
私たちの生活に欠かせない米。3月10日(月)政府備蓄米の入札が始まりましたが、価格の高騰は今も続いています。米どころ・新潟を取材しました。
【写真で見る】“米どころ”新潟でさえも不足…1か月半ぶりにやっと棚が埋まった米売り場
「どこもこの時期(米が)手に入らないみたいで…やばいよ」14日(金)サンデーモーニングが取材に向かったのは新潟県。
杉浦みずきキャスター
「米どころでも、価格高騰に悲鳴を上げているというのです」
新潟・西区のスーパー「いちまん」ではこの日、かき集めた米で、1か月半ぶりに棚が埋まったそうです。
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スーパー「いちまん」 高井栄二朗 代表
「こちらが米売り場です」
杉浦キャスター
「早速コシヒカリが売り切れていますね。倉庫とかにも残っていない?」
スーパー「いちまん」 高井栄二朗 代表
「残ってないです。このまま米が(店から)無くなるんじゃないかという危機感しかなかった」
全国の小売り店や家庭を直撃している“令和の米騒動”。コシヒカリの小売価格は2024年夏ごろから高騰し、2025年2月には5キロで4300円を超えました。
打開策として、政府は備蓄米の放出を決定。まず、約14万トンが落札されました。
その備蓄米を手に入れようと、このスーパーでも取引のあるすべての卸業者に問い合わせ、なんとか入手の見通しがつくはずでしたが…
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スーパー「いちまん」 高井栄二朗 代表
「(電話越しに)えー?そうなの?ぐちゃぐちゃなんだね」
杉浦キャスター
「電話のお相手は…?」
スーパー「いちまん」 高井栄二朗 代表
「お米の問屋さんなんですけど、問屋さんの割り振りがあって、まるっきりまだ読めない状態。一番上の入札した人が米を手に入れたのは分かったみたい。そこだけ」
実は、今回の備蓄米を落札できたのはJAなど大手の集荷業者のみ。そこから卸業者に割り振られ、大手スーパーなどに流通するとみられますが、中小規模の店舗にはいつ、どのくらい回ってくるか分からないというのです。
スーパー「いちまん」 高井栄二朗 代表
「どこもこの時期手に入らないみたいで…やばいよ」
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困り果てたこちらのスーパーでは、ある“非常手段”も試みたといいます。
備蓄米の放出で価格は下がる? 専門家は「限定的な効果」と指摘ようやく放出される備蓄米さえ入手のめどが立たないというスーパー。ワラにもすがる思いで探しているのが…
スーパー「いちまん」 高井栄二朗 代表
「輸入米も探してみたんですけど、どこもこの時期手に入らない」
杉浦キャスター
「新潟県ですら、輸入米に頼らざるを得ないというのは衝撃だと思いました」
備蓄米の放出によって、“流通の目詰まりが解消”するというのが政府の見立てでしたが…
スーパー「いちまん」 高井栄二朗 代表
「備蓄米を放出することによって供給量が安定して、足りなくなることはないという言い方を(政府は)していたと思うが、本当なのかなって」
加えて気になるのは、備蓄米の放出で価格が下がるかどうかです。
14日に発表された備蓄米の落札価格は、玄米60キロあたり平均で2万1217円。1月の取引価格と比べると、4000円あまり下がっています。
店頭での価格も下がるのでしょうか。江藤拓農水大臣は14日、次のように語りました。
江藤拓 農水大臣
「現在、店頭価格が(5キロ)4300円ぐらいで推移していることから考えると、それよりかなり低い精米価格(店頭価格)になるだろうということはご理解いただけると思います」
ところが、専門家はこう指摘します。
東京大学大学院(農業経済学) 鈴木宣弘 特任教授
「一時的に価格が下がったとしても限定的な効果であって、そう簡単に米の絶対的な不足は解消しない」
問題の根本は、米の生産量が減りすぎたことにあるといいます。
東京大学大学院(農業経済学) 鈴木宣弘 特任教授
「そもそも米の生産現場が疲弊して、米が作れない状況になっている。政府も“米を作るな”とどんどん減らしてきた。そこに猛暑やインバウンド需要の増加というきっかけがあって、ここまでの米騒動に発展してしまった」
⻑年続いた減反など、米の生産を減らす“国策”が背景にあるとの指摘。令和の米騒動は、どうすれば収束するのでしょうか。