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民放5局が2027年にもBS 4K放送から撤退する方針を固めたと一部報道機関が報じた。情報ソースとみられる8日に行われた総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」衛星放送WGの会合では、その苦しい実情が報告されていた。
BS4Kは、2018年12月に放送を始めた。しかしTBSホールディングスの資料によると、放送開始直後から調子はよくなかったようだ。「当初から収支は厳しく、累計でも大きな赤字となっており、直近でも約8.5億(円)の赤字」という。
4K撮影については、現在では2Kと比べて大きな違いはない。しかし編集時には2Kと4Kの2パターンを用意するために時間を要す。毎月、約20〜25%のポスプロ費用が余計に掛かる。
しかし放送としてのリーチ力はかなり低い。TVS REGZAがネット対応テレビから収集した視聴データをみると、リーチ率は地上波のTBSが83%に対し、2K放送のBS-TBSは22.8%、そしてBS-TBS4Kはわずか3.5%だった(7月の月間ライブ視聴1分リーチ率)。
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リーチ力がないとスポンサーはつきにくい。スポンサーがつかないと収入は増えず、リソースの追加投入もできない。結果として大幅な赤字運営となっていた。例えば2024年度は、事業に掛かった費用が約8億6000万円だったのに対し、収入は約1200万円しかなかった。
一方で、早急に事業継続の可否を判断しなければならない事情があった。というのは、現有マスターの保守期限が迫っており、30年には更新が必要。そこから逆算すると今年度中に続けるか否かを決定しなければならない。
また現在の4Kマスター費用は約15億円だが、今後はさらに人件費や物価の高騰で費用が膨れ上がることも考えられる。BS-TBSは「上記更新費用に関して、現状の収支も踏まえた経営判断が必要」としている。
こうした状況を踏まえ、在京民放5局はBS4K放送からの撤退と4K配信への移行を検討し始めた。まだ議論を始めた段階というが、メリットは大きいと考えているようだ。
例えば、従来より設備投資やランニングコスト、セールスといった面の負担が大幅に減ると見込まれる。またスケジュール管理にも余裕が生まれ、VFXなど先端技術を活用する機会も増える。BS-TBSは「コンテンツの海外展開に向けた選択と集中の一助となる」として、4K配信への移行を進める考えだ。
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民放5局、BS4K放送から撤退か(写真:ITmedia NEWS)143
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