アニコム損害保険 小型犬の性格と遺伝の関係に関する研究結果を発表

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2025年02月07日 07:31  マイナビニュース

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アニコム損害保険は、京都大学との共同研究を通じ、トイ・プードルとミニチュア・ダックスフンドの2品種において、高い遺伝率(※1)を持つ行動特性と、行動特性に関連する複数の遺伝子変異を明らかにした。この成果は、問題行動を起こす潜在的リスクを予測し、予防のためのトレーニングに活用できる可能性がある、とのこと。



なお、本研究成果は、米国John Wiley & Sons社が刊行する学術誌『Animal Genetics』にて、1月31日にオンライン公開された。



※1 遺伝率:分析を行った集団の中で、ある表現型への遺伝的な影響の大きさを示す指標。表現型のばらつきに対し、全ての遺伝子型のばらつきが占める割合を指す。


【原論文情報】

タイトル:Genome‐wide study suggests inheritance of personality traits in Toy Poodles and Miniature Dachshunds

著者名:Chika Zemmoto, Yuki Matsumoto, Minori Arahori , and Miho Inoue-Murayama

詳細:Animal Genetics. Volume 56, Issue 1, February 2025, e13508

URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/age.13508  



○本研究の成果  



犬は最も古い家畜であり、現在では番犬としてだけでなく、家族の一員として深い関係を築いている。日本でも犬は猫に次いで多く飼育されているペットであり、特にトイ・プードルやミニチュア・ダックスフンドといった小型犬は人気が高い。


犬の性格は、飼い主との相性やしつけのしやすさに大きく影響する。これまでの研究から、犬の性格は環境要因と遺伝要因の両方によって決定されることがわかっている。例えば、ラブラドール・レトリバーを対象とした大規模調査では、性格特性が複数の遺伝子の影響を受けていることが示されたという。



また、秋田犬では特定の遺伝子多型と攻撃性の関連が確認されているほか、以前にアニコム損害保険が実施した研究では、ジャーマン・シェパードやラブラドール・レトリバーなどの使役犬において、特定の遺伝子多型と訓練成功率の関連が報告されている(※2)。しかし、これらの研究は主に大型犬を対象としており、日本で人気のある小型犬の性格と遺伝子の関係についての研究は十分に進んでいなかったとのこと。

※2 麻薬探知犬の訓練適性に関連する遺伝子変異を発見(2023年5月10日付 アニコム損害保険ニュースリリース)

URLは記事末尾に記載


○研究の方法  



本研究では、トイ・プードルとミニチュア・ダックスフンドの飼い主を対象にアンケート調査を実施し、犬の性格に関する情報を収集した。アンケートには、活発さ、社交性、怖がり度など、さまざまな性格特性に関する39項目の質問を含め、収集した情報を因子分析によって解析したという。



次に、収集した情報と犬の遺伝情報を照らし合わせ、性格と遺伝子の関係を解析した。この解析には、ゲノムワイド関連解析(GWAS)(※3)を用い、特定の性格特性と関連する遺伝子領域を探索した、とのこと。



※3 ゲノムワイド関連解析(GWAS):ゲノム全域に存在するDNAの個体差のうち、SNP(一塩基多型)と行動特性や病気の経歴などの形質との関連性を網羅的に検討する遺伝統計解析手法。

○研究の成果  



301頭のトイ・プードルと183頭のミニチュア・ダックスフンドを対象に解析を行った結果、トイ・プードルでは「活発さ(遊び好き、いたずら好きなどを含む)」、ミニチュア・ダックスフンドでは「人間への社交性」という性格特性について、それぞれ遺伝的な影響があることが明らかになったという。



社交性は犬とオオカミを区別する重要な要素の一つであり、家畜化の過程で大きな役割を果たしたと考えられる。また、活発さは犬種によって大きく異なることが知られており、今回の結果も犬種間の違いを反映している可能性がある、とのこと。



さらに、GWASによりこれら2つの性格特性と関連する遺伝領域を調べた結果、統計的な有意差は認められなかったものの、CCDC198やASTN1といったエネルギー代謝や脳形成に関与する遺伝子に位置するSNP(一塩基多型)との弱い関連が示された。これらの関連性についてより詳細に検証するため、今後さらに多くの小型犬を対象とした調査が必要であるとしている。



これらの結果は、小型犬の行動特性が遺伝的要因によって影響を受けていることを示唆している。したがって、今後の小型犬の行動改善やしつけ方法の開発に役立つ可能性があると報告を結んでいる。()

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