
今、実在する警察署の電話番号から詐欺電話が急増しています。その詳細な手口を取材しました。
【写真でみる】『ビデオ通話で事情聴取』背景には県警マスコット
『警察を装う特殊詐欺』 巧妙化するその実態警視庁からのメール
「本日、日本全国で、携帯電話のディスプレイに武蔵野警察署の電話番号を仮装した表示の詐欺電話が確認されています」
いま、実在する警察署の電話番号や、警察署でよく使われる末尾「0110」の番号からの詐欺電話が全国で相次いでいるのです。
【警察官を装う特殊詐欺事件】
2025年1月〜2月末 1000件超
被害総額 約106億2000万円
※警察庁より
|
|
東京・渋谷区に住む50代のAさん。今月1日、末尾「0110」の番号から電話がかかってきました。
“詐欺電話”を受けたAさん(50代)
「警察なのかなって普通に思った。もしかして、事件に巻き込まれているのかも知れない。事情聴取に協力しないとまずいのかなという雰囲気になりました」
Aさんが信じ込んでしまった警察を騙る詐欺電話、その実際の音声には…
警察官を名乗る人物
「警視庁の捜査二課です」
Aさん
「お名前頂戴できますか?」
|
|
警察官を名乗る人物
「サカモトマナブといいます」
相手は、警視庁捜査二課のサカモトと名乗る人物。
警視庁捜査二課・サカモトマナブを名乗る人物
「詐欺グループの主犯格とするヤマシタサトルの事件の捜査を今進めていまして、大量の他人名義のキャッシュカードや携帯電話・パソコンなどをこちらで押収しています。その中の1枚がAさん名義の楽天銀行のキャッシュカードになります」
Aさん
「本当?」
警視庁サカモトマナブを名乗る人物
「現状、法的責任が今、Aさんに向けられてる状態なんですよ」
|
|
警視庁サカモトマナブを名乗る人物
「メモの用意できます?事件名称が『ヤマシタグループ資金洗浄事件』です。事件番号が『令和7刑(わ)184』になります」
Aさん
「具体的な名称をあげた詐欺事件という名称だったり、いかにも事件ナンバーらしい番号を言ってきたので、私これ本当に巻き込まれてるのかなって思ってしまいました」
その後、サカモトは「この事件は愛知県警が担当している」と話し…
警視庁サカモトマナブを名乗る人物
「服の着替えと身分証をお持ちになって、愛知県警まで足を運んでもらいたい。直接足を運ぶのが難しいのであれば、私の方で電話を愛知県警に転送できます」
こうして電話は愛知県警に転送されることに。
愛知県警本部アオキを名乗る人物
「お電話転送受けました。愛知県警本部です」
Aさん
「私が捜査対象になっているみたいで」
転送先は、「愛知県警のアオキ」を名乗る人物。サカモトに続き、Aさんを不安にさせる言葉が次々と飛び出します。
愛知県警アオキを名乗る人物
「口座の中で、取引が3160万円、この金額動いているんですよ、2〜3か月で。これは法律に基づいて、3〜9年の懲役と、100〜1000万円の罰金、この両方が科せられ、実刑判決を受けることになります」
そして…
愛知県警アオキを名乗る人物
「この事件の調査専用のLINEで、録音録画で事情聴取を行います」
『LINEのビデオ通話』で事情聴取をするというアオキ。
Aさん
「自治体のニュースとかをLINEでキャッチアップしていたので、今の警察はLINEを使ってヒヤリングするんだなくらいにしか思わなくて、全然疑いはなかった」
LINE通話中の画面では、オレンジのキャラクターがうつっています。愛知県警のマスコットキャラクターでしょうか…
愛知県警アオキを名乗る人物
「秘密保持案件として捜査しています。口外した場合、漏洩罪が適用されます。1〜3年の懲役および200万円の罰金が科されます」
何度も「逮捕される可能性がある」と脅され、Aさんは個人情報を送信。「ビデオ通話の画面で、マイナンバーカードも見せてしまった」と話します。
Aさん
「銀行の口座名、投資信託をしているか否か、資産形成について詳しく聞かれました」
1時間半以上に渡った“事情聴取”。翌週にも再び行うと言われたといいます。
愛知県警アオキを名乗る人物
「また月曜日もう一度、録音とることありますので、そのときはよろしくお願いします」
その後、AさんがLINEで「渋谷警察署にも相談する」とメッセージを送ったところ、アオキは退出しました。
Aさん
「住所がわかって突然、詐欺グループが来たらどうしようとか、うちの妻に大変申し訳ないとか、不安は常にあります」
警察官を名乗る「サカモト」や「アオキ」は、個人情報や資産状況を聞き出し、金をだまし取ろうとしていたのか。
警視庁をかたる番号に電話取材喜入友浩 キャスター
「男性にかかってきた末尾0110、警視庁捜査二課をかたる番号に電話をかけてみます。もしもし、こちら警視庁捜査二課の番号でしょうか?」
通話相手
「え?違います」
喜入キャスター
「すみません、どちらの番号でしょうか?」
通話相手
「個人ですけど」
“何も知らない”と話す男性。
喜入キャスター
「TBSテレビ報道局の者ですが、この番号で警視庁の捜査二課をかたっているという情報があるんですが…」
通話相手
「知らないですね。誰かに携帯を渡すこともないですし、そんなことする暇ないです」
警察は「オンラインで警察が取り調べをすることはない」と注意を呼びかけています。