セックスレスの解消に「妻の刺激的な下着」が逆効果である理由

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2017年06月03日 22:01  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

妻がエロティックな下着を身につける作戦はセックスレスを悪化させる!?

夫婦のフェアなルールに隠されたアンフェアな落とし穴

 一夫一妻制を前提とするならば、夫婦は相互に、この世で唯一セックスをすることが許されているパートナーです。この世に約70億人の人間が生きていて、その半分に当たる約35億人の異性がいたとしても、セックスの相手となるのはこの世にたった一人しかいないのです。裏を返せば、夫婦は相互に、相手の人生からセックスを奪う力をもっています。

「二人で協議して二人とも納得したうえで決断する」という“フェア”なルールを掲げている夫婦も多いかと思いますが、実はこのルールには“アンフェア”な落とし穴があります。

「何かをする・しない」を、二人で協議して決断しようとするとき、一方が「する」を選び、一方が「しない」を選択したとします。二人の意見の重みは平等です。だとするといつまでも決断ができません。ということは実質的に「しない」の選択が実行され続けることになります。この場合、結果的に「しない」を選んでいるほうが、実は主導権を握っているのです。

 同様に、セックスをするかしないかはお互いの自由です。夫婦それぞれに「セックスをしない自由」があるのは当然です。意見の重みは平等であるはずです。逆に「自分の決断に相手を従わせる権利」はどちらにもありません。相手にセックスを強要することができないのと同時に、セックスを求める相手にセックスのない生活を強要することもできません。

 ジレンマです。自分の選択を主張することは自由です。しかしその選択に相手を従わせることは許されません。ですから、「する・しない」の決断をする際、「しない」を選んでいるほうは、自分が優位な立場にあることを自覚して、相手以上に真摯(しんし)に議論に向き合い、相手の意見を理解するように努めるべきです。それで初めて対等な立場ということになります。

目指せ! “オキシトシン・リッチ”なカップル

 愛し合っている二人がセックスをすると、男女ともに、オキシトシンというホルモンが大量に分泌することがわかっています。オキシトシンは「愛情ホルモン」「抱擁ホルモン」などとも呼ばれ、人間同士の親密性を増幅させ、幸福感をもたらすといわれています。愛情や信頼を維持するために重要なホルモンです。ストレスを緩和する作用もあるといわれています。逆に好きでもない相手とするセックスではオキシトシンはあまり分泌されません。

 実はちょっとしたスキンシップでも、オキシトシンは分泌されます。オキシトシンが分泌されることで、相手への愛情がさらに深まると、軽度なスキンシップでもさらに大量のオキシトシンが分泌されるようになります。要するに、スキンシップは、とればとるほどとりたくなり、とらなければとらないほどとりたくなくなるものだということができます。

「もう何年もセックスをしていないけれど、夫婦どちらにも不満はない。お互いに愛している」というカップルもときどきいますよね。しかし、そういうカップルによくよく話を聞いてみると、いわゆる生物的な意味でのセックスという行為はしていないものの、普段からよく会話し、ハグをしたり、キスをしたりという軽いスキンシップはむしろたくさんとっていることがわかります。

 一回のセックスで得られるスキンシップの量を100ポイントとした場合、ハグなら10ポイント、キスなら20ポイントくらいでしょうか。すれ違いざまにちょっと肩を触るくらいなら5ポイント、腰を触るなら10ポイントくらいでしょうか。そうやって、小さなスキンシップを重ねることで、セックス1回分以上のふれあいを、彼らは継続的に実感しているのかもしれません。

 セックスレスの期間が長引き、「今さらどうやって関係をつくり直せばいいんだろう」「恥ずかしくって今さらセックスに誘うなんて無理」という状態にまで行ってしまった夫婦もいるかもしれません。一度そうなってしまったら、いきなり無理してセックスをしてもただのストレス。そんな場合は、小さなスキンシップから積み重ねていき、徐々にオキシトシン分泌を復活させましょう。

夫婦が目指すべきセックスとは

 妻が夫の気を引くために、エロティックな下着を身につけるという作戦もあるようですが、それは本来すべきこととは180度真逆の、間違った努力です。セックスに刺激を求め始めると、きりがなくなるからです。セックスに強い刺激を求めようとするなら、どんなセクシーな下着をまとったところで、不倫のような非日常的なセックスに到底かなわないということになります。


おおたとしまささんの著書『〈喧嘩とセックス〉夫婦のお作法』(イースト新書)※記事中にある書影をクリックするとamazonの紹介ページにジャンプします

 夫婦が目指すべきは日常的なセックスです。安心と癒やしを感じられるセックスです。あまり綺麗なたとえが思いつかないのですが、語弊を恐れずいえば、「するめ」や「なめし革」のようなセックスです。「嚙めば嚙むほど味が出る」「使い込むほど手触りが良くなる」みたいな意味です。

 夫婦になれば相手の嫌なところも見えてきます。でも、結婚相手は、地球上にいる約35億人の異性の中から、たった一人、自分のすべてを受け入れると約束してくれた、老いても病んでも逃げないと約束してくれた、奇跡のような相手です。嫌なところも含めて、結婚相手のすべてを受け入れようという覚悟が本当にできたとき、夫婦は本当に“かけがえのない”関係になれるのです。

 そうなると、結婚相手という存在自体を感じる感受性が敏感になります。親密でいられることにこのうえない悦びを感じられるようになります。若いころ情熱的に愛し合った思い出、一緒に子育てした喜び、ちょっとやりすぎちゃった夫婦喧嘩、ちょっぴり増えた贅肉やしわ、病気やケガの心配……すべてのことがセックスの味わいを増す“隠し味”となります。非日常的なセックスが、「子どもっぽいセックス」に思えてくるはずです。そうなればもう、浮気の心配もありませんね。

<著者プロフィール>
おおたとしまさ◎育児・教育ジャーナリスト、心理カウンセラー。1973年東京生まれ。長男誕生を機にリクルートを脱サラ。数々の育児・教育雑誌の編集を経て、現在は、男性の育児、子育て夫婦のパートナーシップ、学校・塾の役割などについて、取材・執筆・講演活動を行う。ラジオ番組にもレギュラー出演中。サイト「パパの悩み相談横丁」ではメールで全国のパパからの悩みに日々応えている。著書は45冊以上。

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  • はあ。そうですか。(55歳独身)
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