朝ドラ「虎に翼」で話題…法曹界で感じるジェンダーギャップは?「根強い格差」【弁護士400人に聞いた】

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2024年05月13日 07:30  まいどなニュース

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「法曹界のジェンダーギャップ」の実態は… ※画像はイメージです(SOMKID/stock.adobe.com)

弁護士ドットコム株式会社(東京都港区)は、このほど実施した「法曹界のジェンダーギャップの実態調査」の結果を発表しました。同調査によると、女性弁護士の約8割が法曹界で「性別による格差」を実感していることが分かりました。また、ジェンダーギャップを実感した場面については、女性弁護士と男性弁護士で依頼者の態度が違うなど、「依頼者との関係」が最多となったそうです。

【写真】女性弁護士と男性弁護士で依頼者の態度が違う…!?法曹界のジェンダーギャップ

調査は、同社が運営するポータルサイト『弁護士ドットコム』の弁護士会員400人(男性258人、女性141人、その他1人)を対象として、2024年4月にインターネットで実施されました。

   ◇  ◇

日本初の女性弁護士で後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルとした朝ドラ『虎に翼』が開始され、1カ月が経ちました。男女不平等があたり前だった時代に、彼女とその仲間たちは困難な時代に道なき道を切り開いていく様子は、弁護士界でも話題になっています。そこで、同社では同ドラマにちなみ、法曹界のジェンダーギャップについての調査を実施しました。

その結果、全体の56.8%が「法曹界で性別による格差(ジェンダーギャップ)を感じることがある」(よくある18.8%、ときどきある38.0%)と回答。一方、「感じることはない」は3割未満にとどまりました。

これを男女別にみると、「格差(ジェンダーギャップ)を感じることがある」と回答した男性が45.4%に対し、女性では78.0%と1.7倍にも上りました。女性回答者からは、「男性高齢弁護士から『女は怒るべきではない』と言われた」「飲み会の際、何気なくお酌担当にされる」などの意見が寄せられ、旧態依然とした実情がうかがえました。

法曹界で「ジェンダーギャップを感じる」と答えた227人に、「実際に格差を感じる場面」を複数回答で答えてもらったところ、女性弁護士と男性弁護士で依頼者の態度が違うといった「依頼者との関係」が61.7%と最も多く、一般の人からはいまだ弁護士=男性と捉えられていることが明らかとなりました。

そのほか、「生活面(育児・介護など)や体力面に関すること」(59.5%)、「採用・就職時の扱い」(40.1%)、「弁護団や弁護士仲間など同業者との関係」(33.0%)なども上位に挙がりました。

女性弁護士からは、「依頼者は男性の方が威厳があるように捉える」「産後の復帰予定を伝えたら男性弁護士から『0歳から保育園に入れるなんて可哀そうだね』と言われた」「『女性は出産や育児で辞めるから採用したくない』と何度も言われた」「働きながら育児は難しい。解雇された友人もいた」などの経験談が寄せられています。

これを男女別にみると、最も差が大きかったのは、「弁護団や弁護士仲間など同業者との関係」(男性21.4%、女性45.5%)で24.1ptの開きがありました。次いで、「報酬・給与面に関すること」(男性11.1%、女性32.7%)で、こちらも21.6ptの差がみられました。

女性からは、「子どもの急病により委員から外された」「(報酬の高い)企業との顧問契約が結びにくい」「若いと中小企業の代表者からからナメられる」などの声が複数挙げられた一方で、男性ではジェンダーギャップを理由にした不満の声は少なく、男女で認識の差があることがみてとれました。

他方、男女差があまり大きくなかったものとしては、「採用・就職時の扱い」(男性35.0%、女性45.5%)や「生活面や体力面に関すること」(男性54.7%、女性64.5%)などが挙がり、男性からも「検察官採用は明らかに女性が優遇されていた」「クオーター制度として女性会員を役職に就ける」など、女性登用が数字ありきになっているとして、抵抗感を示す声もみられました。

また、「ジェンダーギャップを感じた具体的な場面」については、以下のようコメントが集まりました。

▽依頼者や相手方から「若い女の子なのに偉いね」と言われる、弁護士の先輩から「いくつ?彼氏いる?」などと聞かれる」(女性)
▽男性依頼者がストーカー化しないよう無駄に気を遣う、女性の意見が必要などと委員会に引っ張りこまれるなど(女性)
▽女性だからこそ需要のある部分ももちろんあると思いますが、依頼者の方によって、女性を軽く見ているのかなという言動がみられることはよくあります(女性)
▽同様の実績がある男性弁護士と比較して、顧問契約の獲得までのハードルが高いと感じています。社外役員の選考では女性であることが有利に扱われていると感じる反面、女性であること以外に期待されていないような虚しさもあります(女性)
▽裁判官(相手方代理人)は「女性だからハズレた」「女性には大局観がない」などの発言が常にある(女性)
▽裁判官に任官したが、その際に「男性と同じ成績だったら間違いなく男性をとる」と明確に民裁教官に言われた。弁護士になって、相手方の代理人であるベテラン弁護士(男性)から「この女弁護士が!」と言われた(女性)
▽常日頃から上司が会議で「女性弁護士は力仕事(破産管財人を含む荒っぽい交渉)ではなく、銃後の守りをすべきだ」と繰り返していました(女性)

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