なぜ、コンビニやサイゼに行くことが「ビジネス研修」なのか 仕事が面白くなる“観察力”の鍛え方

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2026年06月17日 05:40  ITmedia ビジネスオンライン

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コンビニやファミレスからビジネスを学ぶという

 スキルアップのためにビジネス書を読んだり、ニュースやSNSで情報収集したりしている人は多いのではないだろうか。


【画像】派手なシャツにサングラスの高山洋平会長


 そんな定番の自己研さんとは異なるアプローチで、コンビニやファミレスからビジネスのヒントを見いだしている人物がいる。広告、PR事業を手掛ける「おくりバント」(東京都新宿区)の高山洋平会長だ。


 高山氏は、不動産投資会社で営業を経験した後、インターネット広告会社「アドウェイズ」に入社。中国支社の営業統括本部長を経て、2014年に同社子会社としておくりバントを設立した。現在は会長を務める傍ら、東京都中野区のバー「BaRプードル」のマスターや、企業・大学でのセミナー講師、音楽活動など幅広く活躍している。


 自らを「プロ営業師」と名乗り、2020年には著書『ビジネス書を捨てよ、街へ出よう プロ営業師の仕事術』(総合法令出版)を出版。一方で、年間360日飲み歩く「プロ飲み師」としても知られる。


 派手なシャツにサングラス姿でBaRプードルに現れた高山氏に、日常のあらゆる出来事をビジネスの学びに変える「観察力」について取材した。


●日々の食事が研修になるワケ


――日々の仕事の中で「もっと視野を広げなければ」「社会の仕組みを知らなければ」と悩むビジネスパーソンも多いと思います。高山さんは普段、どうやってそういったスキルを身に付けているのでしょうか。


 俺は食事のことを「ビジネス研修」と呼んでいます。例えば、コンビニで「すき焼きのおにぎり」が新発売された時、どう思いました?


――「おいしそうだな」「少しぜいたくなおにぎりが出たな」と思いました。


 普通はそうですよね。俺はおにぎりが好きだからよく買います。「何を食べようかな」と毎日棚を見ているうちに「こういう新商品が出たんだ」と気付きます。


 その時に考えたのは、すき焼きはもともと「ハレの日の食べ物だった」ということ。給料日や何か特別な日に家族みんなで囲んで食べる料理だったじゃないですか。それが時代と共に核家族化が進んで、今まで7人で食べていたものが3人になり、2人になり……と、すき焼きを取り巻く環境がどんどんミニマムになってきた。


 牛丼チェーンも「1人用のすき焼き」を出したんです。あの時に、すき焼きは完全に個人のものになったんですよね。誰かと一緒じゃないと食べられなかったぜいたく品が、1人でも食べられるようになった。さらに色んな店が追随して、俺たちは、どこでもすき焼きを24時間食べられるようになった。


 そして、ついにコンビニのおにぎりになったんです。ここまで来たかと。


――ハレの日のごちそうが、片手で手軽に消費されるおにぎりの具材になってしまたんですね。


 「日本は貧乏になった、人と会わなくなったんだ」と思いました。正解はないですが、目の前の食事から、勝手に自分で考察するんです。これって決して無駄な勉強ではないと思います。こうして、今取材でも話せてるし。


――単なる新商品として消費するのではなく「なぜこれが今売られているのか?」と背景を深掘りする。その日常の習慣こそが、社会を見る目を養う勉強になるのですね。


●ラーメン二郎は「究極のビジネス」


 例えばラーメン二郎も、ビジネスの観点で考えたら究極なんです。お客さんが、近隣住民の迷惑にならないように静かに並んで、食べ終わったら器をカウンターの上に下げて、机を拭いて、椅子を戻して「ごちそうさまでした」と帰っていく。お店の営業を、客が率先して手伝っているんです。


――確かに、ラーメン二郎ではそれが「美徳」として定着しているようにも感じます。


 これって広告会社で言うと、こちらが成果物をアウトプットした時に、クライアントの方から「データ分析やレポート作成は私の方でやっておきますね!」って自ら引き受けてくれるようなもの。ラーメン二郎はお客さんに仕事をさせているのに、お客さん側はむしろ喜んでいる。これこそ究極のビジネスですよね。


――なぜ、お客さんはそこまで自発的に動くのでしょうか。


 まず、ラーメン二郎がうまいし、コスパがめちゃめちゃいい。そこを入り口にお店を好きになってファンになると、その空間や運営に自分が関われることがうれしくなるんです。


 ラーメン二郎には「宣告人」というシステムがあります。閉店間際に「今日の行列はここで終わりです」と店員に言われた最後尾の客が、次に並ぼうとやってきた別のお客さんに「ここで終わりって言われちゃいました、すみません」って、なぜか店の代わりに謝ることもあるんですよ。


