ライトノベルの老舗雑誌「ドラゴンマガジン」 休刊で人気作家多数コメント 今後のラノベ業界への影響は?

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2025年01月11日 08:10  リアルサウンド

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紙媒体で唯一残っていたライトノベル雑誌

  1988年に創刊され、『フルメタル・パニック!』『冴えない彼女の育てかた』など数々の名作を掲載してきたライトノベル雑誌「ドラゴンマガジン」が2025年5月号(2025年3月発売)を最後に休刊すると、発行元のKADOKAWAが発表した。休刊に伴い、今春にライトノベルなどエンターテインメント小説ファン向けの新メディア「メクリメクル」のサービスを開始するという。



創刊0号から_(┐「ε:)_今に至るまでの長いお付き合い。
休刊号と発表されても実感がわかないくらい
人生を共にしてきた雑誌。
なのでまた、メクリメクル 人生が続くんですよね。
毎日まいにちヽ(・∀・)ノいっぽ一歩の日々。
ほんのちょっと先の未来に向かって
歩き続けましょー((( ´◡` ) https://t.co/x26CbhU8Qf


— あらいずみるい☆ (@araizumirui) January 9, 2025


 


 「ドラゴンマガジン」に掲載された作品をを文庫化してきた「富士見ファンタジア文庫」はXを更新。「一昨年、創刊から35周年を迎えたドラゴンマガジンは、時世によって内容や役割を柔軟に変えて刊行を続けてまいりました」「昨今の読書環境の変化を受け、ドラゴンマガジンが担ってきた役割は紙の雑誌では担いきれなくなってきております」とつづり、別の形でのメディアサービスを展開していくと述べている。


   かつて複数存在していたライトノベル雑誌が相次いで休刊するなか、「ドラゴンマガジン」は最後まで残っていたライトノベル雑誌だった。しかし、今回の休刊によって、紙媒体でのライトノベル雑誌が書店から消滅してしまう見込みだ。今回の休刊の知らせを受けて、同誌に縁の深い作家やイラストレーターがXを更新。休刊を惜しむ声が多数あがっている。


  90年代のライトノベルの金字塔『スレイヤーズ』のイラストを担当したあらいずみるい氏は、「創刊0号から_(┐「ε:)_今に至るまでの長いお付き合い。休刊号と発表されても実感がわかないくらい人生を共にしてきた雑誌。なのでまた、メクリメクル 人生が続くんですよね。毎日まいにちヽ(・∀・)ノいっぽ一歩の日々。ほんのちょっと先の未来に向かって歩き続けましょー((( ´◡` ))) 」とコメントした。



創刊0号から拝見していた身としては、その後実際に連載作品で仕事もさせてもらい大変お世話になりまして、今の自分がありますので。寂しいですね、そしてありがとうございました。 https://t.co/WGN6bQi0E0 pic.twitter.com/QPpqVM8qEW


— ことぶきつかさ (@t_kotobuki) January 9, 2025



 『SMガールズ セイバーマリオネットJ』でイラストを担当したことぶきつかさ氏は「創刊0号から拝見していた身としては、その後実際に連載作品で仕事もさせてもらい大変お世話になりまして、今の自分がありますので。寂しいですね、そしてありがとうございました」と語った。


「締切で尻を叩いてくれる仕組みがなくなった」

 また、『フルメタル・パニック!』や『甘城ブリリアントパーク』で知られる賀東招二氏は、「ドラゴンマガジン誌の休刊が発表されたました。ドラマガは文芸誌のエントリーグレードとして、読みやすい短編連載がメインで、全見開きに挿絵イラストがついて、しかもそれを月刊でやるという、今考えるといろいろ無茶なことを10年以上やっていて、自分も長期間、自作を掲載していただきました」と思い出をつづった。


 そして、「かつての賑やかな誌面に比べると、予算不足もあってか最近の誌面はやはり元気がなくなっていた印象です。ファンタジア文庫がなくなるわけではないので、今後も作品のファンはご安心してください。今後はネットを軸にして『ドラマガ的』な何かを模索していくのではないかと思います」と語った。


 そして最後に、「賀東もどうしようかな……締切で尻を叩いてくれる仕組みがなくなったのが痛い(いたい)。カクヨムでも始めようかな…などと思ってます」と結んだ。ベテラン作家にとっても、思い出の場であり、発表の場である媒体がなくなってしまうことは大きなショックのようである。


苦境が続くライトノベルの原因は?

  今回の休刊は、ライトノベルのブームの終わりを象徴する出来事と捉えている人も多いようだ。ライトノベルは1990年代に盛り上がり始め、絶頂期を迎えたのは2000年代であった。ラノベ原作のアニメが続出しており、なかでも、角川スニーカー文庫から刊行された『涼宮ハルヒの憂鬱』(谷川流/著、いとうのいぢ/イラスト)は京都アニメーションからアニメ化されて、歴史的なヒット作となった。


  ライトノベルは、雑誌も文庫も角川書店(現:KADOKAWA)とそのグループ企業の独壇場だった。好調を受けて、小学館が2007年に「ガガガ文庫」を創刊するなど、大手出版社からも新規参入する例も相次いだ。イラストレーターもラノベのヒット作に関わるとブレイクする傾向にあったため、表紙や挿絵を描くことはイラストレーターにとって花形の仕事と言われていたこともある。


  ところが、市場は2010年代半ば以降、急速に落ち込んでいった。かつて、ライトノベル雑誌は2010年以降、相次いで休刊した。まず、『ザ・スニーカー』(角川書店・現:KADOKAWA/刊)が2011年に休刊。続いて、『電撃文庫MAGAZINE』(メディアワークス・現:KADOKAWA/刊)が2020年に休刊してしまった。かくして、ここ数年はライトノベルを専門とした紙媒体の雑誌は『ドラゴンマガジン』が唯一の存在になっていた。


  現在もライトノベルは文庫や電子書籍で刊行されているし、ライトノベル原作のアニメは制作されている。しかし、2000年代に比肩するようなレベルのヒット作は、しばらく出ていない。書店に行ってみるとわかるが、ラノベのコーナーはかなり縮小されてしまっている。かつてのヒット作であっても、全巻を常備している書店は稀な状況にある。SNSではライトノベルの先行きを不安視する声が上がっているが、今後のヒット作含めてラノベ業界の動向を注視していきたい。



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