フェラーリ、2030年規則での技術的自由を求める。LMDh勢のコスト問題は「経営戦略のミス」と批判

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2026年06月12日 01:20  AUTOSPORT web

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36号車アルピーヌA424(アルピーヌ・エンデュランス・チーム)と51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ) 2026ル・マン24時間レース
 フェラーリは、ハイパーカー規則の将来に関する議論が終盤に近づくなか、WEC世界耐久選手権におけるル・マン・ハイパーカー(LMH)プラットフォームを断固として擁護し、予想を上回るコストの責任を負うことはできないと主張した。

 イタリアのメーカーのグローバル耐久レース責任者であるアントネッロ・コレッタは、2030年以降の統一された枠組みを構築しようとするなかで、LMH規定と北米IMSA生まれのル・マン・デイトナ・h(LMDh)規定の両プラットフォーム間の妥協点を見つけるのに苦労している状況を受け、自社の立場を明らかにした。

 これは、金曜日に開催されるル・マン24時間レースでのACOフランス西部自動車クラブの年次記者会見に先立って行われたもので、そこでは新規則の詳細がさらに明らかにされることが期待されている。

 現在のレギュレーション・サイクルが終了する2029年までハイパーカーへの参戦を公約しているフェラーリは、自社製シャシーを構築し、独自のカスタム・ハイブリッド・システムを利用する能力を保持しなければならないという信念を一貫して持っている。

 コレッタは、「跳ね馬のエンブレムを冠するクルマは、明らかに100%マラネッロで製造されなければならない」と水曜日にル・マンで改めて述べ、当初の予想よりもコストが高くなったことに驚いているというLMDhメーカーを批判した。

「ハイパーカーは確立されて数年が経ち、途中でいくつかのメーカーを失ったが、これまでのところ、(主要な自動車メーカーで)LMHプラットフォームから離脱した者はいない」とコレッタは述べた。

「コストの問題は、決まり文句や、単に派手な見出しを作るための大雑把なアイデアではなく、真剣に取り組まれるべきだ。“エボ・ジョーカー”について不平を言っている人々を見かけるが、これは規則に含まれていることだ。選手権への参加を決めたなら、ルールが何であるかは分かっているはずであり、開発コストを含めたビジネスプランを作成するものだ。これは何も新しいことではない」

「共通パーツを使ってクルマ車を造ることが、必ずしもコスト削減につながるとは限らない。サプライヤーと契約を結び、そのサプライヤーとコンポーネントを開発したいと考え、さらに市販車での協力関係もあるなら、より良いコストパフォーマンスを実現できる可能性がある」

「LMHプラットフォームを使用している我々のプロジェクトは、他のLMHプラットフォームを使用している競合他社よりも高価ということはない。私にとって、問題は別のところにある」

「戦略的な意志決定を下し、経営陣にコストがいくらになるかを説明することは非常に重要だ。単に正確ではないアイデアや状況を提示して、後になってから(クルマを微調整しなければ競争力がない、あるいは高価すぎるといった)驚きに直面するようなやり方は正しい戦略ではない」

「耐久レースは史上最高の時代のひとつを迎えていると思うが、つねにブームがあり、その後に微調整の段階が来る。我々は今、その段階に来ている。他者のせいにすることなく、誰がこの道を歩み続けたいのかを理解すべきときだ。自分自身の決断と戦略を自覚しなければならない」

「ブランド力の強化であれ、市販車開発の経験の蓄積であれ、私たちは皆、それぞれの目標と目的を持っている。自分に嘘をつかずに的確な判断を下さなければ、その判断を正当化することはできないだろう」


■耐えられる「限界」に達したBMW

 2027年にWECに参戦予定の既存のLMDhメーカー3社、BMW、キャデラック、ジェネシスの代表者たちは、Sportscar365の取材に対し、2030年のレギュレーションに関する最新の考えについて同様の論調を示した。

 BMW Mモータースポーツのディレクター、アンドレアス・ルースは、先月のスパ6時間レースでの画期的な勝利を経てル・マンに向けてWECランキングをリードしているバイエルンのメーカーが、コストの面ですでに耐えられる「限界」に達していると強調した。

「自動車業界を見渡し、外部の経済状況も考慮すると、毎日ニュースを読むだけで充分だ。我々はこれ以上の出費を強いられたり、何かが高価になったりしないようにしなければならない」とルースは述べた。

「結局のところ、これは投資だ。つまりどれだけ投資し、どれだけ投資する余裕があるかということだ。とくに現在置かれている経済状況を考えると、私たちができることの限界に達していると思う」

「私が願うのは、コストの削減につながる可能性があり、非常に持続可能で費用対効果の高いレギュレーションになることだ。そうなることに期待している」

 しかし、ルースは、フェラーリ、トヨタ、プジョーが現在行っているように、メーカーが独自のシャシーやハイブリッドシステムを開発することを許可されることに反対はしていない。

「現在のLMDhのようなやり方が引き続き可能である限り、それは可能だと思う」と同氏は語った。「しかし、その上に修正要素が必要であるため、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス=性能調整)などがなくなることはおそらくないだろう」


■独自ハイブリッドも「検討の余地がある」

 キャデラック・レーシングのプログラム・マネージャーを務めるキーリー・ボスンは、LMHとLMDhの差を可能な限りなくしたいという願望において、ルースの見解に賛同した。

「最終的には単一のプラットフォームに集約されることを期待しています。ここ数年、まさにその実現に向けて努力が重ねられてきたように思います」とボスンはSportscar365に語った。

「私が見る限り、それが今後の方向性になるでしょう。金曜日のACO会見で期待しているのは、ひとつのプラットフォームへの制限を強める一方で、他の分野ではもう少し自由度を与えることです」

 キャデラックが独自のハイブリッド・システムの開発に賛成するかどうか尋ねられた際、ボスンは「私たちはそれに対して検討の余地があります」と答え、そのような切り替えによって生じるコストの増加については「それほど心配していない」と付け加えた。

「規則を策定するうえでの主な事項のひとつが、メーカーのコストを抑えようとすることだったと認識しているマス」と彼女は述べた。「レースはつねに多額の費用が掛かるものですが、FIAとACOからは、コスト維持に努めるという約束を取り付けています」


■技術競争とコスト管理のバランスにおいてフォーミュラEを評価

 一方、ジェネシス・マグマ・レーシングのシリル・アビテブール代表は、「簡素化し、収束させるという一般的な方向性は不可欠」であると述べ、コスト管理とある程度の技術的自由の保持とのバランスを求めた。

「我々はマーケティングやブランドのためにここにいるが、テクノロジーのためであることも確かだ」とアビテブールは語った。

「このスポーツが依然としてテクノロジーと開発を象徴するものであるようにする義務が、我々全員にあると思う」

「一方でコストにも注意を払う必要がある。そこが、我々の取り組むべきことのバランスが必要な部分だ。我々としては、技術の軍拡競争に陥るべきではない。しかし、理にかなう場合には、ある程度の技術的自由があるべきだろう」

「何も『あらゆる場所で技術的自由を』と言っているわけではない。フォーミュラEが独自の領域で行っている仕事は、特定の分野では多くの自由があり、他の分野では多くの制限があるという点で優れていると思う」

「私の意見では、現時点でも投資収益率がもっとも高いのは実際にはフォーミュラEだと思う。ただ、それが我々の望むものではないという理由で、我々には合わないだけだ」

「私が言いたいのは、彼らがEV技術で行っていることは、昔ながらの内燃機関のレースにおいて、他の種類の技術で我々がやりたいことの良いインスピレーションになるということだ」

[オートスポーツweb 2026年06月12日]

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