――ラーメン二郎での体験から、ファン作りやサービス設計の本質を見出しているんですね。


 家系ラーメンからも学べます。食べに行った時に、高菜のトッピングがあったんです。高菜はおいしいし、ご飯にも合うし、ラーメンにも入れられるじゃないですか。ベースのラーメンが既に100点満点でおいしいのに、トッピングまでこだわって120点を追求していたんですよね。


 それを見た時「俺はなんて浅はかな人間だったんだ」と反省しました。俺は80点くらいで満足しているのに、ここまで徹底して初めて、人に本当の感動を与えられるんだと気付かされました。


――100点のラーメンで満足せず、もう一工夫(高菜)を足して120点を目指していたんですね。


 仕事もそうなんですよ。80%のクオリティーで形にはなったけれど、「うーん、この企画、まだ『高菜』がねえぞ」って考える。いいところまで来たけれど、人を感動させるための「高菜は何だ!?」って自問自答するわけ。


 日々生きている中でたくさんの学びがあるんです。どうせ毎日ご飯は食べるじゃないですか。だったら色んな視点で見たほうがいい。ただの食事から、ビジネスを学ぶ。そういう意味ではタイパを超重視しているし、真面目なんですよね。


●「サイゼデートはありか、なしか?」論争から考える


――ここBaRプードルには、「秋のグルメフェア」「クリアランスセール」「クリスマスセール」といったユニークな札が付いたお酒が並んでいます。これは一体……?


 なんだよそれって感じですよね。フェアの札は、ロイヤルホストのまねです(笑)。ファミレスってよく「イタリアンフェア」とか「カレーフェア」とかやるじゃないですか。


 「うちの商売(バー)だったら何に生かせるかな」と観察するんです。どうせ行くなら、ただ食べるんじゃなくてメニューやポップをちゃんと見るようにしています。


 例えば「サイゼリヤデートは、ありかなしか」って話よくあるじゃないですか。どう思います?


――サイゼリヤ自体は好きですが、正直、初デートで行くのはちょっと微妙かなと思います……。もう少しおしゃれなお店の方が『私のことを大切にしてくれそうだな』と感じるので。


 なるほどね。確かにサイゼリヤは「安い」というイメージもありますよね。


 そもそも、デートは「俺はこんなに良い人間で、あなたのことも大切にできる」という魅力を、時間をかけて相手にプレゼンしていく場じゃないですか。


 サイゼリヤデートをするとして、俺がメニューや、調味料を使ったオリジナルの味変、この料理にはこのワインが合うといった知識を「異常なレベル」で知っていたらどうします?


――それならむしろ、楽しそうです! 面白い人だなと思います。


 だったら、サイゼリヤデートも成り立ちますよね。「俺はここまで物事を深く調べ上げて、こだわりを持てる人間なんだ」「お金が無くてもこれだけ楽しめる人間なんだ」と、自分をプレゼンするわけ。だから、サイゼリヤが好きなら「どうしたら完璧で究極のサイゼデートができるか」を徹底的に研究してみると面白いですよ。


 さらに言えば「サイゼリヤのメニューを自分の仕事に生かせないか」というのも考えます。


 もし俺が保険会社の営業マンだったら、サイゼリヤのメニューの表紙にある「イタリアの大ファミリーが食卓を囲んでいる絵」を利用します。「今はサイゼリヤですけど、僕が提案する保険で人生設計を成功させて、将来本当に家族でイタリアに行けるかもしれませんよ!」って、お客さまと話せるかもしれないですよね。


――ロイヤルホストのフェアも、サイゼリヤのメニューも、全て「自分の仕事ならどう当てはめるか」という視点で見ているのですね。


 1つ自分なりの見方ができるようになれば、あとは全部横展開できますからね。


 自分が興味を持てるものなら何でもいいんです。コンビニのアイスでもいい、松屋の牛めしでもいい。自分の好きなものを、色んな角度から凝視してみること。


 ただ「おいしい」だけで終わらせず、「客層は誰なのか」「なぜこのパッケージデザインなのか」と疑問を持つ。何でもいいから、自分だけの「研究対象」を作るんです。


――特別な勉強をしなくても、日々のコンビニやファミレスでの食事が全て「ビジネス研修」の場になるのですね。ただ消費するのではなく、自分だけの角度で面白がって観察する。その積み重ねで、日々の仕事がより面白くなっていくのだなと思いました。


 下記の関連記事にある「【完全版】なぜ、コンビニやサイゼに行くことが「ビジネス研修」なのか 仕事が面白くなる“観察力”の鍛え方」では、配信していない高山氏やBaRプードルの写真とともに記事を閲覧できます。



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