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ミッツ・マングローブ「TPOモンスター櫻井翔の凄み」

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2018年10月17日 16:02  AERA dot.

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写真ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場〜語り亭〜」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する
ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場〜語り亭〜」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する
 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「櫻井翔」を取り上げる。

*  *  *
 TPO(Time/Place/Occasion)。これ(時と場所と状況)をわきまえないと、KY(空気を読めない)な痴れ者もしくは無礼者扱いされてしまうのがオトナの世界です。昔から「あの人、外面はいいから……」とか「彼女は八方美人だ」とか「宅の亭主は内弁慶なだけざますのよ」なんて言い回しがあるものの、どれも裏を返せば「TPOをわきまえたオトナの対応ができる人」ということだったりします。それでいて同時に個性や権利を尊重したがるのも矛盾多き世の常。テレビの世界でもそれは同じです。TPOに応じた「それっぽい」立ち居振る舞いが当たり障りなくできるかどうかがいちばん重要であって、むしろ個性なんて二の次と言ってもいいかもしれません。

 そんなわけで一周回って櫻井翔さんです。現在のテレビ界でTPOをわきまえさせたら、この人の右に出る者はいないでしょう。どんな場面であろうと常に最適な「それっぽい」雰囲気を悠然と醸すその姿は、「如才ない」「わざとらしい」「嘘っぽい」なんて言葉では片付けられないぐらいの『凄み』に満ちています。衰え知らずの現役アイドルとしての翔くん。バラエティなどで臨機応変にボケ⇔ツッコミを使い分ける翔くん。そして報道番組では貫禄たっぷりにザ・社会派モードの翔くん。さらにはオラオラもんでラップを畳み掛けるチェケラッチョな翔くんも捨て難い。特に私が好きなのは『がん保険アフラック』のCMで、がん経験者の話を神妙な顔をして聞いた後、「アフラック!」と叫びながら登場するアヒルに向かって、まるで平穏な日常を取り戻した街を見届けて「やれやれ……」と呟く正義の味方の如く、ほんのり眉間に皺を寄せて苦笑いする翔くんです。見様によっては鼻で笑っているようにも見えますが。

 個人の権利や主張が最大限尊重される現代において、いかに『健全な第三者』として共存できるかどうかが『TPO力』だとするならば、あのアフラックのCMにおける翔くんはまさに『TPO力』の鑑。あれほどまでに粛々とそして冷静に、世の中を俯瞰で見ているアイドルが今までいたでしょうか? もしかすると、あの粛々さこそが彼のエゴそのものなのかもとも思えてきますが、だとしても到底真似できるものではない。誰もが奥に抱えている『闇』をちらつかせたり、それで物事を片付けたりしようとするところが、彼にはいっさいありません。嵐がいつまでも無味無臭でクラシカルな趣を保っているのは、そんな櫻井翔の存在故なのかも。その分、他の誰よりも闇が深そうなのもまた彼の魅力です。以前、テレビ局の控室でタバコを吸う翔くんを見た時、とてつもない安堵感に襲われたことを鮮明に覚えています。

 こうなったらいっそAmazonのCMも、そして『ハズキルーペ』も、すべて櫻井翔の手にかかってしまえばいいと思う今日この頃です。そうでもしないと彼の本当の凄さと闇の深さに誰も気づけないまま、「あのアフラックのCM、何かわざとらしいよね」とか「櫻井キャスターって、どう見てもコントでしょ」で終わってしまう可能性があります。それはいけない。もったいない。正直なところ私も今までそうでした。

 それでも翔くんのTPO力の高さを受け止めきれないという人は、是非彼のラップを聴いてみてください。

※週刊朝日2018年10月19日号

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  • 桜井翔と、「オセロの黒い方」は、なんとなく顔が似ている
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  • マツコとミッツがおばさんに思う自分の慣れ。
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