チーム代表を兼任する7号車トヨタTR010ハイブリッドの小林可夢偉 7月11日、ブラジルのサンパウロで行われたWEC世界耐久選手権第4戦の予選を終え、トヨタ・レーシングでTR010ハイブリッドのアタッカーを務めた小林可夢偉(7号車)、平川亮(8号車)が、日本メディア向けのリモート会見に臨み、苦しい結果となった予選までを振り返った。
今季より各レースで課される性能調整(BoP)値は公開されていないものの、前戦ル・マンで優勝と3位を得たことから、それなりに性能が抑制されていると想像できるトヨタの2台は、10日の走り出しのプラクティスからトップ10圏外と苦戦。
迎えた現地時刻11日午後に行われた公式予選では、17台がエントリーするハイパーカークラスで8号車が14番手、7号車が16番手とふるわず、いずれも予選第1ステージでノックアウトされることとなった。
■新タイヤのピークグリップは「出会えない恋」?
「結果を見てもらえれば分かるように、苦戦をしています」と可夢偉は語る。
「予選も厳しかったですが、レースペースでも正直、ちょっと自信が持てない展開です。いままでサンパウロに来た中でもワーストなフィーリング、というのが現状です」
昨年に続きインテルラゴスでのアタッカーを務めた平川も、予選は「持っているものを全部出し切れた」結果だと語り、厳しい現実に直面していることを示唆し、「(決勝日の日曜は)雨が降る予報もあったりしますし、そのあたりも臨機応変に対応しながら、少しでも多くのポイントを獲れるように。タイヤにも厳しいサーキットですので、マネジメントだったりとか、戦略も含めて、しっかりいい判断をしていきたい」と話した。
昨年から今年にかけて、トヨタ・レーシングは空力を中心としたマシンの大幅なアップデートを行っている。さらに、今季はミシュランが新たなスペックのタイヤを導入するなど、2025年のサンパウロでのレースとはいくつかの要件が異なっているが、今回はコース全周にわたって良いフィーリングがないという。
「去年よりもグリップがないです」と可夢偉が端的に説明する。
「根本的には、去年よりもタイヤの性能が劣っていると僕らは分析しているのですが、クルマがアップデートされたという部分があまりこのサーキットには合っていないというのが現状で、簡単に言うとアンダー(ステア)、オーバー(ステア)、トラクション悪い、ブレーキも悪い……だから『とりあえず、グリップをくれ!』という状態で、何から手をつけていいか分からない。『反抗期の子どもに何を言っても……』という状態で、誰に何を相談したらいいか、分からない状況ですね」
新しいミシュランタイヤは、とくに予選一発での使い方にクセがあるようで、可夢偉はピークグリップについて「まだ出会ったことがない。出会えない恋をひたすらしている感じ」と“可夢偉節”を交えて説明した。
タイヤが変わった影響については平川も「最初のイモラ(予選2番手)がうまく行ったのが、今振り返ると若干謎ではあるのですが、予選でタイムを出すことがうまく行っていないという印象がある」と可夢偉と同様の感触のようだ。
「その上で、このサーキットがこのクルマにちょっと合っていないような感じがあります。また、LMDh勢はアメリカ(IMSA)でもこのタイヤでバンバン走っていますし、そういう経験値の部分もあったりとか、LMDhの方が予選でタイムを出しやすいのかな、というのはあったりしますね。なので、決勝に関してはもうちょっと悪くないのかな、という予想はしています」
前述のとおりBoPに関しては非公開、かつドライバーやチームがそこに言及することが規則により禁じられている。記者からの「あくまでも“感覚”として、クルマは重いか?」という問いに対して、「んー、なんですかね、恋愛で、重い女性に出会ったみたいな感じかもしれない」(可夢偉)、「(クルマを)持ち上げようとしたら難しかったんで」(平川)、「スーパーフォーミュラよりは重いよな?」(可夢偉)と、ふたりは絶妙な切り返しを見せていた。
ここまでは劣勢のサンパウロラウンドとなっているが、トヨタ・レーシングとしてはチャンピオンシップを考えても、少しでもポイントを獲得したいところ。今季はここまで戦略を絡めてポジションを上げるシーンが何度もあっただけに、上位進出の希望が完全に消え去ったとは言い切れない。注目の決勝レースは日本時間の12日23時30分にスタートが切られる。
[オートスポーツweb 2026年07月12日]