綾瀬はるかと西島秀俊は“理想の夫婦”になれるのか? 『奥様は、取り扱い注意』第9話レビュー

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2017年11月30日 18:22  リアルサウンド

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 「あんたはそれを、その人が与えてくれると思ったから、惚れたのよ」。11月29日に放送された『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)のエピソード09「最後のランチ会」。物語は、伊佐山菜美(綾瀬はるか)の住む街で、横溝(玉山鉄二)に弱みを握られ、主婦売春を続ける日々に耐えられなくなった一人の主婦が、自ら命を絶つところから始まる。


参考:西島秀俊演じる夫の正体が明らかに? 『奥様は、取り扱い注意』第8話の鍵は“気付き”


 菜美、優里(広末涼子)、京子(本田翼)の仲良し三人組が、何度も開いてきたランチ会。エピソード09では、このランチ会が最後となった日とともに、彼女たちのこれまでの夫婦生活が終わっていく模様が描かれていた。


 突然の海外赴任の話に、勇輝(西島秀俊)への疑惑を深めた菜美は、小雪(西尾まり)に彼の身辺調査を依頼。一方、渉(中尾明慶)の不倫疑惑と正面から向き合うことを決意した京子は、尾行した夫が、同僚の女子とホテルに入っていく決定的な場面を目撃してしまう。そんな中、優里(広末涼子)は、啓輔(石黒賢)との結婚生活に限界を感じ、安西(小関裕太)に安らぎを求めるようになっていく。そして、一線を越えてしまうのだった。


 啓輔のセリフの中にこんな言葉があった。「君はいつまでたっても幼いままだな。求めるばかりで与えようとしない」と。今回のテーマは、この“求める”と“与える”にあったように思う。お互いに愛を求めて結婚した夫婦が、自分が求める愛と相手に求められる愛、自分が与えた愛と相手から与えられた愛の違いに不満を抱き、そのことがキッカケで少しずつズレが生じていく。


 優里は、自分が夫に愛を与え続けているにも関わらず、求めている愛が夫から返ってこないことで、“孤独”を感じていた。そんな息苦しい生活に耐えきれず、これが愛じゃないことは分かっていながらも、安西に安らぎを求めるようになっていく。“目覚まし時計”としてではなく、人間として一人の女として求められたいのである。


 京子の夫・渉もまた、“佐藤っていうありふれた名前と広くて大きな家”としてではなく、一人の男として求められたかったのだろうか。京子は京子なりの愛を渉に与え続けていたが、「とことん地味な佐藤くん」は、彼女から愛されている自信がなかった。もしくは、彼女の愛は、渉が求めていたものや、渉が京子に与えてきた愛とは違っていたのかもしれない。お互いの求めるものと与えるもののズレが、「なぜこの人と結婚してしまったんだろう」と築き上げてきたものを壊していく。


 勇輝と結婚した理由について「初めての一目惚れだったの」と語る菜美に、小雪は「一目惚れってことは、理屈じゃないでしょ? あんたは直感的に、一番欲しいものを選択したってこと」と警鐘を鳴らす。続けて「あんたはそれを、その人が与えてくれると思ったから、ほれたのよ」と、菜美が勇輝に求めていることは、安定した普通の生活ではなく、刺激ある非日常的な人生であることを指摘する。そう、これまで何の仕事をしているのか、どういう人物なのかが明かされず、曖昧に描かれてきた勇輝だったが、ついにエピソード09でグレーから完全なる黒になった。だが、この結果はある意味では、菜美が求めていたものであり、そして視聴者もまた求めていた展開である。


 夫婦という関係について優里は「いがみ合ったり、怒鳴り合ったり、たまにはだまし合ったりするけど、結局は、それを許して、離れずにいられる存在」と言っていた。京子は「理想の夫婦って、どんなことが起きても、離れられなくなっちゃった二人のこと」と表現している。そんな二人の話を聞いて菜美は「理想の夫婦を目指す」ことを決心。


 次回でいよいよ最終回を迎えるが、互いに嘘をつき、嘘をつかれてきた菜美、優里、京子たち夫婦は、互いのことを許し合うことができるのだろうか。マタイによる福音書7章7節に、「求めよ、そうすれば、与えられるであろう」という言葉があるように、本当に彼女たちが“理想の夫婦”を求めるのなら、どんなことが起きても離れられない夫婦になれるに違いない。(文=戸塚安友奈)


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