
【写真】廣野凌大&田中涼星、ビジュ最高な撮りおろしショット
◆「リョウタには自分のバックボーンが込められている」(廣野)
――本作の企画の出発点をお聞かせください。
廣野:もともと、芸能をやろうと思ったきっかけが「バンドをやりたい」だったんです。紆余曲折あって俳優をやっていく中で、ちょうど5周年のタイミングでアーティスト活動(Bimi名義)も始めて。そこからさらに5年経った今、この頑張ってきた2つをクロスさせたいし、せっかくやるなら、騒がしいほうがいいなと。10年で培ってきた人間関係の中で好きなみんなを混ぜて、混ざっていないやつも羨ましくなるような作品にしようと思いました。
――いつ頃から構想していたんですか。
廣野:1年くらい前ですね。いつかバンドものはやりたいと思っていたので、「作っちゃおう」と。俳優をやっていくと、どうしても作品のために自分を犠牲にしたり、自分を丸め込んだりしなきゃいけない部分がある。それが発散できる作品になったらいいなと。
――田中さん出演の経緯を教えてください。
廣野:もう単純に友達なので(笑)。仕事で出会ったやつらとも、芸能人っぽい関係性じゃなくて友達でいたくて。今回も「仲いいやつらでバーベキューやろうよ」みたいなノリですね。それでお金を稼げて、お互いのファンも喜んでくれたら最高だよね、と。彼は昔ギターを少しやっていて、もともと音楽もバンドも好きなので、「これはやってほしいな」とオファーしました。
田中:もう、断る理由がないですよね。彼から「こういう舞台にしたい」と聞いて、「出る出る」と二つ返事でした(笑)。もともと、僕の10周年のとき(田中涼星 10th anniversary ひとり芝居「Be with you」)に凌大が楽曲を提供してくれたんです。だから、凌大の10周年で力になれるならぜひ、と。自分にとってはバンドでギターを弾くことに挑戦しつつ、凌大の10周年をいい形で迎えさせてあげたい、力になりたいという思いでしたね。
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廣野:キャストが決まった上で、「彼はこういうキャラ」というのを考えて。違う場所で会っていたらこうだったんだろうな、と妄想しながら作っていった感じですね。脚本の私オムさんは初めてご一緒するんですが、僕のプロットと打ち合わせをもとに脚本を書いてもらいました。それぞれが挑戦することがいっぱいある脚本になったと思います。涼星のギターもそうですし、役柄的にも普段の田中涼星ではない感じにしていますし。
田中:アハハ。
廣野:基本ギラギラしてるのが好きなんですけど、そのギラギラを抱えているんだけど消化できない人たちっていっぱいいると思うんです。そういう日常を生きている人たちのロックを目覚めさせるというか。どのキャラクターも人間味があって、バンドものだけど人間ドラマにフォーカスを当てていて。「バンドでうぇーい!」みたいな感じじゃなくて、そこに至るまでの苦悩や人の弱さを描く作品です。
――田中さんが演じる四条昌利というキャラクターについて教えてください。
田中:「バンド組もうぜ」と言われて振り回される役です(笑)。人に期待したい自分と、でも期待を裏切られたときに1歩踏み切れない、それがすごく人間臭いなと思っていて。そこの葛藤を抱えながらも、仲間内で集まっているときの楽しさ、音楽が繋いでくれた絆とか、そういう捨てきれないものがずっとある、という感じです。
廣野:四条は裕福な家の生まれで多くを与えられてきて、そこそこ満足しているけど、「本当の満足ってなんだろう?」という疑問があって。実はすがるものがあるようでない、ふわふわした人格の人物でいてほしい、という思いでプロットを書いたんです。「日々のどこに頑張りどころを置いたらいいか分からない」みたいな悩みを、彼が演じてくれると思います。
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廣野:そうね。面白そうだなと思って、そうした(笑)。
――廣野さんが演じるのはリョウタ役。ご自身と同じ名前をつけられていますね。
廣野:リョウタには基本、自分のバックボーンが込められています。自分の「IFの世界」の追体験というか。もちろん誇張している部分はあるので、どこまでがノンフィクションかは、観に来てくださった方が好きに感じてくださればいいかな。
◆「この作品は始まる前から成功のイメージが見える」(田中)
――テーマソングも手がけられています。楽曲に込めた思いとは。
