長らく勝利から遠ざかっていた古豪ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)が待望の復活を遂げることに オーストラリアはクイーンズランド州に位置するリードパーク市街地にて、7月11〜13日に開催されたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第7戦『Townsville 500(タウンズヴィル500)』は、長らく勝利から遠ざかっていた古豪ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)が待望の復活を遂げることに。今季より移籍加入した元王者ブロディ・コステッキ(DJR/フォード・マスタング)が、チームにとって2023年の同地以来となる約2年ぶり、自身にとって移籍後初となる勝利を見事なポール・トゥ・ウインで飾ってみせた。
おなじみ『Indigenous Round(先住民族ラウンド)』として催された前戦ダーウィンでは、名門トリプルエイト・レースエンジニアリング(T8)のブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)が、週末3戦全勝の“ハットトリック”を達成して勢いに乗るなか、ここクイーンズランド州北東岸に位置する港湾都市では、NASCARカップシリーズ帰りの僚友ウィル・ブラウン(レッドブル・アンポル・レーシング/シボレー・カマロ)のクラッシュで幕を開けるなど、強豪T8にとって不穏な空気が立ち込める走り出しとなった。
そんな失意の現役王者に引きずられたか、自身初タイトルを狙うフィーニーも土曜最初の予選でまさかの14番手に沈み(ブラウンは20番手)、悪い流れを払拭することができず。代わって古豪復権を目指す2023年王者コステッキがポールポジションを獲得した。
「マシンの出来にはかなり満足していた。使い古しのセットでは自分たちの相対的な位置関係が把握できなかったが、ユーズドタイヤでの走行終盤に何度か大胆な調整をし、予選1回目の走行では2番手通過、グリーンタイヤでの走行に向けて、まさに絶好のタイミングで勝負できた」と振り返ったコステッキ。
「ここ数ラウンドは本当にひどい結果で、正直に言うと(前戦)ダーウィンの日曜最終レースはコースアウトでちょっとしたミスを犯してしまったものの、マシンをなんとかウインドウ内に収めることができ、レース後には満足感を得ていた。それが今回も反映されていて、本当にうれしいね」
そのまま週末オープニングヒートで首位を堅持した元王者は、追い縋るキャメロン・ウォーターズ(ティックフォード・レーシング/フォード・マスタング)やアントン・デ・パスカーレ(チーム18/シボレー・カマロ)に付け入る隙を与えず、後続に4秒以上の差をつけて最初のチェッカーフラッグを受け、実に733日ぶり、約2年間続いたDJRの未勝利記録を打破する移籍後初優勝を手にした。
「最高の気分だ。僕のシェルVパワー・マスタングはご機嫌だったし、レース中はずっとカム(ウォーターズの愛称)が背後から迫ってきていたから、ミスは許されなかった。移籍後初勝利の重荷が降りたなんて、本当に信じられない気持ちだよ」と喜びを露わにしたコステッキ。
「これまでも素晴らしいレースで勝利を収めることができ、幸運なキャリアを歩んできたが、今回は本当に特別な気持ちだ。努力不足なんかじゃない。上位を走れなかった期間でも、ピットレーンの全員が信じられないほど懸命に働いてくれていたんだ」
「ベストを尽くしたからといって、それで充分だとは限らない。だから、どこが間違っているのかを突き止めるべく、全員が一生懸命取り組んできたんだ。チームを本当に誇りに思う。スピードが出ていなかった時期も、毎ラウンド後には気持ちを切り替えて決して落ち込まない、士気は非常に高かった。今日はここまでの懸念を覆せて本当にうれしいよ」
しかしコステッキの躍進は土曜までとなり、明けた日曜最初の予選こそデビッド・レイノルズ(チーム18/シボレー・カマロ)が「普通の人ならこのインフルエンザで重篤な状態に陥ってもおかしくない」というほどの病み上がりながら、予想を覆しての2023年3月以来のポールポジションを獲得するも、ライバル勢の奮闘はここまで。
その後は最終ヒート向けの予選シュートアウトも含め、レース2、レース3ともにフィーニーが勝利を飾り、今季通算10勝目の大台に乗せてシーズン終盤の初開催が予定されるファイナルズを前に、スプリントカップのタイトル獲得に一歩近づく結果を手にした。
「ここまでセクター1で苦戦していたから、まずはそこでパープルを獲得できたのは最高だった」と、リードパークでの自身初ポールポジションを喜んだフィーニー。
「最終ヒートでのウィル(・ブラウン/終盤の追い上げで2位)には大いなる称賛を送りたい。ひさしぶりに厳しいレースだった。彼は間違いなく今日最速で、僕に大きなプレッシャーを掛けてきたが、とくに新品セットの最終スティントでは僕に圧倒的なペースで迫ってきた」
「でも彼が0.5秒ほどに接近した途端、彼はペースを落としてしまった。後ろについていたせいで、マシンがオーバーヒートしてしまったんだと思う。だから最終スティントでは『持ち堪えられない』と感じる時間が多かったんだ。これは本当に大きな意味があるし、僕らにとって大きな勝利だよ」
冬真っ盛りの2025年RSCレギュラーシーズンもいよいよ大詰めを迎え、続く第8戦はスプリントカップ最終戦として8月8〜10日にクイーンズランド・レースウェイにて『Ipswich Super 440(イプスウィッチ・スーパー440)』を開催。その後は、シリーズ恒例のコドライバー共闘によるエンデューロ・カップとしてザ・ベンド、そしてバサーストでの聖典が待ち受け、第11戦以降の3戦は今季初の催しとなる新規軸『Finals Cup(ファイナルズ・カップ)』が争われる。
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[オートスポーツweb 2025年07月15日]