病院内のコンビニ、なぜ「ローソン」が最も多いのか 約350店を支える“病院専門チーム”の正体

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2026年07月15日 05:40  ITmedia ビジネスオンライン

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倉敷中央病院にあるホスピタルローソン

 病院でコンビニを利用すると、ローソンを見かけることが多い。実際、病院内におけるローソンの店舗数は352店舗(5月時点)で、シェアは42%(ローソン調べ)と業界トップだ。なぜローソンは病院で選ばれ続けているのか。その背景には、病院ごとの異なるニーズに対応する「病院専門チーム」の存在があった。


【画像】ホスピタルローソン1号店を見る


 全国の病院に展開する「ホスピタルローソン」だが、1号店は2000年、恵寿総合病院(石川県七尾市)への出店だった。当時病院内へのコンビニ出店は珍しく、コンビニチェーンでは初の取り組みだったという。


 ローソンが着目したのは病院の「非日常」的空間だ。そこに「日常の風景」であるローソンを出店することで、安心して立ち寄れる店舗になるのではないかと考えた。


●通常のローソンとの違いは?


 一般的なローソンのロードサイド店の面積は約200平方メートルだ。一方、ホスピタルローソンは建物内の限られたスペースに出店するため、約100平方メートルと通常店の半分ほどの広さにとどまるケースもある。


 そうした制約がある中でも、店舗づくりで重視しているのがバリアフリーへの対応だ。車椅子や点滴スタンドなどを利用する人でも安心して買い物ができるよう、通常店より通路を広く設計している。車椅子が通行できる幅を確保するだけでなく、介助者と並んで移動できる広さを目指しているという。


 ローソンの開発本部ホスピタル・ヘルスケア開発部 部長の村津克哉氏は「お店自体は狭いので、通路幅を広く確保すると、その分商品を置けるスペースが減ってしまう。通路の広さと品ぞろえのせめぎ合いだ」と話した。


 品ぞろえも通常店とは異なる。本社には医療衛生用品を専門に担当するスタッフが常駐し、病院ごとの要望に対応する。歯ブラシや下着などの生活用品のほか、医療用下着、介護用品やリハビリ用品など約3000品目の医療衛生用品を取り扱える。急な入院でも必要なものを院内でそろえられるようにしているという。


 一方、食品や飲料は通常店とほぼ同じ品ぞろえだ。新商品の発売やキャンペーンも通常店と同様に実施する。村津氏は「病院にある店舗だということはあまり意識せず、できる限り通常のお店に近づけたいと思っている。『日常の生活』を提供したい」」と話した。


 店舗の設備やサービスは病院ごとに異なる。店内調理ができる厨房やイートインスペースを備えた店舗もあれば、医学学生向けの専門書を販売する医学部付属病院での店舗もある。大学病院では学会などで訪れる医療関係者向けに土産品を置くケースもあるという。


 営業時間も病院の要望に応じて柔軟に設定している。24時間営業の店舗もあれば、午前7時〜午後9時など時短営業の店舗もある。営業時間外でも利用できるよう、院内にローソンの自動販売機を設置しているケースもある。


 また、店舗まで来られない入院患者や忙しい病院職員のため、ローソンの店員が飲料やお菓子などを載せたワゴンを押して病棟を定期的に巡回する店舗もある。ただ、コロナ禍以降は病棟への立ち入りを制限する病院も増えたため、病院側のニーズと店舗のオペレーションをすり合わせながら、実施できる店舗で導入しているという。今後は、配送ロボットの活用なども検討している。


 入院中の子どもたちを対象に学校教育を行う「院内学級」で、ローソンやコンビニ業界に関する特別授業を開催したこともある。コンビニの仕事や店舗で働く人の役割、「からあげクン」ができるまでの工程などを紹介した。


 開発本部ホスピタル・ヘルスケア開発部 マネジャーの樫野祐子氏は「長期で入院されているお子さまが多いので、唯一の社会との接点としてコンビニに行くことが楽しみになっている方もいる。楽しんでいただくイベントとして、院内学級がある病院でさせていただいている」と説明した。


●利用客の約6割は「病院職員」


 ホスピタルローソンの利用客は、患者や見舞い客、医師や看護師などの病院職員が中心だ。見舞い客と入院患者が病室を離れ、飲み物や軽食を購入してイートインスペースで会話を楽しむなど、面会の場としても利用されている。


 売り上げの約6割を占めるのは病院職員だという。病院で働く職員は、勤務中に病院の外へ出られないケースも多く、院内のコンビニで朝食や昼食、夕食を購入する人も少なくない。休憩時間など限られた時間帯に来店が集中しやすいことから、ホスピタルローソンでは通常店よりセルフレジを多く設置し、混雑の緩和やレジ対応の効率化を図っている。


 夜勤の職員が利用することもある。ローソンは2000年に1号店を出店した当初、24時間営業をアピールしていた。しかし「夜間に患者が病室を抜け出してコンビニを利用してしまう恐れがある」といった病院側の懸念から、24時間営業は思うように広がらなかった。


 そこで導入を進めているのが、夜間の無人営業だ。日中は通常通り営業し、夜間は病院職員だけがICカードなどで入店し、セルフレジで会計できる仕組みだ。ローソン側にとっても、人手を増やさずに運営できるほか、夜間の売り上げを確保できるメリットがある。現在は約30店舗で導入しているという。


 ホスピタルローソンを、病院職員の福利厚生の一環として導入するニーズもある。医師や看護師の人手不足が続く中、大きな病院では食堂やカフェなどを整備するケースも多く、院内コンビニも働きやすい環境づくりの一環として導入されているという。


●“病院専門チーム”が支える出店戦略


 ローソンが病院内コンビニで高いシェアを維持できている背景には、病院への出店を専門に担当するチームの存在がある。今回話を聞いた村津氏や樫野氏が所属する「ホスピタル・ヘルスケア開発部」だ。約20人が所属し、新規出店の営業から病院との条件交渉、開店後のフォローまで一貫して担っている。メンバーには店舗開発や店舗運営、商品開発などさまざまな部署の経験者がそろい、それぞれの知見を生かして病院の運営を支えている。


 病院への出店は、一般的な出店とは事情が異なる。病院ごとに建物の構造や必要な設備、営業時間などの条件が異なる上、意思決定も病院側との調整が必要になる。そのため、専門チームが病院ごとの要望を聞き取りながら出店を進めているという。


 病院からは「このメーカーのおむつを置いてほしい」「この医療用品を取り扱ってほしい」といった個別の要望が寄せられることもある。通常のコンビニでは扱わない商品でも、専門チームがメーカーなどと調整し、調達方法を検討する。


 ただし、病院からのニーズがあるからといって、無条件に出店を決めるわけではない。病床数や職員数、外来患者数などをもとに収益性を確認し、採算が見込めるか判断する。


 病院内の店舗は、病院職員や患者などを中心としたリピーターが多く、売り上げが安定しやすいのも特徴だ。コロナ禍では見舞い客が減少したものの、医療従事者の利用が支えとなり、売り上げは大きく落ち込まなかったという。


 村津氏は「病院ごとにニーズが異なるため、ホスピタルローソンは1店1店をカスタマイズしている。今後も出店を拡大するとともに、DXも進め、これまで出店が難しかった病院にも展開していきたい」と話した。



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  • 京大病院でよく利用させてもらった。
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