元セクシー女優の姉・田中明子さん(40代・仮名)「家族だからこそ、絶対に触れられないことがあるんです」
そう語るのは、“元セクシー女優の妹”を持つ田中明子さん(40代・仮名)。田中さんの妹は、すでに引退しているが、約15年ほど前に活躍していたトップクラスのセクシー女優だった。
今回話を聞いたのは、姉という立場から見た「家族のリアル」。華やかな世界の裏側で、身近な人間は何を思い、どう向き合ってきたのか——。
その複雑な感情が、淡々とした語りの中に表れていた。
◆「村社会」で瞬く間に広がる“妹のウワサ”
田中さんの妹が現役のセクシー女優だった約15年前。田中さんは、田舎の町に当時の旦那とともに暮らしていた。そんな環境だからこそ、妹の仕事は瞬く間に広まったという。
「職場と生活圏がほぼ一体で、誰がどこに住んでいるか、誰と誰が知り合いか、全部つながっているイメージですね。そういう環境だと、噂が回るのが本当に早いんですよ。『あそこの娘が……』っていう話が、気づいたらみんな知っている。でも、面と向かっては言わないんです。『妹さん今なにしてるの?』って、わかってるくせに聞いてくる感じが伝わってきて……。正直、なんとも言えない心苦しさがありました」
誰も核心には触れない。でも実際に妹がセクシー女優として活動していることを知っているような雰囲気がある。
本当に知っているかどうかは定かではなかったものの、その空気感が田中さんにとって、居心地の悪いものだったという。
◆「ありえない」と思った妹の選択
妹がセクシー女優として活動していることを知った当初、田中さんは強い拒絶感を抱いたようだ。
「デビューした直後、打ち明けられた時は、正直『気持ち悪い』『ありえない』って思ってしまい、全然理解が追いつきませんでした。私は長女として真面目に勉強も頑張ってきたタイプだったので、自分とは真逆の人生を選ぶ妹の選択を受け止めるのが本当に難しかったんです。それまでは一番仲の良い飲み仲間みたいな関係だっただけに、なおさらショックが大きかったですね」
それまで妹は、家族ぐるみの交流の中で自然に関わる存在だった。
「それまでは、うちにもよく泊まりに来ていたんですが、事実を知ってからは関係性を変えざるを得ませんでした。絶対に夫や周りにバレてはいけないと思って、家に泊まらせるのをやめ、夫と妹を会わせないように必死で距離を置いたんです。たまに会う時も外で少し会うだけにして、夫から『最近来ないね』と聞かれても『最近連絡取ってない』と嘘をついて誤魔化していました。元々すごく仲が良かっただけに、そうやって嘘をつきながら避け続けるのは本当に複雑で辛い時期でしたね」
関係を断つわけではない。だが、これまで通りにもいかない。姉妹の間に微妙な距離が生まれていった。
◆自身の夫が見ていた“妹の動画”
さらに田中さんを大きく揺さぶったのが、結婚生活の中で起きた出来事だった。現在は離婚しているが、当時の夫の携帯に、なんと妹が出演している動画が入っていたという。
「当時、夫の携帯を見る習慣があったのですが、あるとき妹の動画が入っているのを見てしまって愕然としました。夫には妹の仕事のことを話していませんでしたが、正直、顔を見ればわかるじゃないですか。絶対に向こうもわかっているはずなのに、お互い何も言わない。触れちゃいけない話題みたいになっていました。夫がそういうビデオを見ていることも不快でしたが、『自分の妹だと知っていて保存している』ということがショックでしたね」
離婚のタイミングで、ようやくその話題に触れることができた。
「そのときに初めて、“あれって…”という話はしました。やっぱり知っていたみたいです。当時は言えずに胸の中に抱え込んでいて辛かったのですが、離婚してもう関係が切れる相手になったこともあり、すべて打ち明けて話せたことで気持ちがすごく楽になりました」
◆事実を知った母、父には報告せず
家族の中でも、妹の仕事に対する認識には差があった。
