
タレント東貴博(56)が座長を務める東京浅草新喜劇の旗揚げ公演「家族以上、父親未満」が、9月13日から20日まで東京・雷5656会館ときわホールで上演される。浅草育ちの東が「浅草に恩返しをしたかった」と自身初の浅草での喜劇公演で構成、演出、脚色を担当する。共演者の盟友、はなわ(50)と共に、浅草への愛、そして新たな挑戦について聞いてみた。【小谷野俊哉】
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1988年(昭63)に52歳の若さで亡くなった、コメディアン東八郎さんの次男として浅草に生まれた東は、浅草で公演を行っていた欽ちゃん劇団に所属していた。09年(平21)から23年(令5)は座長を務める劇団劇団ファイヤーヒップス公演を毎年のように行ってきたが、浅草で座長を務めるのは初めてだ。
「浅草の人たちからはずっと『浅草でやってくれ』と言われ続けていたんです。なかなか実現できなかった。もっと早くやればよかったと思っています。地方の人が東京を目指すように、自分も演劇をやるなら下北沢という意識がどこかにあったんです。でも今回、浅草でやる機運が高まって、本当にいいタイミングになりました」
物語は浅草観音裏にある昭和歌謡居酒屋「心春」。東が演じる長山脩は、相棒の東出昭(はなわ)が経営する「心春」を切り盛りしている。店は東出のめいの宮田優(清水麻璃亜)の早くに亡くなった両親から引き継いだ。
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「今回、東京浅草新喜劇ってタイトルつけてよかったなと。血のつながりがなくても、こんなに家族になれるんだっていう。喜劇と言いながらね、がっつり泣かせる部分もある。その振り幅もね、自分の中でやるのは初めてだしね」
近所で和菓子屋を営む木下宏一を演じるのは、ふぉ〜ゆ〜福田悠太(39)。
「福田くんも浅草出身で、ずっと『一緒にやりたいね』って話していたんです。地元への思いを共有できる仲間と一緒にスタートできるのがうれしいですね。写真撮影も浅草神社や花やしきで行いましたし、パンフレットやポスターも浅草のお店に協力していただいています。観音裏のお店の皆さんも『待ってました』と応援してくださって、協賛もたくさんいただきました。街全体が一緒に盛り上げてくれている感覚があります。舞台を見た後は、浅草寺や浅草神社を歩いて、おいしいお店で食事をして帰っていただけたら」
劇団ファイヤーヒップスの盟友のはなわは、両親を亡くしためいを育てるために奮闘する東出役。
「東さんが地元・浅草と向き合って舞台を作るので、一緒に東京のお笑い文化を盛り上げたい。重要な役なので不安はありますが、それ以上に楽しみです。弟も浅草を拠点に漫才協会(漫才協会会長のナイツ塙宣之)でやってますからね。浅草はやっぱりお笑いの街として、頑張ってほしいですね。新喜劇っていうと、大阪の吉本新喜劇ですけど、東京浅草新喜劇も大きくなっていけば」
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はなわは03年に故郷の佐賀をネタにしたシングル「佐賀県」が30万枚超のヒット。同年のNHK「紅白歌合戦」にも出場した。弟のナイツ塙は千葉県我孫子出身で我孫子市ふるさと大使を務めている。
「正直に言うと生まれた瞬間は、埼玉の春日部に住んでいました。でも2歳までで、千葉の孫子に行きました。そこから、小学校6年の時に父親の転勤で佐賀に行って、高校卒業までの思春期を過ごしました。そこから東京に出てきたんです」
高校時代は佐賀県代表としてインターハイに出場して、国士舘大柔道部でも活躍した長男の塙元輝(25)は、今年4月に全日本プロレスに練習生として入団。安定した大学の教職員の職を辞して、夢を追った。
「たまに、会いますけど、まだ練習生なんで、本当に忙しそうですね。どこまでやれるかは本人次第ですが、そもそもデビューできてないんでね。早く試合に出られるように頑張ってほしいですね」。
「家族以上、父親未満」は、「大森カンパニープロデュース」主宰の大森博(62)のオリジナル脚本「家族、片恋」を東が脚色して、脚本を書き演出する。
