舞台に描かれ、映画の舞台あいさつも渋谷で行われた。


25年5月には、世界3大映画祭の1つ、第78回カンヌ映画祭(フランス)に併設して開催された監督週間に出品された。団塚唯我監督(28)は、協同組合日本映画製作者協会が主催・選出する第30回新藤兼人賞で金賞を受賞。主演の黒崎は、第99回キネマ旬報ベスト・テンで新人男優賞を受賞するなど、国内外で高く評価された。25年10月10日の公開から半年たっても各所で公開が続き、WOWOWなどで放送もされた。


その中で浮上した、今回のトラブルだった。2日には、3日から上映予定だった東京・Morc阿佐ケ谷とCINEMA NEKOでの上映が中止されていた。シグロは「なお、監督、キャストの皆様、スタッフの皆様に関しては、本件及び製作に関わる許諾取得には関わっておらず、当社から許諾を得たと伝えられた上で、映画を完成させております。当社といたしましては、本件を真摯に受け止め、引き続き適切な対応に努めてまいります」とした。

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