『Wu-Tang Forever: The Final Chamber』日本公演の模様 Photo:Masanori Nause HIPHOP界のレジェンドグループ、ウータン・クランによるツアー『Wu-Tang Forever: The Final Chamber』の日本公演が24日に神奈川・Kアリーナ横浜で開催された。“最後の来日公演”として開催され、スペシャルゲストとしてキングギドラ、Awich、般若、¥ellow Bucksも出演した同公演のオフィシャルレポートが到着した。
総帥・RZAが登場、「Sunlight」が流れる。続いてニューヨーク・ニックスのカラーのジャージのゴーストフェイス・キラー(以下、GFK)、レイクウォンで「Bring Da Rukus」。GFK、レイクウォン、マスター・キラーは体型が似てきて、口を開くまでなかなか見分けられない。
「Clan in Da Front」で哲学者然とした佇(たたず)まいのGZAが落ち着いたフローを披露。「Wu-Tang Clan Ain’t Nothing tha Fuck Wit」で会場がぶち上がるなか、ステージ上の人数を数える。メソッド・マンの姿がまだ見えなくて、不安になる。と、ひょうひょうと出てくるジョニー・ブレイズことメス。ここで、「Method Man」を投下。このチームワーク、このタイミング。「M-E-T-H-O-D メェン!」でオーディエンスの声が揃った。亡き父、オールダーティー・バスタードの髪型にしたヤング・オールダーティ・バスタードが父のヴァースを担う。私たちが目にしているのは、通常のライヴではない、と悟る。ヒップホップの歴史が刻まれる瞬間を目撃しているのだ。「Protect Ya Neck」で『Enter Tha Wu-Tang』のパートは終了。
一旦、はけてソロパートへ。ウータン・ファミリーのテキーシャが「Can’t It Be So Simple」を迫力のある歌声で歌い上げると、GFKとレイクウォンのかけ合いパートへ。中学時代からの友人であるふたりの絆は強い。『Only Built 4 Cuban Linx..』の代表曲で、絶妙のかけ合いを見せる。向かい合ってラップし、「俺ら30年以上、これやってるよな」とボソッと言ったのが良かった。「Ice Cream」のメソッドマンのヴァースが録音だったので、「あれ?」と思っていたら、最後のヴァースでメス本人が登場。ステージ上のふたりに向かって「I‘m fucxin’ with y’all(ちょっとからかってみた)」と言い放ったのは、笑った。ウータン最後のステージが、湿っぽいはずはない。
メソッド・マンの『Tical』パートでは、ウータンおよびキラ・ビーズ関連のラッパー、ストリートライフが登場。DJもマスマティックスだし、ファミリーの結束は固い。圧倒的な華を見せたメスの次は、渋すぎるGZA。MCで哲学を語ってくれるのだが、英語がわかっても難しい。そのハードルの高さも、ウータン・クランだ。「Living The World Today」でいとこのRZAと並ぶと、DNAの強さを感じる。RZAに呼ばれて、堂々と通訳をこなすAwichが頼もしかった。マスタ・キラーのソロ「No Said Date」の次が、GZAとメスの「Shadowboxin’」。この曲を披露するのは15年ぶりだそう。オールダーティー・バスタードの「Simmy Simmy Ya」でヤング・オールダーティ・バスタードが客席に飛び込む。ここでも、「いいから戻ってこい」と声をかけるメスがおもしろかった。
セットチェンジのたびに映るのは、武道やカンフーを思わせる映像だ。2度目の衣装替えをしたRZAが1990年代ヒップホップのエネルギーを語りながら、亡くなったラッパーを背景に映して追悼を始めた。ビズ・マーキーの「Just a Friend」、ア・トライブ・コールド・クエストのファイフの「Can I Kick it?」で客席とのコール&レスポンスがしっかり成立した。ほかのメンバーも戻ってきて、『Wu-Tang Forever』から「Reunited」。「It’s Wu-, Mother fuxker(これがウーだ、バカ野郎)」の締めで2つのドラムの乱れ打ちが決まる。大団円は当然、「C.R.E.A.M」。会場中の声がひとつになった。ラストの「Triumph」はタイトルどおり、ウータン・クランとヒップホップの勝利宣言だ。オープニングに登場した日本人のラッパーも、ステージに加わる。ウータンがマイクを回すなか、後方で動き回って徹底して盛り上げたZeebraがさすがだった。