“あえて飲まない”「ソバーキュリアス」って?新たなライフスタイル 浸透の背景にコスパ・タイパ 更にメンタルパフォーマンス=「メンパ」【news23】

0

2026年09月30日 15:02  TBS NEWS DIG

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TBS NEWS DIG

TBS NEWS DIG

お酒は飲めるけれど、“あえて”飲まない。そんな欧米発のライフスタイル「ソバーキュリアス」が日本でも広がりを見せています。なぜこのような選択をしたのか、実践する人たちを取材しました。

【写真で見る】“あえて”飲まなくなった人「一日が長い」

発泡酒などに“駆け込み” 10月から「発泡酒」「第3のビール」は増税

喜入友浩キャスター
「様々なお酒が並ぶ店内。いたるところに掲示されているのが酒税の改正を伝えるポップです」

9月も残すところあとわずかとなった29日、お酒売り場には多くの“駆け込み客”が。

買い物客
「きのう見に来たらもう物が全然なくて、本当はケースで買いたかった。ないですね。ロング缶の箱は」

まとめ買いを急ぐのは、10月1日に酒税法が改正されるためです。
現在「ビール」と「発泡酒」「第3のビール」で異なる税率が、10月からは統一されるため、「発泡酒」「第3のビール」は増税、「ビール」は減税となります。

Q.ビール1本あたり9.1円の減税ということですが?

毎日ビールを1〜2本飲む客
「そんなにですか、すごい。月で400円くらい、それでまたビール2本くらい買えちゃう」

酒税改正で「ノンアル市場」に追い風 

一方、今回の法改正はノンアル市場にとっては追い風のようです。

週に2〜3日飲む男性
「運転する仕事をしているので(平日は)ノンアルコール系を選びますね」

民間の調査によると、お酒を飲む人の約3割が酒税の改正をきっかけに「ノンアル飲料」を購入したいと答えています。

いま、右肩上がりで成長するノンアル市場。10年前に比べ、ノンアルビールの販売量は4割、ノンアルチューハイなどは5割以上も増加しています。

“あえて飲まない・飲む量を減らす” お酒に弱くなくても「ノンアル」選択

東京・目黒区にあるバー「Cafe MARUKU」で、あまりお酒が強くないという女性が頼んだのはノンアルのハイボール。

こちらの店にある50種類以上のドリンクのうち、約40種類はノンアルコール飲料です。

会社員の女性
「申し訳程度にしかないノンアルコールの中から、消去法的に飲み物を選ぶ感じだった。ここに来て楽しめる幅が広がった感じがすごくある」

ただ、ノンアルを頼むのはお酒が弱い人だけではありません。

常連客の男性
「ノンアルっていうチョイスがあるのは結構いいなと思っていて。選んでやっている感じ」

約3年前からこの店に通う男性。お酒に弱い体質ではありませんが、ノンアルを注文し“あえて”飲む機会を減らしているといいます。

Cafe MARUKU 店主 桜井鈴茂さん
「ライフスタイルのコンセプトなんでしょうね。ソバーキュリアスって」

広がる「ソバーキュリアス」のメリット 酔っている時間=もったいない?

店主の桜井鈴茂さんが口にした「ソバーキュリアス」という言葉。

英語でSober(ソバー)は「しらふの」、Curious(キュリアス)は「興味がある」を意味し、直訳では「飲まないことに興味を持つ」というニュアンス。

欧米で始まった、飲めるけど“あえて飲まない・飲む量を減らす”というライフスタイルで、日本でも少しずつ浸透しているのです。

“あえて飲まない”ことでメリットがあるといいます。

Cafe MARUKU 店主 桜井さん
「飲んでしまうとその日何もできない。ノンアルだったらそれが終わった後にも、ちょっとした仕事に戻ることもできるし。例えば友達にメールを書くのもぐでんぐでんに酔っ払ったまま書けない。LINEですらちょっと頭使うよね」

常連客の男性
「あと、ろくなことが起きない。ぐでんぐでんに酔っ払った後」

Cafe MARUKU 店主 桜井さん
「飲んでいる時はよく『忙しい忙しい』とか言いながらお酒飲んでいたけど、そりゃそうだと。時間が少ない」
「お酒飲まなくなってびっくりした、一日が長くて。こんなに実は一日って長いんだって」

「酔っている時間」を「もったいない」と感じているようです。他の客も...

