匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の新たな対策となる「遠隔解析」の導入を検討する有識者検討会で、川出敏裕座長(右)から提言を受け取る警察庁の森元良幸官房長(左)=24日午後、東京都千代田区 匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による被害を防ぐ新たな対策が急務だとして、警察庁の有識者検討会は24日、トクリュウが犯行に用いるスマートフォンから通信内容や情報を入手する「遠隔解析」を早期に導入するべきだとする提言をまとめた。同庁は制度の具体化を急ぎ、次の臨時国会にも警察官職務執行法改正案の提出を目指す。
トクリュウによる特殊詐欺や強盗では、暗号化や自動消去などの機能を持つ秘匿性の高い通信アプリが使われる。通信傍受などの従来の手法では内容が把握できず、上位の指示役や犯行の標的を特定するのが困難だった。
遠隔解析は、指示役らの物とみられる端末を外部から操作して情報を取得し、匿名性を打破して被害防止などに生かす。(1)捜査で端末を特定(2)裁判所の許可状を取得(3)端末にアクセス(4)次の犯行計画や標的を把握(5)被害防止、犯行阻止―という流れで行う。
提言では、遠隔解析を実行するのは重大な犯罪被害が生じる恐れがあるのに他に情報を得る手段がない場合で、対象端末は犯行グループ内の連絡や詐欺の架電など、犯人側の使用が合理的に認められるものに限るとした。取得する情報は現物を押収した場合と同程度とし、犯行計画やメンバー情報などを想定している。関係のない情報は全て消去し、継続的な監視も行わないとした。
実施方法は、捜査用のプログラムによるハッキングが想定されるが、対抗措置が取られるとして明らかにしていない。
憲法が保障する通信の秘密に関わるため、事前に裁判所の許可状を得ることを条件とする。端末内の情報に触れるのは警察庁長官が指名した解析担当官に限定。必要な情報だけを捜査部門に伝え、全ての実施案件を公安委員会に報告してチェックを受けることで適正さを確保する。対象者には可能な範囲で事後に通知もする。
同日の検討会で座長の川出敏裕東大大学院教授は「国民の信頼を得つつ、被害防止に着実な成果を出してほしい」と要請。警察庁の森元良幸官房長は「一刻も早く導入して深刻な被害を食い止められるよう、迅速に制度を具体化する」と応じた。