野生のコツメカワウソ(C)David Lawson WWF―UK(本文のカフェとは関係ありません) 珍しい動物を触ることができる「野生動物カフェ」を巡り、けがや感染症の危険性などを事前に説明していない施設が半数近くに上ることが4日までに、世界自然保護基金(WWF)ジャパンの調査で分かった。担当者は「野生動物を触らせることの危険性について事業者の認識が低い。利用者はリスクを理解してほしい」と話している。
        
    
         調査は6〜7月、インターネットで「エキゾチックアニマル」「ふれあい」などと検索し、結果の上位に表示された東京都や神奈川県などの25施設を覆面で訪問して実施。動物の展示状況や衛生対策について、目視や店員へのヒアリングなどを行った。
        
    
         利用者に対し、事前に適切な触れ合い方と、けがをするリスクの説明を実施していたのは12施設。どちらか一方を実施していたのは2施設だったが、残りの11施設はいずれの説明もしていなかった。
        
    
         23施設では、環境省が参考とする英国の動物園に対する基準で危険動物に該当するコツメカワウソやナマケモノなどの展示も確認。そのうち19施設では従業員の立ち会いや防護柵で囲うなどの安全対策が講じられていなかったことも分かった。
        
    
         WWFジャパンによると、カワウソはゴム長靴に穴を開けるほど鋭利な牙を持ち、ナマケモノは気性が荒く、かみつく危険があるという。
        
        
        
    
         感染症対策については、24施設で消毒液が設置されていたものの、手洗い場があったのは14施設にとどまった。動物の体表をなでて採取した検体を分析したところ、病原性のある腸管出血性大腸菌が4施設から、下痢や吐き気などを引き起こすサルモネラ属菌が2施設から検出されたという。
        
    
         WWFジャパンの浅川陽子さん(45)は「店員の立ち会いなしで無制限に動物と触れ合えるなど、事業者側が野生動物に触る危険性を軽視している」と指摘。「利用者もけがや感染症のリスクを認識してほしい」と呼び掛けている。