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「元々は10年前以上から上演されていたものが去年、下北沢で再演されましてね。その舞台設定がすごく良くて、シチュエーションを浅草に持ってきたら、より臨場感があっていいんじゃないかと思ったんです。会場の雷5656会館ときわホールは、元々は浅香光代さんが女剣劇をやっていたところなんです。もう40年以上たつから、機材搬入の専用のエレベーターがない。大きいのは5階まで階段で運ばなくちゃならないから大変」
演出だけではない。出演者としても東はフル回転する。
「台本を読んでみて気づいたんですけど、出ずっぱりなんですよ。トイレがまずいなと思いました。水を飲む時間もないかと思ったら、居酒屋の設定だから舞台上で飲める(笑い)。自分で書いてるんだけどね。本当に休憩がなくてね。まぁ、稽古しながら、直していきます」
56歳になった。88年に52歳で亡くなった、父親のコメディアン東八郎さんの年齢を超えた。萩本欽一(85)に入門して、04年からは伊東四朗(89)、三宅裕司(75)らが座長を務める「伊東四朗一座」「熱海五郎一座」で“若手の代表”として、ずっと活動してきた。
「これから後は、ライフワークとして何をやるか。ずっと『伊東四朗一座』『熱海五郎一座』をやってきた。気がついたらテレビやりながら、ずっと軽演劇をやり続けている。30代初めから三宅さんには、本当にいい景色を見させてもらった。僕らは出てるだけで、楽しくやってたけど、コロナ禍とか大変な思いをしてきたと思うんですよ。だから、今回は三宅さん率いるSET(スーパー・エキセントリック・シアター)と、ぜひやりたいと思って、その役者を入れた。そういう意味でも、三宅さんへの愛、気持ちがある」
自らのお笑いの歴史を振り返る。
「欽ちゃんを見て、『ひょうきん族』を見て、とんねるずを見て、ウッチャンナンチャンを見て、ダウンタウンを見て、みたいなことだった。結局は、欽ちゃんのところに18歳で行き始めたことだった。最初に習ったのが、やっぱり軽演劇なんですよね。すぐに日光江戸村に行ってるから。1日に7回ね、芝居、軽演劇をやっていた」
その積み重ねが、自ら座長を務めさせた。
「振り返ると、30歳の時に自分で脚本を書いて、父親の十三回忌公演『86の13・数珠もってこい!!法事の代わりに舞台しますSPECIA』を新宿シアターアップルでやっていた。その4年後に『伊東四朗一座』だったんです。よく考えたらずっと軽演劇をやってたんですよ。“テレビタレント”みたいな時期もあったけど、軽演劇という言葉を意識しないで、お笑いの舞台に立っていた」
浅草に新しい軽演劇の灯がともる。
◆東貴博(あずま・たかひろ)1969年(昭44)12月31日、東京・浅草生まれ。94年(平6)に深沢邦之(54)とお笑いコンビTake2結成。09年に劇団ファイヤーヒップス旗揚げ。安めぐみと11年12月結婚。現在のレギュラーはテレビ東京系「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」、ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」など。173センチ。血液型O。
◆はなわ 1976年(昭51)7月20日、埼玉・春日部生まれ。千葉・我孫子をへて、小学6年で佐賀県へ。96年(平8)に芸能界入り。03年、CD「佐賀県」が25万枚超のヒットとなりNHK「紅白歌合戦」出場。頭頂部の「ツノ」がトレードマーク。175センチ。血液型O。
▼東京浅草新喜劇「家族以上、父親未満」
9月13日(日)〜20日(日)、東京・雷5656会館ときわホール(17日休演)。
出演は東貴博、福田悠太、清水麻璃亜、井阪郁巳、永島龍之介、錦笑亭満堂、川崎愛香里、良田麻美、丸山優子、はなわ。
ストーリは浅草観音裏にある昭和歌謡居酒屋「心春」が舞台。この店の一人娘・宮田優(清水麻璃亜)は早いうちに両親を亡くし、叔父である東出昭(はなわ)が養育と店を引き継いだ。昭は相棒の長山脩(東貴博)と共に、地元にも助けられながら子育てに奔走。近所で和菓子屋を営む木下宏一(福田悠太)は頼れる世話焼き兄ちゃん。
優は大手老舗和菓子店の跡継ぎ・小松透(井阪郁巳)との結婚を考えるが、透の母礼子(丸山優子)は反対。「優を悲しませるやつは誰だろうが許さない!」優の幼なじみの田中姉妹(川崎愛香里、良田麻美)、店の常連客の鳶(とび)の田所吾郎(錦笑亭満堂)と森翔太郎(永島龍之介)も巻き込んで話はあらぬ方向へ進んでいく。
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