廣野:これは思いというより、作品の核となる部分かな。ロックを好きになった、何者でもない人たちの悩みを描く話なので。僕が好きだったパンクロックの「幸せかどうかも分からないけど、叫ばせてくれ」みたいな、鬱屈とした気持ちをそのまま出したのがこの曲です。曲名の「Beyond」は「超えていく」という意味で、とにかく前に、前に、という曲。「早く俺を見つけろ」でもあり、「俺がそっち行くぜ」でもあり。バンド練習していても、これはお客さんが泣きながら聴くし、俺らはハイになっちゃうような、いい曲が書けたなって感じですね。
――バンド練習は順調ですか。
廣野:順調だと思いますよ。今回、バンドは上手くなくても、役者だからこそできる心の表現が乗ればよくて。僕もベースボーカルなんてやったことないし、まだまだなんですけど(笑)。でも気持ちの部分は、プロのアーティストにも負けないパッションが出そうだなと。
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田中:シンプルに、めちゃくちゃかっこよかったです。物語を1回通して観て、その後にこれを聴いたら、より心に響くというか。それぞれがもがいて、集まって、その盛り上がりを音楽にぶつける。全部をひっくるめて「『Beyond』なんだな」と受け取りました。自分がステージでギター演奏している姿を想像したら、めっちゃ震えたんですよ。もう期待しかなくて。始まる前からイメージできることってあんまりないんですけど、この作品は本当に成功のイメージが見えるというか。
廣野:そう、それを言ってくれてめっちゃうれしかったんだよね。脚本が上がった段階から「これめっちゃ面白いよね」と。ありがたい限りだし、僕のやりたいこととオムさんの脚本ががっちりハマったなって思います。
――お互いをよく知るお二人ですが、お互いを一言で表すとしたら?
廣野:純粋の「純」。ピュア。いい人のピュアとかじゃなくて、全部を1回受け止められる器があるというか。でも、たくさん受け止める分、溜まる部分があると思うので、それをこのロックにぶつけて発散してもらいたい。僕はどちらかというと、芸能をやりつつ好きなことをやっている立場ですけど、涼星くんは逆に、それを言わない強さがある。言わずに自分で消化して、大人たちと接して、仕事、パフォーマンスに昇華するのがすごいなと思っています。
田中:凌大は、なんですかね……「ジーニアス」。
廣野:日本語でよくない?(笑)
田中:アハハ! やっぱり多才なんですよね。音楽も芝居も素敵だし、ゲームとかも上手いんですよ。「何ができないの?」みたいな。
廣野:(ボソリと)数学。
田中:それは俺もできない(苦笑)。でも、それくらい表現者としての才能がすごくある。自分のビジョンを言語化できて、それを実現しようと動いている姿がめちゃくちゃかっこよくて。その背中を見ていると、自分もうれしくなって、応援したくなる。人を惹きつける力もあるし、全部ひっくるめて才能だと思います。
◆これからの10年の目標は“不労所得”!?
――10年という節目ですが、次の10年に向けて何か展望はありますか。
廣野:10年後は不労所得になりたいですね。辞めたいです、マジで(笑)。
田中:(爆笑)。
廣野:この10年、頑張ってきた分、きついのが分かってるんで。できれば不労所得で卒業したいですけど(笑)、10年後も「きつい」って言える廣野でいたいというか。まあ、なにかしらには携わっていると思います。次の10年はまだ見ていなくて、まずはここをやってからっすね。青春が一番ロックなのに、そのロックの過程をすっ飛ばしてきたので、ちゃんと青春できるのが、すげえ楽しみです。もし『IF』がウケたら、シリーズ化して、誰かに権利を買ってもらって生きていきたい(笑)。主人公の名前を変えれば他の役者でもできるし、今度は涼星くんが真ん中に行ってもいいし。
田中:確かにできるね(笑)。
――最後に公演を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
田中:僕自身、舞台上でギターを披露するという挑戦がありますが、凌大の節目をいい形で支えて、いい10周年を迎えさせることができたらなと思いますので、精一杯やります。よろしくお願いします。
廣野:バンドものですが、ぶっちゃけ、そんなに音楽音楽はしてない作品です。やりたいことから逃げずに挑戦してほしいというメッセージを込めているので、普通にお芝居として楽しんでもらえたら。キャストのファンの皆さんが、「お芝居も良かったし、今回挑戦してた音楽もこんな風になるんだ」と思ってくれたらいいし、また新しい魅力に気づけるような作品にしていきたいです。楽しみながら仲間たちで作るものが、どれくらいみんなに刺さるのか。そういうのも含めてチャレンジングで、エキサイティングな内容だと思うので、楽しみにしていてください。
(取材・文・写真:双海しお)
廣野凌大10周年記念企画 舞台『IF』は、10月22日〜28日東京・IMM THEATERにて上演。

