大阪大大学院医学系研究科の谷内田真一教授らによる日本人の大腸がんに関する論文=米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版より 日本人の大腸がんを調べたところ、腸内の一部の大腸菌が生み出す「コリバクチン」と呼ばれる毒素によってがん関連遺伝子が変異した痕跡が約半数で見つかったと、大阪大大学院医学系研究科の谷内田真一教授や東京大医科学研究所の柴田龍弘教授らが10日発表した。コリバクチンが発がんに関与していると考えられ、除菌などによる予防法の開発を目指す。
大腸がんには遺伝や食事、生活習慣のほか、別の細菌が関与しているとの報告もあり、さまざまな発症要因がある。谷内田教授は「なぜ日本人でコリバクチンが関与する大腸がんが多いのかや、コリバクチンを生み出す大腸菌の感染経路も明らかにしたい」と話している。論文は米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に掲載された。
解析対象は国立がん研究センター中央病院(東京)と大阪大医学部付属病院の大腸がん患者計200人。大腸がんの発生や進展に寄与する「APC」や「BRAF」「TP53」などの遺伝子のDNAが、コリバクチンによって傷つけられ、変異したことが分かった。発がんに関与した割合は約45%で、40歳未満で発症した若い患者に限ると、約70%に上った。
胃がんの場合はピロリ菌が主因であり、除菌治療が行われている。同様にコリバクチンを生み出す大腸菌の除菌治療ができるようになるかはまだ分からないが、予防法の開発を進めるという。