フードバンク、寄付減に苦慮=物価高影響、コメ不足深刻―団体「貧困を認識した政治を」【25参院選】

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2025年07月16日 07:35  時事通信社

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一般社団法人「あじいる」の弁当配布に並ぶ人たち=6月15日、東京都台東区
 個人や企業からの食材などの寄付で生活困窮者を支援するフードバンク団体が、物価高による寄付減少に頭を悩ませている。特にコメ不足は深刻で、参院選で物価高対策が争点の一つになる中、団体からは「経済格差が拡大している」「生活に苦しむ人は増えている」などと貧困対策を求める声が上がっている。

 先月15日、東京都台東区の隅田公園で、寄付された食材などで作られた弁当が配られ、約100人が並んだ。配布した一般社団法人「あじいる」(荒川区)のメンバー、中村光男さん(74)は「貧困が広がっていると感じる。各党は困窮者の声を聞き取る場をつくるべきだ」と話す。

 列に並んだ50代無職男性は「生活保護を受けているので、支援は助かる。本当に困っている人に税金を使ってほしい」と切実に訴えた。統合失調症の40代無職男性も参院選の候補者に「物価高にならない政策」を求めた。

 あじいるメンバーらは2000年にフードバンク事業を開始。毎月約1トンのコメを関東圏の子ども食堂や高齢者施設などに配送してきた。だが、物価高のあおりを受けて昨年秋から寄付が減少。今年3月末には倉庫のコメが底を突き、4月分は断念した。支援者の協力で5月分から再開したが、コメ不足は続いているという。

 NPO法人「フードバンク仙台」(仙台市)が昨年7月に全国のフードバンクに実施したアンケート調査では、回答した66団体のうち、約6割が近年の物価高で寄付が減っているとし、コメに限って聞いた質問には約7割が減少したと答えた。

 24年度の同法人の個人向け支援実績は、前年度比約4割増の延べ約7100人で最多を更新している。ただ、栄養面から支援品に欠かせないコメの寄付は低調で、25年度は今春始まった農林水産省の備蓄米の無償交付を受けても、なお足りない見通しという。

 同法人理事の川久保尭弘さん(38)は「生活に苦しむ人がこれまで以上に増えている」と強調。「困窮者はわずかな値上がりでも致命的になる。社会保障の給付額を引き上げるなど貧困を認識した政治が必要だ」と訴えた。 

生活困窮者らに配布する弁当を作る一般社団法人「あじいる」のボランティアら=6月15日、東京都荒川区
生活困窮者らに配布する弁当を作る一般社団法人「あじいる」のボランティアら=6月15日、東京都荒川区

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