「心の不倫は罪ですか?」冷えきった家庭の43歳主婦が、妻子ある男性と…“心の救い”はキレイごとか?<漫画>

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2026年05月07日 09:00  女子SPA!

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『心の不倫は罪ですか?』(とげとげ。著、KADOKAWA)より
 彼の手にハンドクリームをぬる時だけ、本当の私が生きかえる。たとえ、体の関係がなくても――。『心の不倫は罪ですか?』(とげとげ。著、KADOKAWA、2026年2月)は、心の不倫をテーマにしたコミックエッセイです。作者は、日々に追われる女性の心理をていねいに解きほぐす、共感度マックスの「とげとげ。」さんです。

◆家族の中で、自分だけが消えていく

 主人公の楠木胡桃(43歳)は専業主婦。夫で会社員の雅人(48歳)と、長女の莉央(高3)、長男の遥也(中3)の4人暮らしです。高校時代の友人もいて、何不自由なく生活しているものの、夫も子供達も、最近自分の意見を聞き入れてくれません。

 目下の悩みは遥也の不登校ですが、それについての相談も夫は聞く耳を持たず、母親が甘やかすから、の一点張り。自分の存在意義がわからなくなっていく胡桃の前に、ある日、ひとりの男性が現れるのです。

◆「私は絶対ママみたいになりたくない!」

 遥也の不登校は原因不明で、胡桃は困惑するばかり。夫に解決策を提示しても相手にしてもらえず、つい莉央に愚痴を言ってしまうと、「八つ当たりしないで」と罵倒される始末。あげくとどめの一言が、胡桃の胸をえぐります。

「私は絶対ママみたいになりたくない!」

 妻、母として必死に生きてきた自分の、いったい何が悪かったのか。寂れた公園のベンチで、ひとり涙する胡桃に、缶コーヒーをごちそうしてくれた男性。

 これが、久我匠(42歳)との出会いでした。運送業の匠は、仕事の合間の息抜きに、ここへ訪れていたのです。既婚者で子供がひとり、家庭は妻中心で回り、境遇も胡桃と似ています。やがて胡桃と匠は、1日のうちで数分、ここで逢瀬を重ねるようになるのです。

◆あなたの前なら、素直に泣ける

 不倫やセックスがしたいわけではない。ただ少しだけ、自分をさらけ出して、受け止めてほしい。

 胡桃の願いはそれだけで、匠のやさしさは胡桃の渇望にぴったりとはまりました。匠もまた、妻には気弱さに映るやさしさを、注ぎ込む場所がほしかったのでしょう。お互いの日常を語り、時に悩みを吐露し、穏やかな空気を共有し合う。つい泣き出してしまう胡桃の肩を抱き、公園からネットカフェへ場所を移します。

 とはいえ、お互いが、服を着たままのぬくもりしか求めません。肌と肌を合わせたら終わってしまう、とでもいうように、胡桃も匠も、プラトニックを死守します。

 いい大人が何をしているのだ? 正真正銘の不倫のほうが清々しい。こんな意見も聞こえてきそうです。でも、深入りしないからこその絆で、終りたくないからこそ一線を超えない。そんな愛もあるのだと、思わずにはいられないのです。

◆人生が終わるとしたら、最後にいたいのは……

 結局、匠と一線を越えるのか、プラトニック不倫を続けるのか、あるいは夫と別れるのか――それは読んでのお楽しみです。

 漫画では、50代になった胡桃の姿も描かれます。そして、あるニュースをきっかけに、ふと考えるのです。

〈もし明日、人生が終わるなら私は……〉

 平凡で従順な胡桃。自ら行動を起こさず、周囲に気を使ってばかりだった胡桃が、どういう選択をするのか。最後まで、「ママみたいになりたくない」と思い続ける長女の真意とは何なのか。

 女性の生き方の是非を問う今作、読後に人生を考え直したくなる意欲作です。

<文/森美樹>

【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx

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