1月10日、千葉県の幕張メッセで開催されている『東京オートサロン2025』にてMAZDA(マツダ)はプレスカンファレンスを行い、サブブランドのMAZDA SPIRIT RACING(マツダ・スピリット・レーシング)より2台のコンプリートカーを発売すると発表した。
マツダは、2021年スーパー耐久第6戦岡山よりマツダ・スピリット・レーシングとして国内レース活動を始動させ、次世代バイオディーゼル燃料を使用するデミオをはじめ、以降のシーズンではロードスターやマツダ3もST-Qクラスに投入し、カーボンニュートラルへの取り組みとともにレース活動を行ってきた。
さらに2024年には、兵庫県にガレージを持つTCP MAGICとのジョイントプロジェクトとしてCX-5をラリー仕様に仕立て、全日本ラリー選手権と併催されているXCRスプリントカップ北海道へスポット参戦を行った。
■ロータリーエンジンの開発は確実に進歩
マツダ/マツダ・スピリット・レーシングが展開したブースで行われたプレスカンファレンスには、代表取締役社長兼CEOの毛籠勝弘氏とシニアフェローブランドデザイン兼マツダ・スピリット・レーシング代表の前田育男氏が登壇。
毛籠社長からはマツダが力を入れるこれからの開発事業が語られ、前田代表からは上記のレース活動で得た知見が落とし込まれた特別モデルのロードスターを、市販予定車両として発売することが発表された。
毛籠社長はまずはじめに、2024年のオートサロンで言及したロータリーエンジン開発部門の再結成に言及。「この1年間、ロータリーエンジンのエミッション適合性の開発は着実に進歩しました。最難関の北米ミッションへの適合ロードマップを手に入れるなど、手応えを感じています」とその活動内容を明かした。
「私たちはロータリーエンジンやスカイアクティブZの開発を通じて、エミッション適合性技術を強化していきます。この技術開発に関わるすべてのエンジニアの熱量とともに、さらなる技術検証開発のステップに進んでいきます。そしてカーボンニュートラル自体も、モータースポーツに挑戦していくファクトリーモータースポーツ部門とともに、力強く歩みを進めていきます」
さらに、そうした活動をさらに触れやすいものにするべく、マツダブランド体感施設『MAZDA TRANS AOYAMA』を東京南青山に開設し、2月4日にお披露目されることも明かされた。
■200台限定のコンプリートモデルが登場
続いて登壇した前田代表からは、ステージ上に飾られたマツダ・スピリット・レーシングのコンプリートモデルについて紹介が行われた。
今回新たに登場したのは、限定モデルの『MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R』と量販モデルの『MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER』。マツダ・スピリット・レーシングがスーパー耐久で築いてきたテクノロジーがふんだんに投入されたマシンだ。
前田代表はこのモデルに関して、「1台ずつ人の手で組み上げる、そういったスペシャルモデルです。SKYACTIV-Gの2リッターガソリンエンジンを搭載し、専用のカムシャフト、シリンダーヘッド、ピストン、マニホールドを採用しています」と紹介。
「最高出力は200馬力で、アルミ製のタワーバーや専用のホイール、バケットシートなどを装着するなど、とても魅力的な仕様となっています」
「12Rは200台限定の販売で、気になる価格は700万円台後半です。それから、量販モデルとなる『MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER』は、500万円台を予定しております」
「2025年秋に商談予約受付を開始し、年内の販売開始を目指しております。今後、マツダ・スピリット・レーシングのアプリ内で特設サイトを開設しますのでそちらをお待ちいただきたいと思います」と販売計画をアナウンスした。
さらに、2025年のスーパー耐久参戦継続も発表され、新たな領域での新技術開発に挑戦をすべく、マツダ3バイオディーゼルとロードスターCNFの2台でシーズンを戦うことが明らかとなっている。
ブース内には、2024年スーパー耐久ST-Qクラスを走った12号車『MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept』と55号車『MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept』や、XCRスプリントカップ北海道へスポット参戦を行った『TOYO TIRES MAZDA CX-5』も展示されており、ラリー活動の知見を落としこんだコンセプトモデルの『CX-60 Rally Concept』も並んでいる。
継続した国内レースやラリー参戦、その技術を開発に活かしたコンプリートカーの発売まで、年々勢いを増していくマツダのモータースポーツ事業。さらには注目を集めているロータリーエンジンの開発も加速していくとのことで、これからもマツダの活動からは目が離せない。