大一番で強いロベルトの血 テンハッピーローズがヴィクトリアMで見事に体現

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2024年05月13日 20:00  netkeiba

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ヴィクトリアマイルを制したテンハッピーローズ(撮影:下野雄規)
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返るヴィクトリアマイル

【Pick Up】テンハッピーローズ:1着

 1番人気マスクトディーヴァ(3着)、2番人気ナミュール(8着)がスムーズさを欠いた、という事情があったにせよ、14番人気テンハッピーローズの大駆けには驚かされました。

 父エピファネイア、母の父タニノギムレットはいずれもロベルト系。ロベルトは英ダービー馬で、ベンソン&ヘッジスゴールドCではハイペースの逃げに持ち込み、名馬ブリガディアジェラードに生涯唯一の土をつける大金星を挙げました。典型的なムラ駆けタイプで、気が乗らないときはあっさり惨敗するものの、ハマったときには恐るべき力を発揮しました。ロベルトの血は大一番で強い、というのは血統の定型文のひとつです。

 テンハッピーローズはロベルト4×4。それと今回の勝利に因果関係があると証明するのは不可能ですが、そう考えたくなるくらい人智を超えた大駆けでした。エピファネイア産駒のGI勝ち馬は通算5頭目で、2024年はステレンボッシュ(桜花賞)に次いで2頭目です。

◆血統で振り返る京王杯スプリングC

【Pick Up】ウインマーベル:1着

「アイルハヴアナザー×フジキセキ」の組み合わせはアナザートゥルース(ダイオライト記念、アンタレスS)と同じ。同一種牡馬の芝とダートの代表産駒が同じ組み合わせであるのはレアケースでしょう。この組み合わせは「ラストコーズ≒ミリセント4×5」という相似な血のクロスが生じるためか相性が良く、これまでに12頭出走して8頭が勝ち上がり、連対率32.2%、1走あたりの賞金額488万円という好成績を挙げています。アイルハヴアナザー産駒全体は連対率13.7%、1走あたり118万円なので、明らかなニックスといえるでしょう。

 ウインマーベルはこれで重賞4勝目。アイルハヴアナザー産駒は晩成傾向があるので、さらにタイトルを上積みする可能性があります。

 アイルハヴアナザーは米二冠馬で、新冠町のビッグレッドファームで6年間供用されました。ウインマーベルはその最終世代です。アメリカへ帰国後は5年間供用されたものの、目立った産駒は出せず、昨シーズンを最後に種牡馬を引退しました。後継種牡馬候補のウインマーベルを残せたのは幸いでした。

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