電気やガス料金高騰による家計の負担を緩和する資源エネルギー庁の補助金事業で、事務局を運営した広告大手博報堂が人件費や業務委託料などに充てられる事務経費として受け取った資金のうち、7割超の約227億円を子会社などへの委託料に使っていたことが6日、会計検査院の決算検査報告で明らかになった。
博報堂は子会社の博報堂プロダクツなど8社に委託していたが、同庁に提出された委託理由書の説明は不十分で、妥当性は不明だという。
調査対象は、電気・ガスの小売り事業者に2023年1月以降の料金値引き額を補助する事業。同庁は、事務局の運営事業者だった博報堂を通じて補助金を交付していた。
検査院によると、博報堂は同庁から事務経費として約319億7500万円を受領。約71%に当たる約227億8900万円は8社への業務委託料で、うち約210億3300万円が子会社の博報堂プロダクツに支払われていた。
事務費のうち委託料が50%を超える場合、同庁は委託理由を説明する書面を提出させ、委託が妥当かを判断する。博報堂が提出した書面には委託先の選定理由は記されていたが、委託を必要とする理由が不十分だった。また、同庁が承認した経緯は記録されていなかった。
事業運営は23年12月に博報堂から別会社に引き継がれ、同庁は小売り事業者に直接補助する形を取った。その結果、事務経費は32億7800万円と大幅に削減され、委託料が占める割合も50%を下回った。
検査院は同庁に対し、委託承認のプロセスを検証する手続きの整備などを求めた。同庁担当者は取材に「検査院の指摘を真摯(しんし)に受け止め、透明性を持って取り組んでいく」と話した。