会社員の女性
「ここに来ている方とかはこの後、英語のオンラインレッスンを受けている方も」

デザイナー
「スポーツジム行くからちょっとノンアルとかローアルを飲んで、夜は夜でスポーツしたりとか」

コスパ・タイパの次は『メンパ』 飲酒は良くない娯楽と感じる人も

専門家によると、「酔うこと」についてコスパ・タイパの良くない娯楽であると感じる人も増えているといいます。

ニッセイ基礎研究所 久我尚子 上席研究員
「翌日の体調・気分とか、酔っ払ってしまった失敗行動とかそういったマイナス面が、少し酔って楽しい気分になる、メリットをデメリットが上回るというふうに考えられるようになってきた」

「今年ぐらいからメンタルパフォーマンスの『メンパ』も、若い世代を中心に注目をされているようだが、その飲酒行動が『コスパ』『タイパ』だけではなくて、『メンパ』としてもどうかというような判断軸も出てきた」

「タイパ」に「コスパ」「メンパ」などを理由にあえて飲まないという選択肢。

では、お酒を普段からたしなむという人はどう思うのでしょうか。

会社員の女性
「お酒を飲むことで勝手に異業種交流ができちゃってる。そういう意味ではコストパフォーマンスがいいのかなと思う」

会社員の女性
「『次の日飲まなければよかった』はあるんですけど、総じて幸福感があるから、お酒を飲んでみんなで笑ったっていう楽しかった記憶がめちゃくちゃあるんで、その記憶のために飲んでます」

お酒の飲み方は時代によって変化 「お互いの選択を尊重する」社会に

小川彩佳キャスター:
お酒の飲み方は時代によって変化してきました。

【お酒の飲み方の変遷】
▼昭和・平成初期 居酒屋で上司の「まあ飲めよ」を断れない部下
▼平成中期 不況で増えた「宅飲み」
▼平成後期 女子会ブーム「ワイン」が人気に
▼令和 コロナ禍で「リモート飲み」が登場

小説家 真山仁さん:
私の場合は、会食の半分ほどは取材を兼ねていて、相手と同じもの・同じ“ピッチ”で飲まないと、相手のペースで話してもらえないためネタが取れません。

時代が変わり、そういうことをしなくても良くなっている部分はありますが、私は取材のときは今でも変わりません。

好きなものを押し付ける文化が社会から薄れ、好きな人も嫌な人もいるということが浸透し、「お酒を飲んでも、飲まなくても良い」という流れになってきているのでしょう。

私も実はお酒がものすごく好きというわけではないので、一滴も飲まなかったり、忙しい中で食事をするときはノンアルコールビールで済ませることもあります。状況に応じたコントロールが大事だと思います。

藤森祥平キャスター:
私はお酒を飲まなくなったのですが、気付けば3年間、風邪をひいていません。
ニューヨーク特派員の生活から「news23」の生活になるときに、帰宅時間が遅く翌朝早いこともあるため「お酒をやめた生活をどこまで続けられるか」と試してみたら3年が経っていました。二日酔いの頭痛や胃もたれもすっかり忘れてしまいました。

小川キャスター:
ニッセイ基礎研究所の久我上席研究員によると、SNSの普及も一つの要因になっているということです。

SNSの普及で、直接会わなくても連絡がとれる時代になったため、仕事終わりに飲みに行くというリアルな行動でコミュニケーションを取る必要性が薄れてきたという変化も背景に影響しているのではないかといいます。

小説家 真山さん:
お酒を飲むということではなく、コミュニケーション自体を取らなくなってしまうのではないかと、こうした流れを少し心配しています。

私は若い学生や社会人と会食する機会もありますが、「飲まない」と堂々と言う人がいます。

社会における調和を覚える場として飲みの席はとても重要なので、「飲まない」と答えることは良いとしても、誇らしげに言うことには少し違和感を覚えてしまいます。

飲む側も飲まない側もお互いの嗜好を尊重し、そして周囲に耳を傾けて居心地よく過ごすにはどうすれば良いのか考えられたらいいのかなと思います。

※動画内で紹介したアンケートは30日午前8時で終了しました。

==========
<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
新著は権力の闇を描いた「フィクサー」

動画・画像が表示されない場合はこちら

    前日のランキングへ

    ニュース設定