「母は知っています。妹が精神的に辛くなって泣きながらお母さんに電話で相談したことがあって、その時に打ち明けたみたいなんですよね。ただ、うちの母は面倒くさいことや、ややこしい事態になるのを避けるタイプなので、父には一切言わずに隠していました。普段から夫婦間で大事なことをお父さんに共有しないところがあるんです」
◆父の机に妹の写真が掲載されている雑誌が…
一方、父には明確に伝えられていないという。
「母は大事なことほど父に言えないタイプなんです。だから父は知らないままかもしれないし、気づいていても触れていないのかもしれない。でも、実家に行ったときに妹のグラビアが掲載された週刊誌が机に置かれているのを見たことがあります。それが妹のことを知っていて買ったものなのか、そのページを見たのかなど、聞けていないのでわからないです。そこに誰も触れない感じで……」
そして田中さんは意図的に、妹と父に“距離を置かせる”選択をしていた。
「もし直接会ったら、“やっぱりそうだ”って確信になってしまうじゃないですか。それが嫌で、父には会わせないようにしていました」
かつては当たり前に顔を合わせていた関係を、自ら遠ざける。その決断は決して軽いものではない。
「お父さんの中で私と妹は自慢の娘なんです。可愛くて怒られたこともない。だからお父さんには迷惑をかけないように、悲しませるようなことはしたくないと思いました」
◆「何してるの?」に答えられない
周囲からの問いかけにも、田中さんは曖昧に答え続けてきた。
「その後も、周りの人から『妹さん、今何やってるの?』って聞かれても、とにかく『最近連絡を取ってないからわからない』ってトボけ続けていました。こっちが『何も知らない』という態度をとっていると、相手もそれ以上は深追いして突っ込んでこないんですよね。相手が本当に気づいていないのか、それとも気を使って知らないフリをしてくれていたのかはわかりませんが、とにかく自分からは何も話さず、シラを切り通してうやむやにするしかありませんでした」
◆引退から15年、現在の姉妹の関係
現在、引退して15年以上が経ち、関係性はかつての“仲が良い姉妹”に戻っているという。
「私が離婚してからは夫に隠したり距離を置いたりする必要もなくなったので、一時期は私の家で子どもたちと一緒に1年ほど同居していたこともありました。子どもたちも妹にすごく懐いていて、大好きな存在なんですよね。妹はいろんな経験をしてきて視野も広く、私が離婚する時も親身になってアドバイスをくれて、今でも何か困ったことや悩みがある時に一番に相談して頼りにしています。昔のように何でも腹を割って話せる関係に戻り、私にとっても本当に心強くて大切な存在ですね」
◆「触れられないまま」続く関係
田中さんは自身の経験を踏まえ、「もし似たようなケースがあっても、本人だけでなく、その人の身内にも聞かないであげてほしい」と話す。
「今振り返ると、当時は本当に“誰にも言えないこと”が一番辛かったですね。とにかく狭いコミュニティの中、『もしバレたらどうしよう』という恐怖が常にあって……。大きな秘密を一人で抱え続けるのは本当に息が詰まる思いでした。だから、もし動画をみて『あれ?この人……』と思っても、その人の身内には何も聞かないであげてほしいですね」
最後に田中さんは「現在は妹との関係は良くなりましたが、過去の話であっても、友達にはもちろん話せません。そして、お父さんは知っているのかどうか。これはおそらく今後も聞けません。家族だからこそ触れられない……って感じですね」と話した。
家族だから何でも話せるとは限らない。むしろ、大切に思うからこそ、真実を確かめることも、胸の内を明かすこともできない場合がある。
田中さんが抱えてきた沈黙は、妹を拒絶する感情だけでなく、父を悲しませたくないという思いや、家族の日常を守ろうとする気持ちから生まれたものでもあった。
取材・文/セールス森田
【セールス森田】
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント