阿部寛「ハッピーリスト」で永瀬廉と初共演、40年ぶり社会に出た“現代の浦島太郎”演じる

0

2026年09月17日 07:00  日刊スポーツ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊スポーツ

映画「ハッピーリスト」主演の阿部寛(左)と初共演の永瀬廉(C)2027 "A List for Tomorrow" Film Partners

阿部寛(62)が、主演映画「ハッピーリスト」(外山文治監督、27年2月5日公開)で、King&Prince永瀬廉(27)と初共演することが16日、分かった。阿部は精神科病院での入院生活から40年ぶりに社会に出て、東京で一人暮らしを始める59歳の江川太郎、永瀬は太郎に「やりたいことをリストにしてみては」と提案する、区役所の福祉課で働く24歳の岬幸太を演じる。太郎のやりたいことに1つずつ挑み、人生の再出発をする姿を描く。


阿部が演じる太郎は40年間、地方の精神科病院で暮らし、震災による転院をきっかけに入院の必要がなかったことが判明し、社会に放り出された男だ。「太郎が病院で過ごした40年間という時間を僕自身が経験することはできないので、それを分かったつもりになって演じることはしたくありませんでした」と役作りの際に抱いた思いを振り返った。


スカイツリーも回転ずしも初めて見る“現代の浦島太郎状態”で、ぼうぜんとする姿は、TBS系ドラマ「VIVANT」(日曜午後9時)で演じる警視庁公安部・外事第4課・野崎守の、ハードな立ち居振る舞いとは正反対だ。阿部は「むしろ、太郎が今、目の前にあるものをどう見て、どう感じるのかを大切にして、できるだけ素直に反応することを心がけました」と続けた。そして「永瀬君演じる岬は、最初は仕事として太郎と接しているけれど、ハッピーリストを一緒にたどるうちに、少しずつ太郎を知り、自分自身の感情も取り戻していく。その小さな変化を永瀬君がとても繊細に積み重ねてくれたので、二人の関係も自然にでき上がっていったと思います」と永瀬との共演を振り返った。


永瀬は「僕が演じる岬は、最初は与えられた仕事を淡々とこなすだけでしたが、太郎さんの優しい人柄に触れ、喜ぶ姿を見るうちに自分自身も少しずつ変化していきます。歩んできた人生が全く異なる二人が、理解し合い、寄り添おうとする姿をどう演じるか…」と、まず作品を評した。その上で「太郎さん役の阿部さんは、台本の読み合わせの段階から「太郎にどう近づき、どう演じていくべきか」について深く話し合われていた真摯(しんし)な姿が、とても印象に残っています」と撮影時の阿部の様子を振り返った。そして「そのおかげで、僕も監督やプロデューサーの皆さんと話し合い、頭で計算して作るのではなく、2人の間で生まれる自然な空気感や、共に過ごす時間の中で変化していくことを意識して役作りに臨むことができました」と、阿部に感謝した。


今作は00年代初頭、精神科病院に入院した30万人超のうち約7万人は環境が整えば退院可能とされていた中、東日本大震災をきっかけに退院した人がいたとの報道に外山文治監督(45)が着目。退院した人や実態の取材から着想を得て脚本も手がけた。同監督は、13年の「燦燦−さんさん−」で老人の婚活を描いた。23年「茶飲友達」では、13年に発生した高齢者売春クラブが摘発された事件に着想を得るなど、社会性のあるオリジナル企画に定評がある。


阿部、永瀬、外山監督のコメント全文は、以下の通り。


阿部寛(江川太郎役)太郎が病院で過ごした40年間という時間を僕自身が経験することはできないので、それを分かったつもりになって演じることはしたくありませんでした。むしろ、太郎が今、目の前にあるものをどう見て、どう感じるのかを大切にして、できるだけ素直に反応することを心がけました。太郎という人物を演じる中で、「もしあのとき誰か一人でも彼のことを理解してくれる人がいたら」と思わずにはいられませんでした。ただ、この作品は太郎の過去のつらさだけを描く物語ではありません。失ってしまった時間は取り戻せなくても、人はそこからもう一度、自分の人生を始めることができる。太郎が「ハッピーリスト」を一つずつやっていく姿を通して、そんなことを感じてもらえたらと思います。


永瀬君演じる岬は、最初は仕事として太郎と接しているけれど、ハッピーリストを一緒にたどるうちに、少しずつ太郎を知り、自分自身の感情も取り戻していく。その小さな変化を永瀬君がとても繊細に積み重ねてくれたので、二人の関係も自然に出来上がっていったと思います。40年間病院で生きてきた太郎と、社会の中で自分の生き方を見失っている岬。年齢も境遇もまったく違う二人が出会い、お互いに影響を与えながら少しずつ前を向いていく。その姿をぜひ見届けていただけたらうれしいです。


永瀬廉(岬幸太役)台本を初めて読んだ際、世の中には太郎さんのような境遇の方が実際にいらっしゃることに驚き、その事実と向き合うことの難しさを感じました。


僕が演じる岬は、最初は与えられた仕事を淡々とこなすだけでしたが、太郎さんの優しい人柄に触れ、喜ぶ姿を見るうちに自分自身も少しずつ変化していきます。歩んできた人生が全く異なる二人が、理解し合い、寄り添おうとする姿をどう演じるか…太郎さん役の阿部さんは、台本の読み合わせの段階から「太郎にどう近づき、どう演じていくべきか」について深く話し合われていた真摯(しんし)な姿が、とても印象に残っています。そのおかげで、僕も監督やプロデューサーの皆さんと話し合い、頭で計算して作るのではなく、2人の間で生まれる自然な空気感や、共に過ごす時間の中で変化していくことを意識して役作りに臨むことが出来ました。


自分と境遇が異なる人と接する際、人は無意識に相手を遠ざけてしまったり、関わることを難しく感じたりすることがあるような気がします。ですが一歩勇気を持って踏み出してみることで、心を通わせてお互いに成長していくこともある、とも思いたいです。太郎さんと岬が境遇の違いを超えて、互いに良い刺激を与え合い、理解し合っていくーその過程にある「温かさ」を、ぜひ感じていただけたらうれしいです。


外山文治監督 日本には入院する必要がないのに何十年も病室で過ごす患者が数多くいる。東日本大震災をきっかけにその事実を知った私は、長期入院の後で新しい人生を力強く歩む主人公を描き、人間の可能性を示す物語を作ろうと思いました。それは、現代が多様性をうたいながらも、理解できないものは排除され、閉塞(へいそく)感が漂い、やり直すことが難しい社会だと感じるからです。だから今、人生の小さな希望となる「ハッピーリスト」が必要だと思いました。


本作は、阿部寛さん、永瀬廉さんという素晴らしいバディによって、エネルギーに満ちた作品になりました。せりふが少ない難役に向き合う阿部さんのひたむきな努力、現場で納得いくまで何度も挑戦する姿に感動しました。それに呼応する永瀬さんのまなざしの表現力と感性の鋭さに心打たれました。まだ誰も見たことのない二人の新しい魅力が生まれたと確信しています。


また本作は台湾との国際共同製作作品として、文化や言語の違う皆がチームになりました。一つの思いや目的のために手と手を取りあう喜び、理解し合えた時間は私の人生の宝物です。人間の生きる力と、そして一緒に支えあうことの大切さを、映画を通じて感じて頂けたら幸いです。

    ニュース設定