
マンションでも戸建てでも、こればかりは選ぶというわけにはいかないのが「隣人」問題。家選びでは間取りや家賃、立地などに目が向きがちですが、「どんな隣人がいるか」は実際に暮らしてみないと分からないことも多いです。引っ越し当初は感じなかった違和感が、日々の生活の中で少しずつ積み重なっていく――そんなケースもあるようです。
「私のことをお母さんくらいに思ってね」
Aさん(関東在住、30代、パート)は、夫の昇進と転勤にあわせて正社員の職を辞し、現在はパート事務として働きながら、二人の子どもの育児を担っています。
今住んでいるのは賃貸の中古戸建てで、築30年以上の物件です。高齢夫婦が住んでいた家で、内装はフルリフォームされたばかり。夫婦が高齢者施設に入所するのを機に貸し出されたものだといいます。
転勤の期間が不明な中でも、庭付き・駐車場付きの閑静な住宅地に、同程度の広さの賃貸マンションより手ごろな家賃で住めるという点に魅力を感じ、Aさん夫婦は迷わずこの家を選びました。
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周囲には長く住んでいる住民が多そうな雰囲気もあり、Aさんは家族全員で向こう三軒両隣に引っ越しの挨拶をしました。どの家からも「空き家は心配だから、可愛らしいお子さんがいるご家族が来てくれてうれしい」と声をかけてもらい、ひと安心したといいます。
そのうちの1軒が、「隣人ガチャはずれ」のBさん宅でした。
第一印象は「優しそうな中高年女性」そのもの。少しぽっちゃりとしていておしゃべり好きそうな普通の女性だったそうです。何年か前に夫を亡くし、息子もすでに結婚して家を出ているという自己紹介をしたあとで、にっこり笑いながらこんなことまで言ってくれたのです。
「奥様、今おいくつ? あら、そうなの…もし娘がいたらこれくらいだったのかしら…」「困ったことがあったら、私のことをお母さんくらいに思って、いつでも声をかけてちょうだいね!」
なぜこんなに顔を合わせるのか
しばらくすると、AさんはBさんとご近所で偶然顔を合わせる頻度が妙に多くなっていることに気づきました。
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庭で洗濯物を干そうとすると、ちょうど同じタイミングでBさんも庭に現れて声をかけてくる。玄関を出て車に乗ろうとすると「どちらにお出かけ?」、スーパーで買った値引きシュークリームを持ってきて「良かったら食べて」と訪ねてくる。夕方にカーテンを閉めようと2階へ上がると、ちょうどベランダにいて会釈される。近所のドラッグストアで風邪薬を見ていると「風邪?よく効く薬はこれ。もし大変なら声かけて?近所のお母さんのつもりで!」と話しかけられる……などなど。
1件1件はごく些細な近所づきあいに見えるのに、その回数があまりにも多すぎると気づいた頃には、後ろからすっと近づいてくる人影に、Aさんはびくびくするようになってしまいました。
すっかりお隣さんが怖くなってしまって
2日に一度は顔を合わせるようになった頃には、Aさんはすっかりお隣さんが怖くなってしまいました。
夫に相談しても、「お隣なんだから、会っても不思議じゃないでしょ」「別に嫌なこと言われたわけじゃないでしょ」「優しそうな人だし、新しい環境に慣れたか心配してくれているんだよ」などと、まともに取り合ってくれません。
せめて庭に目隠しフェンスを立てたり、玄関にカーテンでもつけて覗かれないようにしようかと考えましたが、Bさんを変に刺激してしまい、「なんでこんなのをつけるの?」と言われてしまいそうで怖いなあ…とも思ったり。どうするべきかなかなか行動に移せず、毎日モヤモヤしているそうです。
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「何より『夫も家族も恐怖を共有してくれない』のが一番怖いです。確かに『私が家から出るとき、外に出てこないでください!』なんてBさんに言い出したら、私のほうがもっと変な人になってしまいますし…」
Aさんは今でも、できるだけ気配を消して過ごしているそうです…。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)
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