「戦争忘れられてきている」=高齢化に危機感、語り部育成も―遺族代表の安斎満さん・終戦記念日

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2024年08月16日 07:31  時事通信社

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全国戦没者追悼式で追悼の辞を述べる安斎満さん=15日午後、東京都千代田区
 全国戦没者追悼式で遺族代表として追悼の辞を述べた安斎満さん(86)=福島市=は、5歳の時に父が戦病死した。遺族の高齢化で戦時中を知る人が減る中、「戦争が忘れ去られてきている」と危機感を募らせる。日本遺族会の常務理事として、語り部の育成に力を入れている。

 父与一さんは、満さんが5歳だった1943年6月に出征。同年11月、中国でマラリアにかかり、病院に移送中に亡くなった。

 残された家族は過酷な現実に直面した。安斎さんは戦後、「戦没者の子」として敗戦の責任を問う厳しい目が向けられたことを覚えている。「兵隊さんは神様から悪者になってしまった。(その子どもとして)少し身を縮めて生きていた部分もあった」と振り返る。就職でも差別を受け「つらい思いをした」と話す。

 戦後80年を前に、戦中と戦後を生き、厳しかった時代と平和な時代を比べられる人が「一握り」に減っていると懸念する。遺族会のメンバーも多くが80歳以上。「遺族の思いを伝えていかなければならない」との思いから、孫世代の語り部の育成に取り組んでいる。「遺族会としての形を少しでも残せるよう努力している」と力を込める。

 「『国が面倒を見る』と命を預かった責任がある。その責任を果たしてほしい」。遺族が減っても追悼式を続けてほしいと強く願う。15日の追悼の辞では、ロシアのウクライナ侵攻にも思いを重ね「戦争の悲劇から平和を守っていこうではないか。平和を維持してほしい」との願いを込めて読み上げた。 

全国戦没者追悼式遺族代表の安斎満さん=9日、福島市
全国戦没者追悼式遺族代表の安斎満さん=9日、福島市

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  • 来年で全ての活動終了で良いでしょう。はっきり言って現実と乖離をした集団でしかありません。
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