3人に1人が要注意! 命にかかわる「高血圧」…無症状で進み、脳卒中や心筋梗塞を起こす危険性も

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2026年09月07日 20:50  All About

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【医師が解説】高血圧を放置すると、動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる重大な疾患のリスクが高まります。ネットの誤情報に惑わされてはいけません。高血圧が続く場合の対処法を分かりやすく解説します。(※画像:amanaimages)
定期健診や病院、薬局、スーパーなど外出先に設置された血圧計で何気なく血圧を測ったとき、少し高い数値が出ても、体に特別な症状がないと「まあ大丈夫だろう」とそのまま放置していませんか。

しかし、医師の視点からお伝えすると、高血圧の放置は非常に危険なリスクをはらんでいると言わざるを得ません。

日本高血圧学会では、測定する場面ごとに基準が異なり、診察室における血圧は140/90mmHg以上、家庭における血圧は135/85mmHg以上を高血圧の基準としています。ネットやSNSなどでは160/100mmHg以上が高血圧の目安という記載を見かけることがありますが、これは高血圧における早めの受診を強く勧める目安であり、高血圧の診断基準はあくまで140/90mmHg以上です。

最近では1回だけ高い値が出たかどうかよりも、繰り返し測定した平均値が高いかどうかが重視されており、特に家庭血圧が重視されています。

では、なぜ高血圧を放っておくのが危険なのか、その理由と今からできる対策について、最新のデータをもとに解説します。

高血圧を放置するとなぜ危険なのか? 血管が受ける深刻なダメージ

そもそもなぜ血圧が高いといけないのでしょうか。血液を「川」だとすると分かりやすいとされています。流れが急な川をみたことがありますか。川岸をみると、川岸の一部は川の流れで削られているのがよく分かりますよね。

同じように血圧が高い状態が続くと、血管には常に強い圧力がかかり続けます。すると、まさに血管壁が削られるわけです。

すると、血管が自分を守ろうとして血管を土管のように硬くしようとします。弾力性を失って硬くなる状態、これが「動脈硬化」です。

動脈硬化が続くと、血管としての柔軟性が失われるので、ちょっとした刺激で破裂したり、詰まってしまうことがあります。心臓の場合は心筋梗塞、脳の場合は脳梗塞や脳出血です。命にかかわるリスクにつながるため、血管壁が削られない血圧まで下げる必要があるというわけです。

日本高血圧学会のガイドライン(JSH2025)によると、血圧が120/80mmHgを超えて高くなるにつれて、脳卒中、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患、慢性腎臓病、心不全、さらには認知症の発症・死亡リスクが高まることが示されています。

日本国内では、高血圧によって年間10万人以上の死亡が生じていると推計されており、心血管疾患による死亡全体の約40%が高血圧によるものと考えられています。「高血圧を放置すること」がどれだけ危険かが分かるでしょう。

高血圧は決して「数値が高いだけ」で済まされる問題ではなく、命にかかわる大きな病気の前兆ともいえるのです。

日本の高血圧は放置されすぎている

実は日本は、すでに「血圧放置国家」となっています。

日本高血圧学会は、日本における高血圧者数は約4300万人、そのうち適切に管理されているのは約1200万人、残る約3100万人は管理不良としています。成人のおよそ2人もしくは3人に1人が該当する計算になります。しかし、約3100万人の管理不良の中には、自分が高血圧だと気付いていない人が約1400万人、気付いていながら治療を受けていない人が約450万人いるとする報告もあります。

高血圧を放置すると、脳卒中や心筋梗塞などの深刻な病気につながるおそれがあります。医療費の負担が増えるだけでなく、健康寿命を縮め、その後の生活にも大きな影響を及ぼしかねません。だからこそ、気付いた時点で向き合うことが大切なのです。

血圧を正しく評価し、一人ひとりに合った治療や管理につなげてくれる医師の力を借りながら、早めに対策を始めましょう。高血圧は、適切な治療で脳卒中や心筋梗塞のリスク低下が期待できます。

高血圧は早期対策を! 「生活習慣の見直し」と「早めの病院受診」がポイント

高血圧の予防や改善には、日々の生活習慣の見直しと早めの医療機関受診がとても大切です。

1日6g未満へ塩分摂取を見直すのも大切です。家庭での血圧を測定するのも大切です。交感神経を過度に刺激しないように、ストレス管理や睡眠不足も大きくかかわります。もちろん体重管理や運動も血圧対策として重要です。体重減少、塩分制限、運動、飲酒制限などを組み合わせたプログラムは、通常ケアより収縮期血圧を数mmHg以上下げ、降圧薬開始を遅らせるともいわれています。

しかし、それより何より一番大切なことは、血圧を自分だけで考えないことです。健診で「血圧140/90mmHg以上」と指摘された場合や、家庭血圧の平均が「135/85mmHg以上」続く場合は、放置せずに医療機関を受診してください。

定期健診だけでなく、病院、薬局、スーパーなど外出先に設置された血圧計で何気なく血圧を測ってみたタイミングも、ご自身の健康状態と向き合う絶好の機会です。早めに医師へ相談し、必要に応じて適切な指導や治療を受けることが、将来の重大な病気を防ぐ一番の近道です。

参考文献

1.柊山幸志郎.日本における高血圧の予後と合併症.日本内科学会雑誌 1990:79;29-32.
2.Kei Asayama,Michihiro Satoh,Yoshitaka Murakami,et al.Cardiovascular risk with and without antihypertensive drug treatment in the Japanese general population: participant-level meta-analysis.Hypertension.2014 Jun;63(6):1189-97.
3.Tariq Jamal Siddiqi,Muhammad Shariq Usman,Ahmed Mustafa Rashid,et al.Clinical Outcomes in Hypertensive Emergency: A Systematic Review and Meta‐Analysis.J Am Heart Assoc.2023 Jul 8;12(14):e029355.
4.Tatsuya Haze, Kenichi Katsurada,Satoko Sakata,et al.Effect of intensive versus standard blood pressure control on cardiovascular outcomes in adult patients with hypertension: a systematic review and meta-analysis.Hypertens Res.2025 Jun;48(6):1846-1858.
5.日本生活習慣病予防協会.生活習慣病の調査・統計.疾患で見る 高血圧.
6.Yusuke Ohya,Kimika Arakawa,Naoko Arata,et al.The Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension 2025 (JSH2025).Hypertension Research volume 2026:49; 9–235.
7.Writing Group of the PREMIER Collaborative Research Group.Effects of Comprehensive Lifestyle Modification on Blood Pressure Control Main Results of the PREMIER Clinical Trial.JAMA Published Online: April 23/30, 2003;289;(16):2083-2093.

秋谷 進プロフィール

小児神経学・児童精神科を専門とする小児科医・救急救命士。プライベートでは4児の父。子どもの心と脳に寄り添う豊富な臨床経験を活かし、幅広い医療情報を発信中。
(文:秋谷 進(医師))

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